○櫻井
私はいま
七尾市の和倉温泉に来ています。
現在は２１軒ある旅館のうち１９軒で
通常営業が出来ていない状況です。

温泉旅館「美湾荘」にお邪魔しています。

いま私は７階にいるんですが、
こちらの床を見てみますと
３０センチほど大きく割れていて
下の階が見える状態になっています。
ちょうど建物と建物の継ぎ目で
割れたということなんです。

そしてこの継ぎ目から向こう側の建物
地震で地盤ごと沈み込み
大きく傾いてしまったため、
あちら側だけ解体することが
決まっているといいます。
その準備作業が、
７月１日から始まったということです。

ここからは、
美湾荘の多田直未社長に
お話を伺います。
改めて今日は
どのような作業が行われたんですか？

○和倉温泉「美湾荘」
　多田 直未社長
今日は本格解体工事の前の設備や配管の移設
そういった準備の工事が始まりました。　

○櫻井
解体工事そのものは
いつごろからになりそうですか？

○和倉温泉「美湾荘」
　多田 直未社長
実際壊しにかかるのは
１２月ごろの予定です。

○櫻井
営業再開が気になるところですが
こちらメドというのは？

○和倉温泉「美湾荘」
　多田 直未社長
どうしても壊して
また建てなければなりませんので
どんなに早くても
再来年の秋以降ということです。

○櫻井
藤井さん、営業再開までまだだいぶ
時間がかかりそうということです。

○藤井
建物の一部を解体するというで、
公費解体で行うんでしょうか？

○和倉温泉「美湾荘」
　多田 直未社長
公費解体を待てない
というところがありまして、
早く営業したいので
自費解体を選びました。

○櫻井
通常営業はできていませんが、
現在、解体業者の方たちが
泊まっているということで
部屋をみせていただけますか？

○和倉温泉「美湾荘」
　多田 直未社長
こちらのようにほとんど被害がなく
きれいな部屋もあるんです。

○櫻井
部屋の中は被害もなくきれいな部屋で
夕方にお邪魔したんですが、
外には海が一望できる
大変すてきな部屋なんですよね。

○櫻井
ただこの奥のところ、
まだそのままになっているところも
あるというんです。
多田さんこちらの部屋は？

○和倉温泉「美湾荘」
　多田 直未社長
こちらの部分は先ほどご覧いただいた
割れ目になった部分に接する箇所で、
このようにひどい被害になっています。

○櫻井
奥の壁の枠組みのところが
丸見えの状態となっていまして、
そのままの状態にならざるを得ない
というところなんです。

○櫻井
７月１日で半年が経ちましたが、
今の課題というのは
どういったことがありますか？

○和倉温泉「美湾荘」
　多田 直未社長
たくさんの支援の政策が
あると思うんですが、
やはり少し申請が煩雑であったりとか
スピード感といったところで
もう少し柔軟にしていただけると
被災者としては嬉しいです。

○櫻井
情報の周知といった点では
いかがでしょうか？

○和倉温泉「美湾荘」
　多田 直未社長
実際に解体業者さんに対する
宿泊費の全額補助ですとか
そういったことも打ち出されたんですが
まだまだ周知徹底が
なされていないようですし
申請も少し難しいということを
聞いています。

○櫻井
最後に伝えたい
メッセージはありますか？

○和倉温泉「美湾荘」
　多田 直未社長
半年がたちまして、
少し皆さん
忘れてきてしまっているのかなと
心配になることもあるんですけれども、
生活の中でできる範囲で結構ですので
能登半島をこれからも
応援していただけると嬉しいです。

○櫻井
多田社長、大変な中、
貴重なお話をありがとうございました。

きょう取材しました
珠洲市の８５歳の刀祢さんも
「忘れられつつあるのではないかと
　不安に感じることがある」
と話していました。

遠く離れた場所にいても
能登の皆さんを忘れずに日々を過ごす。
それが復興の後押しとなり得ると
感じました。