#227 池袋暴走事故…飯塚受刑者死亡 松永拓也さんの思い
○櫻井
東京・池袋で起きた暴走事故で、
実刑判決を受けた飯塚受刑者が
刑務所で死亡していたことが分かりました。
93歳、老衰だということです。
私は、2024年4月、
事故で妻と娘を亡くし
再発防止を訴えてきた
松永拓也さんに話を聞きましたが、
つい先ほど、改めて今の思いを伺いました。
○櫻井
「飯塚幸三受刑者が亡くなりましたが
これまで向き合ってきて
率直な思い、いかがでしょうか」
○交通事故で妻・娘を亡くした
松永拓也さん(38)
「いろいろな思いはあるのですが、
まずは私としては
ご冥福をお祈りしたい思いが
第一にあって
私たち遺族も本当に
この5年間苦しい思いをしましたし、
妻と娘も
もっと生きたかったと思うんです。
すごく無念だったと思うんです。
妻と娘に、もし死後の世界があるならば
会うことがあれば
一言だけ謝ってほしいですが、
それ以上の彼に対する
強い怒りや憎しみは
正直あまり感じてなくて」
2019年4月。
東京・池袋で起きた車の暴走事故で、
妻の真菜さん、
娘の莉子ちゃんを亡くした松永さん。
車を運転していた飯塚幸三受刑者は
一貫して無罪を主張していましたが、
2021年に禁錮5年の実刑が確定し、
刑務所に収容されていました。
飯塚受刑者との面会を
強く希望していた松永さん。
2024年4月。
○櫻井
「実際に対面するのでは、
かなり心のハードルも高いと
思うのですが?」
○交通事故で妻・娘を亡くした
松永拓也さん(38)
「複雑な気持ちにはなると思います。
だけれども、やはり最終目標
妻と娘の命を無駄にしない。
社会から事故を減らしたい
という目標のためには、
彼に(感情を)
ぶつけることはしないです」
そして2024年5月、
松永さんは飯塚受刑者と面会。
アクリル板越しに、
40分あまり話したといいます。
○交通事故で妻・娘を亡くした
松永拓也さん(38)
「想像していたよりも
かなりお年を召されていて
正直なところ驚きました。
『世の中の高齢者やそのご家族に
お伝えしたいことはありますか』
という質問をしました。
これに関しては
『早く免許を返すように
伝えてください』
と言っていました」
面会の最後、飯塚受刑者は、
「ありがとうございました」と
声を絞り出し
お礼を述べたといいます。
そして面会から5か月たった10月、
老衰で死亡したということです。
○櫻井
「25日も沖縄で講演活動をされて
日本全国を飛び回って
講演をされる日々だと思いますが、
これからもこうした
(再発防止を訴える)活動を
続けていく気持ちは
強いのでしょうか?」
○交通事故で妻・娘を亡くした
松永拓也さん(38)
「それは変わらないです。
妻と娘を亡くしたときに、
妻と娘と約束したことだから
2人の命を無駄にしないと、
それが自分の生きる力にも
なっています。
だからやり続けたいと思います。
何より、もうこんな思いは
誰にもしてほしくない。
それが一番です。
○櫻井
「彼(飯塚受刑者)の思いを
託されたという
コメントもありましたが?」
○交通事故で妻・娘を亡くした
松永拓也さん(38)
「私が勝手に託されたと
思っているだけなんですが、
私は彼の加害者に
なってしまった経験というのも
この耳で聞くことができたので、
彼の経験・彼の言葉を
無駄にしないように、
活動としてつなげていきたいです。
彼の言葉というのも
活動に生かしていきたいです。
再発防止のために」