実際、昨年末日本で騒がれた、基準値越えの汚染米が出来た田んぼには、カリウムが少ない傾向が確認されており、福島県でもカリウム肥料の方法はその対策法として、検討事項にあげられた。
だが、長谷川さん曰く、最近になって、それについて研究者の見解は、「日本では効果が期待出来ない」との方向に向かっているという。
それは、こちらの地との農業に対する概念の違い。
ベラルーシでは、肥料はあまり与えず元の土質のまま広大に作付け。
そのため、農地のカリウムを含めた養分が日本と比べて元々少ない。
それに対して日本の農業は狭い敷地での収量効率、品質を重視するため、古来より農地は豊かにしようと肥やす文化。
カリウム不足も僅かなため、この方法で大きな効果を望むのは難しいという。

ただ、ベラルーシの土質としては、20年以上掛けて調べられた結果が効果を上げているのも事実。
こちらベラルーシでは、そこに行き着くための綿密なデータを公開。
作物毎のセシウム吸収量、また、同じ作物でも品種の違いで吸い方が違う事を明らかにし、それらの情報からカリウム肥料の与え方の指導までを、判り易くパンフレットにまとめている。
厳密にそれを守っているというゾロチンさんは、事故当時6歳。
20代でこの地で始めた農業に熱意を持っていた。
そんなゾロチンさんの冬の農地は村にも参考になるものだった。

24時間焚かれた薪の熱で湯を沸かし、全体に巡らせたパイプ内をそのお湯が循環するハウス。
敷地面積は150uと村の南国ハウスの3倍ほどあるが、北向きの屋根の内側にはワラを敷き詰め、寒さ対策は万全。
ハウス内は20℃前後に保たれ、外気との気温差は50℃以上。
冬期はトマト、キャベツなど春用の苗づくり。
タマネギは、冬に葉を出荷、同じ鱗茎(りんけい)から複数回収穫できる。
薪は9〜4月の7カ月で105tを使用するが、安全面はどうか。
ゾロチンさん「薪は検査を通してる業者から購入してる」
ここは自給農家の多い地域というが、他の農家の方にも話を伺う。