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#171「処理水」海洋放出 理解どこまで?

2023.06.26

福島第一原発で生まれる処理水を
海に放出するための工事が
6月26日、ほぼ終了しました。


 
トリチウムなどの放射性物質を含んだ処理水は
基準値以下まで薄めて海底トンネルを通し
沖合1kmにある放出口から海に流す方針です。
このトンネルを掘り終えた掘削機が
きょう放出口から引き揚げられました。

海洋放出に向けて
今後、どう進んでいくのでしょうか?

まず、6月28日からは原子力規制委員会による
海洋放出施設の「使用前の検査」が行われ、

さらにIAEA=国際原子力機関が
「評価結果」を公表。

その後、岸田総理が最終判断し…

夏頃までに海洋放出を開始する方針です。

ただ、懸念されるのがやはり
日本の漁業に対する風評被害です。

国はこれまで
「関係者の理解なくしていかなる処分も行わない」
との立場を繰り返し示してきました。

そこで注目されているのが
海洋放出に反対の立場を示している、
全国の漁業組合が加盟する「全漁連」の対応です。

これまでに 全漁連が出した決議では、
「処理水の海洋放出に断固反対であることは
 いささかも変わるものではない」
という文言がありました。
それが、先週出された今年の決議では
「処理水の海洋放出には反対であることは
 いささかも変わるものではない」
実は、これまで過去3回の決議には
“反対”の前にこの“断固”という
2文字がついていたんですが、
今回はなくなっているんです。

というのも、
国が漁業者支援として打ち出した
500億円の新たな基金や、
処理水の安全性に関する説明会を行ってきたことは
「重く受け止める」と一定の評価をしているんです。

ただ、全漁連の会長は
「海洋放出に反対の立場は変わらない」と話しています。

それでも政府関係者は
「これまでのこちら側の対応を評価してもらったようだ。
 ただ風評被害を気にされている。
 そこは今後の風評被害対策にかかっている。
 近道はなく、真摯に対応していくしかない」
と話しています。

2月に取材した福島県の漁師の青年は、
自分が賛成・反対を言ってもしょうがないとしたうえで、
「この問題から目をそらさずにみんなで話し合って
 自分たち若い世代がもっといい方向にもっていければ」
と話していました。

そうした地元の思いだけでなく
国内や海外の消費者の不安に応える意味でも、
海洋放出を始めるとしてる夏頃に向けて
しっかりとした説明がなされるのか、
私たちも注目していきます。

 

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