「村で生まれ 村を育てる カブト虫」

最近は、毎日のように草刈りをしている気がする。夏草の伸びる早さには本当に驚かされるものがある。
少しうんざりしながら今日も草刈り、伸びをした私の視界に入ったのは空に浮かぶ夏の象徴「入道雲」。青い空に真っ白な雲。あのモコモコが綿菓子に見えてしまうのは私だけだろうか。綿菓子みたいな雲を見ていると、つい手を伸ばしたくなってしまう。
甘いもの好きにはたまらない雲。いつかチャンスがあれば食べてみたい。

 そんな雲を眺めていると、黒い大きな虫が私の前を横切った。
その虫は、こちらも夏の象徴と言える「カブトムシ」。
小学生の頃よく近くの神社に捕まえに行ったことを思い出す。
 そんな懐かしの「カブトムシ」を、この夏村の里山でたくさん見ることがで
きた。




それは去年の夏から始まっていた「カブトムシ」を増やす試みによるもの。
「カブトムシ」や「クワガタ」の幼虫は良質な土をつくってくれる。里山のために個体数を増やしてみようと、「カブトムシ」小屋をつくり、産卵の段階から飼育することに。
これまでに「カブトムシ」の卵を見たことがなく、2mmという小ささに驚いてしまった。こんな小さな卵が、10cmを超える大きな「カブトムシ」になるのかと初めは信じられなかった。改めて生命の力を実感した。
 そんな「カブトムシ」は冬の間も無事小屋の中で成長し、この夏私達がよく見る成虫となって地上に姿を見せてくれた。

 小屋の中には今まで見たことがない数の「カブトムシ」がいて、子供の頃「カブトムシ」を捕まえてワクワクしたあの気持ちが蘇ってきた。大金持ちになった気分というか、とにかくとても嬉しかった。
カブトムシが作ってくれた良質な土で、もっと里山の環境が良くなってくれるといいな。

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