能登地震1年… 再建への歩みと思い
櫻井キャスターは、
石川県珠洲市の仮設住宅へ。
訪ねたのは…。
○櫻井
「坂さんお久しぶりです」
○建築家
坂 茂 さん(67)
「お久しぶりです
わざわざ遠いところ
ありがとうございます」
建築家の坂茂さんです。
建築界のノーベル賞と言われる
「プリツカー賞」を受賞するなど
世界で活躍しています。
坂さんは去年、
仮設住宅としては初めてとなる
木造2階建ての建物を設計。
その特徴は…。
○建築家
坂 茂 さん(67)
「僕らは恒久仮設住宅と呼んでいます」
○櫻井
「長くずっと」
どんな仮設住宅なのか…。
○櫻井
「木の香りがしますね」
見せてもらったのは、
去年7月から住んでいるという
木澤正弘さんのお宅。
○建築家
坂 茂 さん(67)
「これが今回の特徴の
DLT(素材)という木造」
○建築家
坂 茂 さん(67)
「プレハブだと隣の音も聞こえますが
どうですか?」
○7月から仮設住宅に住む
木澤 正弘さん(90)
「全然聞こえないですね」
○櫻井
「奥様は住み心地いかがですか?」
○7月から仮設住宅に住む
妻・京子さん(88)
「何も不満ありません」
坂さんがこだわった1つが、
この“木の造り”でした。
○建築家
坂 茂 さん(67)
「普通の仮設住宅は
2年間で皆さん引っ越してもらって
解体してゴミになってしまう
それがあまりにももったいない」
学校のグラウンドなどに
建設されるプレハブの仮設住宅は、
入居期間が原則2年と決められていて、
過ぎたら撤去されることがほとんどです。
一方、この木造の仮設住宅は
2年過ぎたあと、
災害公営住宅に転用される方針で
希望すれば、
そのまま住み続けることができるのです。
これまで
東日本大震災や熊本地震でも
仮設住宅を手がけてきた坂さん。
○建築家
坂 茂 さん(67)
「避難所のクオリティーを良くして
すぐに恒久的に住める
復興住宅に入っていただく
みなさん2年間で出ないといけないことは
それだけでストレスなんですよね
(新しい)家を建てるのも
ここに住み続けるのも
両方チョイスがあるようにした方が
被災者にはいいと思います」
ただ、課題も…。
○櫻井
「時間とともに見つかったことは?」
○建築家
坂 茂 さん(67)
「国の基準は6坪・9坪・12坪なんですよ
これは家族として狭すぎる」
○櫻井
「それまでに過ごしていた
生活の様式にも合わせて?」
○建築家
坂 茂 さん(67)
「もう1ランク上げていかないといけない」
生活を一変させた地震から1年。
復興の歩みを進める人は、他の場所でも。
○櫻井
「うわー小さい
この牛たちは?」
○松田牧場
松田 徹郎さん(36)
「生まれて間もない子牛ですね」
畜産農家の松田徹郎さん36歳。
乳牛や黒毛和牛など
およそ120頭の牛を飼育する
「松田牧場」を経営しています。
しかし地震で牛舎が被災。
○櫻井
「右側で斜めになっていますね
柱が」
牛舎4棟のうち2棟が全壊判定。
飼育出来る場所がなく
一部の牛を
売らざるをえなかったといいます。
地震の被害は、ほかにも…。
○松田牧場
松田 徹郎さん(36)
「停電で搾乳ができなくて、
牛が生理的に
牛乳の生産をやめてしまって
牛乳の生産量が落ちてしまった」
生産量は一時4分の1まで低下し、
経営は厳しい状況に。
牛舎の再建などにかかる費用は
約2億4400万円。
うち1億8000万円は
行政から補助金が出ますが、
自己負担として残り約6400万円が
重くのしかかっていました。
○松田牧場
松田 徹郎さん(36)
「わらにもすがるような思いで
クラウドファンディングをやって
そこでかなりの額の支援を
いただきました」
集まったのは、目標を超える
7000万円以上の支援でした。
○櫻井
「全国の方々の気持ちが
金額という数字に表れたと
思いますが、
どう感じましたか?」
○松田牧場
松田 徹郎さん(36)
「任せてください!という
気持ちになりましたね
おれがやってやります!と」
松田さんの牧場は、
去年9月の奥能登豪雨でも被災。
それでも、全国からの支援が
折れかけた心を支えてくれたといいます。
○櫻井
「1年たって振り返っていかがですか?」
○松田牧場
松田 徹郎さん(36)
「めちゃくちゃ長かったと思いますね
いろんなことがあったし、
つらいこともたくさんありましたし」
いま松田さんが目指していること。
○松田牧場
松田 徹郎さん(36)
「みなさん暗い顔をしている
そういう人たちが
心から笑えるような街になってほしいです
そういったお手伝いを
牧場を使ってやっていけたら
街から出て行ってしまう人は
かなり多いと聞いています
そういった人が戻ってこられるように
我々が頑張っていかなきゃ
ならないのかなと思っています」