ますます寒さが厳しくなる村でも、大勢で食卓を囲めば外の寒さを忘れるほど身も心も芯から温まる。いつもよりゆっくりと流れるように感じる時間の中、去って行った年や無事迎えることの出来た新しい年のことで、会話が弾んでゆく。 |
毎年恒例のこの正月の風景。でも今年はもっと充実した気分でこの風景の中にいる。 |
その食卓を飾る料理は、僕らが昨年育てた作物でつくった自慢の料理。そして、その料理をよそう器は長い月日を要して完成した陶器。長い月日とともに、たくさんの失敗を積み重ねて完成したものだ。 世の中に二つとないたった一つの形、たった一つの色合いの自分だけの陶器。そこには、僕の失敗や成功が映し出されているようだ。 |
こぼれなければ器なんて何でもいい、こんなに手間暇かけるのは贅沢過ぎる。そうとも思える。でも、この正月の食卓に、僕は例年にない充実感や、心の余裕を感じることが出来ている。「使う」ということだけではなく、「楽しむ」ということも含めて、長い月日をかけて完成した陶器は、僕らの生活をとても豊かにしてくれたのだと思う。 |