「涼を運ぶ 甘い喜び」

「チリンチリーン」と涼しげな夏の音は「風鈴」。
その音色は、暑さで疲れた体も癒される感じがする。
そんな風鈴に加えこの夏、癒しの涼を運んでくれるものが完成した。
それは「寒天」。食べるのは夏のイメージが強いけれど作るのは冬。
 私たちは1年がかりでこの寒天づくりに挑戦した。

寒天づくりが始まったのは、去年の今頃。
まず静岡県に寒天の原料となる海草「テングサ」を採りに行った。そもそも泳ぎが苦手な私には、「テングサ」を採るのが何よりも大変な作業だった。最後は漁師さんに分けてもらい、なんとか村で作れるだけの「テングサ」は確保できた。
しかし、村に帰ってからの作業も大変だった。夏のうちに、水で洗いゴミを取り乾燥させる。そうする事によりよい透明な寒天が出来るという。冬は−6℃を越える中での凍らせる作業、これが辛かった。




雪やゴミが入っては、良質な寒天ができないということもあり、手が凍りそうな寒さの中、雪よけをかぶせたり、均一に凍るよう寒天を裏返したり。
そんな苦労の甲斐あって今夏、寒天たちは無事「あんみつ」となった。
手づくりの寒天は「ツルン」とした食感で磯の香りもなく、とても食べやすい味だった。これも「凍結」と「乾燥」を繰り返してこそ生み出される味わいなんだと、改めて先人の知恵に驚かされるばかりだった。

また、ほの甘く煮詰めたあずきとコクのある黒蜜と、さっぱりとした味わいの寒天がつくりだす「あんみつ」は絶妙な味わいで、思わずおかわりしてしまった。
まだまだ寒天は残っているし、この夏は「寒天デザート」で乗り切れそう。
明日は水ようかんを食べようかな。

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