#229 まるでライブ…韓国デモに参加する若者の思いは
尹大統領への弾劾訴追案が可決した瞬間、
歓喜する24万人ともいわれる市民。
まるでライブ会場のようですが、
実は、こうして多くの
若者たちが声をあげたことも
弾劾の原動力になったとみられています。
私は、実際にデモに参加した
大学生に話を聞きました。
22歳の大学生、
權英珉(クォン・ヨンミン)さん。
政治的なデモに参加するのは
今回の弾劾集会が初めてだといいます。
○櫻井
「どのような経緯で
なぜ参加することになったのでしょうか?」
○弾劾デモに参加した
權英珉さん(22)
「自分が選んで当選した初めての大統領なんです。
この国の民主主義の一員として
参加すべきだと思いました。
非常戒厳は韓国と北朝鮮で
戦争が起きた場合か、
あるいは他の外国から
侵略された際に出されるので
(尹大統領は)特に理由もなしに
宣言してしまったこと、
韓国の国民に大きな混乱を与え、
国民を脅かすことを
自ら起こしてしまったのは
本当に大きな過ちを犯したのだと思います」
○櫻井
「もう1つ、デモで驚いたのは
みなさんペンライトを持っていました。
まるでコンサート会場のような雰囲気でしたが
あの景色をどのように思っていますか?」
○弾劾デモに参加した
權英珉さん(22)
「私もペンライトを振りながら
KーPOPの歌に合わせて
スローガンを叫んでいる時は、
コンサートにいるような
気持ちにもなりました。
(韓国は)つらいことがあった時には
歌で乗り越えていく
そのような文化があったので
より、そのように感じたのかもしれないです。
前から持っていた
自前のペンライトで参加しました」
○櫻井
「それは何用に持っていた?」
○弾劾デモに参加した
權英珉さん(22)
「コンサートでの応援用として
購入したものです」
〇櫻井
今回のデモの象徴ともいえる
「ペンライト」なんですが、
韓国メディアによるとこんな逸話があります。
過去のデモで
ろうそくを使った集会が行われた際、
国会議員が「風が吹けばろうそくは消える」と
デモを軽視するような発言。
それに怒った市民がペンライトや
懐中電灯などを持って出てきたそうです。
つまり、「吹き消すことができない思い」を
表しているということなんです。
そして、
もうひとつ象徴的なアイテムがこうした旗。
こちらは「親離れを拒むカンガルーの子ども連合」
と書かれています。
ほかにも、
「全国 家でゴロゴロ連合」
「ワンちゃん足の匂い研究会」
「寒くてもアイスコーヒー連合」
なんていうのもありました。
藤井さん、どうしてこんなデモとは
直接関係なさそうな
ユニークな名前をつけていると思いますか?
〇藤井
これはいろんな人がデモに
ハードルなく参加するためなのではないですか?
〇櫻井
その一面もあるかもしれませんが
これは、あえて実在しない組織の名前をあげることで
特定の組織とは関係なく
”自発的にデモに参加している”のだ
ということを表現しているということなんですね。
改めてクォンさんに
韓国の若い世代の思いを聞きました。
○櫻井
「今回のようなデモで
權さんの世代、もっと下の世代、
これからどんどん政治への関心が
高まっていくのでしょうか?」
○弾劾デモに参加した
權英珉さん(22)
「はい。
今まで投票に行かなかった人や
投票権のない10代も今回のことで
より政治に関心を持つようになると思いますし、
これから成長する子どもたちも
今回のことを歴史として学びながら
関心が高まっていくと思っています。
自分が参加したところで
変わるだろうかという疑念もありました。
実際にデモに参加して
(弾劾案が)可決されるその瞬間
そこに自分がいるということが
とてもやりがいを感じましたし、
これからもずっと参加して
声をあげるべきだということを
本当にしみじみと肌で感じました」
〇櫻井
弾劾案可決後も裁判所の前で
大統領の罷免を求める集会が行われるなど、
デモは続く見通しだということです。