土づくり
パイナップルやマンゴーを栽培するには、PH4〜6の酸性の土でないと生長しない。
そこで、村内で酸性の土を探してみることにした。
「ハウス内の土」「里山の斜面」の2ヵ所の土を採取し、土壌PH測定器で測ってみた。
その色の差は歴然で、斜面の土が「酸性土壌」、ハウス内の土は「弱アルカリ性」だった。
そこで、パイナップルとマンゴーの場所は、斜面の赤土に入れ替えることにした。
しっかり根がはっても大丈夫のように深さ50cmまで掘り、ハウス内の黒土を掘り出し、赤土を入れた。
その作業は3時間もかかった。



苗定植
沖縄で「バナナ」「パイナップル」「マンゴー」「パッションフルーツ」の苗を頂いた。
さっそく、土づくりを終えた南国ハウスに定植する。
「パイナップル」の苗は根付きやすい「吸芽」の部分を定植した。順調に行けば、来年の夏くらいには収穫できる。同じくマンゴーも赤土の畑に定植した。
「バナナ」「パッションフルーツ」は、堆肥を混ぜ込んだハウス内の土に定植をした。
定植後は、完全に日が落ちる前にハウス内の熱気を逃がさないようハウスを閉めるなど温度管理も慎重に行った。


バナナの茎切断
定植後、雨降りが続き、バナナの様子が変化してきた。バナナの表面の皮が乾燥し、黒ずんできてしまった。
南国作物に詳しい留学生のエムティさんに相談すると、「下は大丈夫だけど、上が悪いので、切りましょう」と言われた。
せっかくの苗を半分に切るのはとても怖かったけれど、エムティさんの言葉を信じ、「新芽が出てきますように」と願いをこめて、苗を半分に切った。すると、切り口はまだ緑だった。
さらに、バナナが元気を取り戻せるように、ヤギの糞を追肥として撒いた。
茎を切った日の夕方、バナナの苗の様子を見にいくと、なんと3ミリも芽が伸びでいた。
この調子で元気になってくれればと思い、様子を見守ることにした。


南国ハウス冬支度
10月暮れ、南国ハウス内の夜の冷え込みを防ぐため、マッシュルームづくりで利用したワラ堆肥をつくることに。
この堆肥は、最大で70℃まで上昇させることができ、この熱をハウス内の温度上昇に生かすのがねらい。
マッシュルームづくりの時と同様の作り方で、米ヌカと藁を交互に積み上げる。
外気温が12℃まで下がったある夜、ハウス内に入ってみると、気温は「23℃」。堆肥のおかげで、無事20℃以上に保つことができた。
しかし、新たな問題が発生。ワラ堆肥の効果か天井に届きそうな高さにまでバナナが生長。一刻も早くハウスの増設が必要な展開に。冬の課題はまだまだありそう。


枯れた葉を切り取る/ハダニ対策
順調に生長していたバナナだったが、根元の一枚の葉が黄色に枯れ始めた。
何かの病気ではないかと心配したけれど、これは順調な生長の証、つまり新しい葉が伸びてくるにつれ、下の葉は枯れていくという、葉の世代交代の時期ということで、一安心。念のため病気の予防として枯れた葉は切り取ることに。
生長の証は葉だけでなく、根元の部分にも現れていた。
それは、バナナの子株「吸芽(きゅうが)」。バナナはある程度大きくなると次の世代を残すために、吸芽が出るもの。その吸芽が出てくるということは、村のバナナも大きくなってきた証拠。1月の時点で13cmだった吸芽も15cmまで伸びた。
そんな中、新たな問題が発生。
葉の枯れていくスピードが異常に早くなり、バナナの葉を確認してみると、赤く動くものを発見。
それは、昨年夏にも数匹駆除をした「ハダニ」だった。
昨年の夏とは比べものにならない数のハダニが潜んでおり、急いで去年と同じ「唐辛子木酢液」を散布する。今回は、再び被害が広がらないよう、大量にバナナ全体に散布した。
これで、ハダニがいなくなってくれることを願うしかない。


2009年4月 エゴマ油粕液肥
冬の間も暖房システムのおかげで葉数も28枚に生長し、順調な生長に思えたが、葉の色がどことなく薄緑色になり、葉の力がなくなってきた。
そこで、エゴマ油を搾った際に残った、油かすを利用し「エゴマ液肥」を作った。
それを、50cm下まで生えた根にも吸収できるように、穴をあけ流し込んだ。
<エゴマ液肥の作り方>
@2斗樽に水を8分目まで入れる。
Aエゴマの搾り粕を2キログラム入れてかき混ぜ2週間程置いておく。
B1日一回はかき混ぜて発酵させる。

2009年5月中旬 花序が出てくる
エゴマ液肥のおかげなのか、葉は順調に増え、葉数は31枚。
すると次に葉ではなく、赤いとうもろこしのようなもの(花序「かじょ」)がバナナの茎、中心から出てきた。

