#177 今週にも…“処理水”海洋放出 理解どこまで?
山場を迎えた海洋放出に向けた動き。
焦点となっていたのは、
「地元や漁業関係者の理解」
「国内の理解」
そして「国際社会の理解」、
この“3つの理解”です。
全漁連の坂本会長は
反対は変わらないとしながらも
「安全性への理解は深まってきている」
と話していました。
全漁連の態度が、変化してきたワケは?
坂本会長の話を総合すると、
「たとえ数十年の長期にわたろうとも
全責任を持って、対応する」という
岸田総理の発言もありましたが、
政府が風評被害対策や
漁業を続けるための支援をする
基金を作ったことがひとつ。
さらに漁業関係者としては
「廃炉にならないと
最終的な安心はない」として
海洋放出は避けては通れないという
思いもあるようです。
そして国内の反応を見ても
NNNの世論調査では
半数以上の57%が賛成していて、
これも壁にはならなそう。
ただ、VTRで見たように
中国など周辺国から
依然として反対の声が根強いのも事実です。
そもそも原発から出た「汚染水」を
「ALPS」と呼ばれる
装置などを通して
セシウムなどの放射性物質を
安全基準以下の濃度になるまで
取り除いたものが「処理水」です。
ただ、トリチウムという
放射性物質だけは
取り除くことができないため
これを薄めて海に流すのが
近く予定されている海洋放出です。
中国は
「メルトダウンした原発から出たものは
通常の原発からの”処理水”とは異なり
トリチウム以外の放射性物質が含まれる
危険な液体だ」として
「汚染水」と呼び続けています。
この指摘について福島第一原発では
安全性の科学的な根拠を示すため、
ある取り組みを行っていました。
今回、特別に取材を許可されたのは、
放出直前の処理水を検査する
「化学分析棟」です。
記者
「(処理水を)見てみると
本当に無色透明」
これが実際に持ち込まれた処理水。
ここで“トリチウム以外”の
放射性物質の濃度を測定。
これは「炭素14」という
放射性物質の濃度を
測定するための作業。
一方こちらは
「ストロンチウム90」という
放射性物質の濃度を
測定するための作業です。
作業員がつけていたのは
「メガネ型端末」。
視界に作業手順が表示されるほか、
目線をカメラで撮影して
別室でも他の人が作業を
ダブルチェックでき、
ヒューマンエラーを減らすのに
役立っているといいます。
放出される処理水は測定の結果
ほとんどの放射性物質は
検出されておらず、
検出されたものも基準値を
大幅に下回っていることが
確認できているということです。
こうしたことで科学的に
安全性の確認を続ける東京電力。
政府は8月24日にも放出を始める方向で
最終調整しているということですが、
私たちも廃炉や海洋放出について
理解を深めていくことが大切です。