温かい行灯の灯り。
寒い夜でも、心が温まりそうな灯り。
ほのかな行灯の灯りは眩しすぎることなく、私をほっとさせる。
優しい炎の揺らめきで、このまま眠ってしまいそう。

そんな優しい光の原料は「エゴマ油」。行灯の火種はロウソクが最初だと思っていただけに油と知ってとてもびっくりした。しかも植物油の代表でもある「菜種油」よりも歴史は古いといわれている。本当に先人の知恵には驚かされる。
  そんな歴史あるエゴマを明雄さんは昔から良く食べていたらしい。
しかしながらエゴマの栽培方法を聞くと明雄さんは「じゅうねんは・・・」と話しはじめた。




「じゅうねん」って何のことか聞いてみると、どうやらこの近隣では、エゴマの実のことを「じゅうねん」というらしい。『エゴマを食べると、十年(じゅうねん)長く生きられる』という意味が込められているとのことで、それぐらい健康にも良いのだそうだ。
エゴマは葉を食べるものだと思っていただけに、実を食べると聞いて驚き、さらに油を作ると聞いてどのようにするのかとてもわくわくした。
  栽培方法はシソと似ていて見た目も香りもシソにそっくり。そんなエゴマの栽培は害虫の影響を受けつつも、無事収穫を迎えた。

種を取り出し手作りの圧搾機に入れ油が出てくるのを待った。ようやく流れ出た油はほのかにシソの香りが漂い、普通の油よりもサラサラしていて、とても綺麗な黄金色だった。少し味見をしてみると、口の中でシソのような香りが広がり、とても優しい味だった。まさにこれから収穫を迎える秋野菜にぴったりの味。
葉・種・油と無駄にするところがないエゴマ。この冬は、エゴマ油の行灯と、エゴマ油料理で乗り切ろう。

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