2009年5月下旬 花序倒れる
茎の中心から出てきた花序は、さらに伸びて垂れ下がってきた。
包葉の重なったバナナの花序を恐る恐るめくってみると、バナナを発見。
定植から13ヶ月、ようやく待望のバナナの実が姿を現した。
そして、実の先端には黄色い花。バナナは受精に関係なく肥大する単為結果の植物。
ここからバナナは、肥大と共に上をむいてそり上がるらしい。
通常は、150本〜200本ほどのバナナがなると聞いたが、村のバナナは何本くらいなるのか、予想をたてた。
そして、花序の倒れた方角は東向き、太陽の方向に倒れるとも言われるバナナの実、ここから実りまでは4ヶ月ほど、目標は9月収穫。

2009年 6月 シーリングファンづくり
実ができると、みんな上に向かっていくというバナナの特徴が見え始めた。
これは、太陽光を受け活発化したホルモンの働きで重力に逆らって上向きに生長する特性があるから。
現段階で170本ほどの実がつき、さらに花序から実が出た事でバナナハートと言われる形にみえた。
そして、吸芽は世代交代の準備進め43pの長さに。
しかし、問題もあった、真夏の日差しの影響で、バナナ上の天井部分が45℃まで上がり、栽培適温である25〜35℃を超える温度になってしまった。
このままだと葉焼けを起こす可能性があり、扇風機(シーリングファン)をバナナの上に取り付けることに。
自然の力を利用して扇風機をまわすには風車の力が良いのではないかという皆の発案で、さっそく本で下調べをして、風車づくりにとりかかる。
村では「サボニウス型」の風車を作ることに。仕組みは、左右対称の半円で出来ており風向きを問わず回す事が出来る。その風力と連動させハウス内にファンを回す。そうすると、熱気が循環し、室温を均一化出来る。
バナナのためにも早速作業にとりかかった。
風車を軽く仕上げる為、細めの木で骨を組み、その骨組みに風を受けるビニールをたるまないように打ち付け、2つの半円が風を受けやすいように仕上げた。
そして4枚の羽でファンを組み立て、最後にバナナの上に落ちないように、しっかりと固定をした。
晴れた暑いも、シーリングファンはしっかりと回り、今まで暑かった天井部分も40℃まであがらずに押えることができた。


2009年 7月 バナナハートを切る
200本を超えたバナナだが、それ以降の実は腐り、反り上がらなくなった
腐りかけたバナナに栄養を持っていかれるわけにはいかないということで、バナナハートと呼ばれる部分をカットすることに。さっそく切断すると、その断面から汁が流れ落ちた。その汁をなめてみると、バナナの皮に感じられる「ギシギシ」の渋みが強く、生で食べれる状態のものではなかった。

2009年 9月上旬 緑のバナナ料理
2ヶ月で1.5倍の膨らみを見せた緑色のバナナ。
海外では緑のバナナも調理して食べるということもあり、試しに青いバナナを食べて見る。
しかも日本に輸入されるバナナは黄色くなる前の緑の状態で入り、日本で追熟されて店頭に並ぶらしい。
まずは生のまま、皮を向いていると固くて全く皮をむくことができなかった。
そして、バナナとは思えない「パッキ」という音で半分にわれ、それを口にしてみるとバナナハートに近い渋みが残っていた。
そこで、熱を加えて蒸しバナナにしてみることに。
バナナの葉に緑色のバナナを皮ごと包み、30分蒸した。
焼きあがったものを、恐る恐るあけてみると、生の時とは違い、柔らかく粘りがあるジャガイモのような食感だった。
バナナは肥大と共にデンプンを溜め込み、成熟するに従って分解され、糖へ変化し甘いバナナになるらしい。甘いバナナを食べるにはもう少し時間がかかりそうだ。


2009年 9月下旬 バナナ折れる
順調に実が膨らみ始めたバナナに、突然事件は起こった。
あまりの実の重さで茎の根元の部分から、バナナが折れてしまった。
実をこれ以上傷つけないようにするためにも、急いでハウスの柱に紐でくくりつけた。後は無事黄色に色づいてくれるのを待つしかない。

2009年 10月 バナナ収穫
バナナが折れてから10日が経ち、ようやくバナナ全体が黄色に変り、食べ頃のしるしでもある「シュガースポット」の黒い斑点がバナナの表面に現われ始めた。
200本近くあるバナナはとても重く、台秤で測ってみると18sもあった。
さっそく房ごとに分けて、1本口にしてみると、バナナ独特のしぶみは全くなく、今まで食べたことのないぐらい甘かった。
このバナナなら何本でも食べることができそう。


2009年 10月 親株を切り落とす
吸芽(子株)に栄養がいくように、実を収穫し終わった後の親株を切り落とした。
来年はこの吸芽に頑張ってもらわなければ。

2010年 8月
1代目収穫時の背丈を上回り、偽茎の太さも96.5cmにまで生長した。
しかし、花序が出現するまでもう少しかかりそうなので、まだまだ生長しそうだ。

2011年のバナナはこちら!!


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