• キキコミ

#218 金メダリスト支える “車いす”の秘密

2024.09.09

パリパラリンピック
車いすテニス男子シングルス
史上最年少の18歳で
金メダルを獲得した小田凱人選手。
激闘を制した瞬間、車輪を外して
赤土に「ダイブ」した場面、印象に残りました。

今回のパラリンピックで日本は
14個の金メダルラッシュとなりましたが…

小田凱人選手、そして、
車いすテニス女子ダブルスの田中愛美選手。
車いすラグビーの池崎大輔選手。
こちら3人の金メダリストが
    使用している「車いす」。
実は「同じメーカー」が
     開発したものなんです。
(※池崎選手は日常用)

金メダリストを支える
     車いすの「秘密」を
生みの親である
   橋本裕司さんに聞きました。



〇櫻井
「契約する3選手全員が金メダル
 おめでとうございます!」
〇橋本裕司さん
「こんなうれしい日が来るなんて
 思ってもみなかったので本当に感無量です」

静岡県浜松市にある
  橋本エンジニアリングは1968年創業。

競技用車いすの開発を始めたのは、
いまから7年前のことだったそうです。


〇櫻井
「橋本エンジニアリングの競技用の車いすは
 どういった特徴があるんでしょうか?」
〇橋本裕司さん
「マグネシウムに着目してマグネシウムを使った
 軽い車いすを作ろうと思ったんですね」
 マグネシウムというのは非常に強い材料なので
 軽いだけではなく
 非常に剛性の高いボディーを作ることができます」

想像よりも軽く…
男性や力のある人が持てば
片手で持てるのでは
     (番組ディレクター)


〇櫻井
「ほかの企業も真似するんじゃないかと思いますけど
 難しい技術?」
〇橋本裕司さん
「強い材料なので
 曲げたりすることが非常に難しいんですね。
 力ずくで曲げてしまうと
     バキンと割れてしまう。
 割れないように
 きれいなカーブで成形する
    これが非常に難しいですね」

一般的な「アルミ製」の車いすは
重いもので約20キロあり、
車いすテニスの競技用ですと
  約15キロだといいますが、
小田選手の
「マグネシウム製」車いすは11キロ。
この4キロの差は
競技の世界では大きいといいます。

丈夫で、軽く作れるのが
   マグネシウムの特徴ですが、
「曲げたり、つなげたり」する
加工が非常に難しいということで、

元々「金属加工」の
メーカーである
    橋本エンジニアリングと
静岡・浜松地区の「町工場」が
結集して開発したのが
「マグネシウム製車いす」
       の技術なんです。

この丈夫で軽い車いすと
    小田選手との出会いは、
小田選手が12歳の時でした。

〇橋本裕司さん
「すごいジュニアの男の子がいるから
 という話をいただいて。
 勝ちにこだわる思いが映像から
 ひしひしと伝わってくる。
 この子にかけてみようかなと。
 彼に『うちの車いすに乗ってくれませんか』と
 声をかけさせていただきました」
〇櫻井
「6年前の時点でこのような未来は
      思い描いていましたか?」
〇橋本裕司さん
「思ってもみませんでしたので
 私の気持ちが追いつかないです」
「(出会ったころはメディアなどで)
 『障害がある子どもたちのヒーローになりたい』
 と言っていましたね。
 今は違うみたい。
 『障害がある子も健常者の子も
  すべての子どもたちのヒーローになりたい』
 という目標に変わっていますね」

小田選手、金メダル獲得から
一夜明けた会見ではこうおっしゃっています。

「僕はほとんどの試合が年上の選手。
 でも、子どもが大人に勝つって
 面白いと思うし、
 (見ている)子どもたちも
“俺もいけるんじゃないか”
 って思ってくれるかもしれない。

 気持ちがあれば絶対、夢がかなうと思う」

 

こちらの記事もオススメ!