#019 命の門番「ゲートキーパー」
今回、集まってくれたのは、
“生きることに悩む”身近な人に、
寄り添ってきたゲートキーパーの3人です。
○友人・ゲートキーパーを支援
NPO法人Light Ring.
瀧本くるみさん(24)
「友達に『自傷行為をした死にたい』という気持ちを打ち明けられて」
○友人を支える高校生(17)
「『死ぬ方法を教えてほしい』みたいな」
○不登校の子供の親を支える会社員(40代)
「今、子供が不登校で、
不登校の子供を抱える保護者って
死とか病んでしまうことって身近にあって」
「命の門番」とも言われるゲートキーパーは
身近な人の自殺の危険に気づき
声がけや必要な支援などにつなげる存在。
特別な資格は必要ありませんが
その存在を増やそうと、
国や自治体などの取り組みも広がっています。
そこで私も
ゲートキーパー講習で学んでみました。
○日本ゲートキーパー協会 大小原利信理事長
「リストカットしているという子がいたら、
翔君なんて言いますか?」
○櫻井
「正直なんて声をかけたらいいか、わからないですね。
戸惑ってしまうというか」
人の命にかかわると思うと
言葉をうまく見つけることができません。
そこで教わったのが
『味方になりきる3つのコミュニケーション』。
一つ目は「名前」です。
○日本ゲートキーパー協会 大小原利信理事長
「『翔君こんにちは、翔君ありがとう』
名前を言われたらどんな気持ちになりますか」
○櫻井
「近く感じますね」
○日本ゲートキーパー協会 大小原利信理事長
「名前を呼ぶっていうのは目の前の人を認めていますよ
って印なんです」
2つ目は「提案型」。
○日本ゲートキーパー協会 大小原利信理事長
「『あなたを見ていて元気がないと思うんだけど
何かできますか』っていう提案型」
○櫻井
「どうしたのって質問はさけた方がいい?」
○日本ゲートキーパー協会 大小原利信さん
「そうですね、『どうしたの大丈夫』っていうと
大体大丈夫っていいますから」
より追い詰めてしまうこともあるため
質問やアドバイスはさけた方がいいといいます。
そして最後は。
○日本ゲートキーパー協会 大小原利信理事長
「死にたいくらいつらいんですねって【共感】する」
「そんなつらい思いを打ち明けてくれて
ありがとうと【感謝】するんです」
「また、電話くださいって【約束】をします。
そうすると約束した日、時間にちゃんと電話をくれる」
共感・感謝・約束を入れることで
自殺を防ぐための会話になるといいます。
習ったことを意識しながら
実際に悩みを聞いてみることに。
友人の佐藤さんから突然電話がかかってきた設定です。
♪着信
○櫻井
「佐藤さんこんにちは」
○友人役・佐藤さん
「こんにちは、今橋の上にいます」
○櫻井
「橋の上・・・何があったのか私で良かったら話してみませんか」
○友人役・佐藤さん
「私のミスで上司から怒られてしまって
こんな怒られ方初めてで」
○櫻井
「それは大変でしたね」
○友人役・佐藤さん
「今までまじめに仕事をこなしてきたのに
せっかく上司から良い評価をもらっていたのに」
○櫻井
「大変なことを話してくれてありがとうございます」
考えながらでしたが、共感と感謝を伝え…
そして最後に。
○櫻井
「また来週この時間にお電話してくれますか?」
○友人役・佐藤さん
「はい、わかりました、失礼します」
*電話を切る
○櫻井
「いや、難しいですね。めちゃくちゃ難しいです。
教えていただいたから答えられたことが
たくさんありましたけど、知らなかったら答えられなかった」
○日本ゲートキーパー協会 大小原利信理事長
「だから3つのコミュニケーションを
社会にいっぱい広げることが自殺予防になる」
○櫻井
「知っていることがものすごく大切ですね」
では、実際に悩みを聞き、支えているゲートキーパーは
どのように感じているのでしょうか。
○櫻井
「死と向き合う側面もある中で、そういったことの怖さっていうのは」
○友人を支える高校生(17)
「たくさんあります。
自分の一言でもっと悪い方向に行ってしまうんじゃないかって」
○櫻井
「その怖さは乗り越えたんですか?それとも抱えたまま?」
○不登校の子供の親を支える会社員(40代)
「死は怖いけど、何もしないことの方が
もっと怖いというのが正直あって」
○友人・ゲートキーパーを支援
瀧本くるみさん(24)
「そういう気持ちをもった時に相手にそのまま素直に伝える
『あなたのためになりたいと思っているけど、
もし私の言動でやだなと思ったらそれを伝えてね』って」
○櫻井
「素直にそういうことを言っちゃってもいい?
決して上からひっぱりあげることだけでなく
時には並走というか一緒に横で歩いていく
ということも大切だということですよね」
○友人・ゲートキーパーを支援
瀧本くるみさん(24)
「そうですね」
ただ、命という深い悩みと向き合うため、
ゲートキーパー自身が
思いつめてしまうことがあるといいます。
そこで、大事にしているというのが。
○友人を支える高校生(17)
「自分が相手の感情に引っ張られてしまったり
そんなふうにつらくなった時は
自身のゲートキーパーとして、先生とかに相談して」
○不登校の子供の親を支える会社員(40代)
「自分のやれる役には限界があるんだって
自分も助けを求めながら誰かを支える」
○友人・ゲートキーパーを支援
瀧本くるみさん(24)
「自分の時間を使って力んで一生懸命支えようと思わなくてもいいし
自分のことを大切にしてもいいんだって」
○櫻井
「自分自身が背負いこみすぎないというか」
○不登校の子供の親を支える会社員(40代)
「自分を犠牲にしてしまうと
何のために自分が生きているかわからなくなってしまう」
○櫻井
「確かに」
○櫻井
「私たちにできることはありますか」
○不登校の子供の親を支える会社員(40代)
「もし誰かが“死にたい”って言っているときは
実は“生きたい”って思っているんだって思ってほしい。
自分の中で言っていることを置き換えて、
ゲートキーパーに取り組んでほしいな」
○友人を支える高校生(17)
「まだまだ認知度が低いし意識してゲートキーパーになるのは
難しいと思うんですけど、
まずは知るところから始めてくれたら嬉しいなって」
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ゲートキーパーへの支援や
なりたい・知りたい人への情報は
厚労省のHPなどに掲載されています。