一年の終わりと始まりの境目は、かけっこのゴールとスタートが一緒になっているみたいに思った。 かけっこはゴールが見え出すとそこを目指してラストスパートする。そしてスタートは、ゴールなんて見ないでただただ全力で走る。一年の過ごし方も僕はこんな感じだ。 だから、一月は「行く月」、二月は「逃げる月」、三月は「去る月」と聞くと、とても納得できる。一月から三月は本当に早く過ぎる感じがする。

ゴールとスタートが一緒だと、いつかスタミナ切れを起こしそうだけど、そんなことはない。実際、今年もスタミナは充分にある。 理由はやっぱりお正月。おいしいものや楽しいことをたくさんして、明雄さんやマリサ、会う人会う人、顔もみんな晴れやかだと、こっちのスタミナは自ずと回復されるらしい。





さらに、鏡餅や門松や羽子板や注連縄や書初めや、正月のいろんなものから懐かしさを感じ、また、張り切る力を与えられている。今まで年の始めにそういう気持ちで、そういうものを見てきたからだと思う。 昔の人々が作った習慣が、こんな僕にも染み渡ってきていた。意味も分からず幼い頃から見てきた甲斐があった。

去年の初夏からつくってきた三五八漬けと、秋に仕込んだ新巻鮭を食べて、村は仕事始め。田に水を引き、陶器のための石窯づくりも始まった。 とにかく、今年もいいスタートがきれた。




 

前の週 次の週