#015 ヤングケアラーの悩み
今回参加してくれたのは、
幼いころから家族のケアをしているという二人。
母子家庭で育った大学生の清﨑さんは
知的障害のある弟を。
両親が共働きの山本(仮名)さんは、
小学生の時、認知症の祖母をケア。
大学生になってからは
精神的に不安定な母親のケアを続けています。
○櫻井
「まずヤングケアラーとして、これまでに苦労してきた点は?」
○母・祖母をケア 山本さん
「認知症の祖母が深夜の徘かいなどがあったので
そういうのを見守っていくうちに
生活リズムがすごく狂って、
(小学)5年生の終わりごろまで
不登校という形になってしまって
友人関係が築けない。
そういうので孤立してしまったりとか」
○櫻井
「清﨑さんはそういうことはあった?」
○弟をケア 清﨑さん
「そうですね。
家のこととかを考えて
休みの日は家にいた方がいいな、というときに
友達から誘いが来たとき
断っていくとどんどん誘われなくなって
孤独というか…
あとは『経験格差』って
どうしても生まれてたなと思っていて
弟だと鉄板触ったら危ないから
焼き肉とか鉄板焼きみたいなところは
絶対行かないし
(弟は)熱いものを食べて
熱いってわかってるのに
そのまま食べるから「熱い」って怒り出す。
それでわちゃわちゃしちゃったら
お店に迷惑かかるので
どこにも行けないし」
○櫻井
「自らが『私、ヤングケアラーかもしれない』と
気づいたときは?」
○弟をケア 清﨑さん
「ヤングケアラーであるというのは
大学に入るまでわからなくて
『清﨑さんってヤングケアラーなんやで』って言われて
初めてそんな言葉あるんだ。
みたいに意識し始めた感じ」
○母・祖母をケア 山本さん
「小学生、中学生って
特に自分の世界が
家庭か学校かくらいの2つの世界で、
『ケアしてることが当たり前じゃないんだ』って
なかなか気がつけないなっていう…」
そして
他の誰かに相談することも
難しかったと言います。
○母・祖母をケア 山本さん
「小学生の時、当時の担任の先生に
『おじいちゃんが、おばあちゃんが』
と話した時に
『母親は何してるの?』と、
親が責められてしまう
ということがあって
それが当時の私はすごくショックというか
『めっちゃ頑張ってるお母さんが
責められてしまうんだ』
と思って、そこで
家の状況を隠すというか…」
○弟をケア 清﨑さん
「『お母さんに任せたらええやん』
みたいなことを
その人は悪気なく言ってるが
いやいや違うと
私自身も悲しい気持ちになる」
○櫻井
「なるほど。
今、抱いてる将来に対する
不安のようなものは?」
○弟をケア 清﨑さん
「私の場合は
親亡きあとのことであったりとか、
弟自身の将来のことは悩みというか
不安というか…」
弟をケアする若い世代ならではの不安。
○櫻井
「櫻井です。櫻井翔です」
○清﨑さんの弟
「こんにちは 櫻井翔です」
○清﨑さん
「うれしいな」
○櫻井
「そうそう。
知ってくれてるの、うれしいな」
○清﨑さんの弟
「バイバイです。さようなら」
○櫻井
「さようなら」
○清﨑さん
「親が亡くなってから、
私は支えていきたいと思っている
『きょうだい』だけど
どうやって支えていくか
という方法もわからないし、
今後向き合っていかないといけないし、
不安に思っているところ。
「櫻井さんに聞きたいが
『ヤングケアラー』って
ヤングケアラーじゃない人っていうと
言い方が悪いが
そういう人がどう感じてるんだろうと」
○櫻井
「今日、お2人と話して思ったのは
ヤングケアラーは『多様だ』というところ。
これがヤングケアラー
これはヤングケアラーじゃない、
学校行けてないからヤングケアラー
そういう話じゃなくて
答えになっていないかもしれないけど
決められないんだなと、他の人が」
○弟をケア 清﨑さん
「ケアって薬の管理をしているとか
見守っている、というのもケアに入る。
本当にケアって多様で
自分がヤングケアラーかもしれないって
思ったら、それって本当というか
その気持ちを大切にしてほしいし
逆に自分はヤングケアラーって
思いたくない気持ちも
それはそれで大切だと思っていて」
○櫻井
「すごくよくわかりました」
「周囲や社会に対して
こうしてほしいという思いは?」
○母・祖母をケア 山本さん
「人ごとじゃないというか
いずれ自分の子供であったり
パートナーであったり
そういうところに
関係するのではないかという
視点を皆さんに持ってほしい」
○弟をケア 清﨑さん
「すれ違う町のおっちゃん
おばちゃんに『おはよう』と
挨拶されるだけでも
大きなことなのかなと思っていて
『ごみ捨て手伝うで』くらいの
ちょっと人に頼れる
助けてもらえるというだけで、
ヤングケアラーの生きづらさというのは
解消されるのかなと思っています」