• プライチ

#139 ブラジル"逃亡男” どう処罰?

2022.09.05

妻の殺害を認めているというにも
かかわらず逮捕されず
今もブラジルにいるとみられる容疑者の男。




というのも、
「国際手配」しても捜査に強制力はなく
身柄の拘束などには
結局、逃亡先の国の協力が欠かせないんです。
しかも今回はブラジルということで、
簡単にはいきません。




日本とブラジルの間には、
日本国内で犯罪を犯した外国人の身柄の引き渡しを要請して、
日本の司法制度で裁く、
「犯罪人引き渡し条約」がありません。

ちなみに日本が条約を結んでいるのは
アメリカと韓国の2か国のみ。
しかもブラジルは国民を外国へ引き渡すことを
憲法で禁じているんです。

実際、過去にも日本で犯罪を行った容疑者が
ブラジルに逃亡するケースがありました


2005年に静岡県で起きた強盗殺人事件。
その翌年に日本テレビの記者が
容疑者の男を逃亡先のブラジルで直撃しました。




(※2006年のやりとり)
記者
「ハジメさん?」
逃走中の男
「そうです」
記者
「日本から来たんだけどちょっと話を聞きたい。
 あなた浜松にいましたよね?」
「ここで話そう」
逃走中の男
「話せない!」

記者が警察に出頭するよう説得しましたが、
男は従いませんでした、

こうした逃亡犯に対して
何もできないのかというとそうではありません。




この静岡のケースでは、
日本政府が「代理処罰」を求め、
ブラジルの検察が男の身柄を拘束。
日本側が有罪を立証した資料をもとに
代わりにブラジルの裁判所で裁判を行ってもらい、
禁錮34年5か月の判決が言い渡されたんです。

これがブラジルでは日本の要請に応じた代理処罰で
(1審で)判決が出た初めてのケースとなったんですが、
ハードルは高いといいます。




この静岡のケースで
被害者側の代理人をつとめた高貝弁護士によりますと、
「捜査資料を集めても
 それをポルトガル語に翻訳して
 引き継がなければならず、
 外務省などのルートを通じて
 現地警察に指名手配してもらうのにも
 1~2年はかかってしまう。
 実際に逮捕されるかは、現地の警察次第」

ただ、今回の大阪の件については、
「静岡のケースをきっかけに
 代理処罰への道も開けたので
 同じ流れで捜査することは可能ではないか」
と、話していました。

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