#214 異例の都知事選…フェイクも
今回の都知事選は、
異例ずくめの選挙戦となりました。
その象徴となったのが
選挙ポスターの掲示板です。
過去最多56人が立候補し、
都民のみなさんは、こんな謎の掲示板を
街中で見かけたかもしれません。
中には「ほぼ裸の状態の女性の写真」が掲示され、
警視庁から警告されたポスターもありました。
さらに、掲示板が「48枠」しかなく、
49番目以降に届け出た候補者には、
都の選挙管理委員会がクリアファイルを使って
ポスターを取り付けるように求めました。
そして、インターネットも
大きな影響を与えました。
JX通信社の調査では投票先を選ぶ際に
「YouTubeの動画」を参考にした人が
どのくらいいたのかを調べたところ、
石丸氏を選んだ人の中では
「大いに」もしくは「ある程度」
「参考にした」という人が、
半数近く(約46%)に上っていて、
小池氏、蓮舫氏を大きく引き離しています。
ある自民党議員は
「ネット選挙がここまで票に
直結したのは初めてでは」と話しました。
一方で、SNS上には
「フェイク画像」も散見され、
Xで拡散した小池氏が東京の八丈島で
演説した時の画像では
白い布に緑色で書かれた文字が。
私たちが実際に現地で撮影した
画像を確認すると、真っ白で
文字は書かれていません。
元画像を加工した「フェイク画像」なんです。
そこで、きょう私が話を聞いたのはこちら。
ネット上のフェイクについて
研究する、国際大学の山口真一准教授です。
2つのポイントで話を伺いました。
「選挙とフェイク?」
「85% 見抜けず」
○櫻井
「今回の都知事選でフェイクの状況を
どのようにご覧になった?」
○山口准教授
「今回の東京都知事選がフェイク情報が
多かったというよりは、選挙の時には
何かしらフェイクニュースは拡散するもの」
○櫻井
「選挙とフェイクは切り離せない?」
○山口准教授
「2人の候補が非常に接戦だったとします。
たった5%ぐらいの人が考えを変えるだけで、
がらっと結果が変わってしまう」
○櫻井
「先生の研究ではどれくらいの人が
フェイクにだまされる?」
○山口准教授
「フェイク情報を見聞きしたあとに、
情報が誤っていると判断できている人、
平均して約15%しかいない」
○櫻井
「ええ…!」
○山口准教授
「つまり約85%の人は
だまされてしまっている、
ということが言えます」
○櫻井
「それをお伺いすると自分が
約85%にいないと、
胸を張って言える自信がない…
だまされていると思った方がいい?」
○山口准教授
「まさにそのとおりで、
自信がある人はむしろ、
フェイク情報にだまされやすくて
拡散しやすい、という傾向がある」
○櫻井
「私たちがだまされないように、
特に注意した方がいいことは?」
○山口准教授
「自分がだまされるとよく認識する。
約85%がだまされているということは
自分もだまされるかもしれない」
「その上でぜひ情報検証行動をしてほしい。
ほかのメディアでどう言われているか
確認するとか、
投稿された日時を確認するとか、
専門家が言っているのかなど確認する」
「自分が拡散したくなったときだけでも
情報を検証する癖をつける」
○山口准教授
「さらに選挙の時などは
新しい情報がいっぱい出てきて、
検証してもわからないことがあります。
そういった場合に私たちができることは、
その情報を拡散しない、
これにつきると思います」
○櫻井
山口准教授の研究によると、
フェイク情報を拡散する手段で
最も多かったのは友人や家族との
直接の会話だったそうです。
インターネットやSNSだけでなく
誰かに「知ってる?」と話す前に、
情報がウソか本当か確認する。
できなかったら「広めないこと」が大切です。