戦後間もない昭和22年、全国で一斉に始まった学校給食。
当時は貧しい食生活を補うためのものでした。
その後、パンやミルクが出始め、徐々に栄養面からメニューが考えられるようになりました。
給食をかつて楽しんだ皆さんに聞くと、30代以上には揚げパンが一番人気でした。
では今の給食はどうなっているのか?
茨城県で出た給食。
カレーと言ったらご飯が定番でしたが、今はナンも出るのだそう。
富山県の学校では、ベニスワイガニが1人1杯、給食に出るんです!
地産地消の一貫として毎年10月頃に出る恒例行事なのだそう。
また、いま給食で世界各国の料理を出す学校が多くあるといいますが、変わった給食はそれだけではありません!
静岡県のとある中学では"ジブリ給食"が出るといいます。
ジブリの中に出てくる食べ物とかを再現した給食です。
こちらが魔女の宅急便に出てくるニシンのパイに見立てたパイグラタンの給食。
グラタンをパイの食感に近づけようと、餃子の皮を上に乗せて、パリっと感を出しました。
また別の日には、「天空の城ラピュタ」から、パズーの目玉焼きと食パン。
そして、シータのミートボールシチューも出たんです。
他にも給食自体をイベントとして楽しんでいる学校もありました。
「お弁当給食」と言って、お弁当に詰め直して校庭や屋上で食べるという企画。
また島根県ではおにぎりや焼きそばなど15種類のメニューが並べるバイキング形式の給食。
これは栄養バランスを考えながら、食べ物を選ぶという食育の一貫でもあるんです。
なぜこのように給食が進化しているのでしょうか?
専門家に聞くと…「栄養教諭制度が発足して10年になるものですから、現場の意識が非常に高くなってきた、という事が言える。
競って、バラエティにとんだ、見た目も「おいしそう」というものになるように、一生懸命努力して作っている」といいます。
栄養教諭とは、子供の栄養の指導や管理を行う教員のことで、栄養士の資格を持った人が付く仕事。平成17年にこの制度が始まり。
その後、給食の質が格段に向上したといいます。
また8年前からは、年に1度、その技術を競いあう、「全国学校給食甲子園」が開催されるように。
調理技術や知識を研究する栄養教諭、調理師が増えているんです。
こうして進化した学校給食ですが、子ども達の一番人気は?
何と今の小学生も、大人と同じ揚げパンが好きだったんです。
しかし、昔の揚げパンと今の揚げパンは違う所があるのだといいます。
今の揚げパンがフワッとしている理由は、小麦粉が改良され、軽い食感のパン生地になり、そして油も、昔は安価な大豆しらしめ油を使用していましたが、今は油にもこだわり、キャノーラ油などでカラッと揚げているため、同じ揚げパンでも食感がサクサクしてるんです。
見た目が変化していない揚げパンでも、品質の向上により、更に美味しくなっていたんです。
ではこれらの進化によって、学校給食がどれ程美味しくなっているのか?
プロの料理人に給食を食べてもらいます。
協力して頂くのは麻布十番にある日本料理店、「哲庵」の後藤哲壮さん。
6年連続ミシュラン1つ星を獲得している一流料理人ですが、その一流料理人も驚く程、今の給食は美味しいようです。
実は今、料理人から調理法を学ぶ栄養士さんたちが増えているんです。
例えば、料理人で作られた「和食給食応援団」というチームのメンバー20人は、全国の小中学校を訪ね、ノウハウを栄養教諭、調理師さんにも教えているんです。
子ども達が楽しみにしている、給食。その陰には様々な人の努力がある事がわかりました。