久しぶりの雨。真っ白い雪の上にポツポツと落ちた。 冷たい雨でも、村に積もる雪にとっては暖かいお湯のようなもの。雨が落ちるたびにそこの雪は溶けていった。 分厚く積もっていたところは薄くなり、薄かったところからは少しずつ地面が見え始めた。

 まるで息継ぎをするみたいに、雪の下からポコッと顔を出した。 久しぶりの土色だ。 見ていて暖かくなる。いつも当たり前のように足元にあるこの色と、このザラザラした質感が、今はちょっと懐かしくも感じる。 雨がもっと降って、土はもっと増えた。点々と息継ぎをする土たちが見える。その中で、緑色のクローバーも同じように息継ぎをしている。  久しぶりの緑色だ。




 夏になるといたるところに生い茂る緑のクローバー。夏には当たり前の存在だけど、こうして雪の下から顔を出す姿を見ると、新鮮で、また懐かしく感じる。

 久しぶりの雨が連れてきた光景は、別の季節に連れられたような光景だった。待ち遠しい暖かい季節まで、まだまだ月日を重ねなければならない。そう思ってしまうこの寒い季節。僕にとってちょっとした息継ぎのような雨だった。




 

前の週 次の週