「炎の音を聞く」 |
タイルづくりは、僕にとっては初めての焼き物の世界。 昔から、ロクロを使った茶碗づくりなどに興味はあって、やってみたいとは思っていたが、火守りまで経験する日が来るとは全く考えてもみなかった。 |
この火守りを通して、1250℃という想像も出来ない世界を体験した。焚口を塞ぐ鉄板を開けると、炎の熱気が圧力となって体全体に押し寄せてくるのが分かった。あまりの熱気に頭に巻いていたタオルは焦げ、着ていたジャンバーが若干融かされたのかシワシワになってしまった。それ程の熱気なのだ。ついつい反射的に「熱い」と言う言葉が口から何度も出てしまった。明雄さんには何度も「そんなの当たり前だ」と言われたが、どうしても出てしまうのだ。焚口の奥では炎がメラメラと踊る。何だか、まるで生き物かのように感じた。 |
素焼き・本焼きと2回の窯焼きを通し、触れた焼き物の世界。まだまだ奥深く、片足の指先を触れたくらいの僕は、まだまだ知らない事が多いと思うが、本焼きの最後の方には長橋さんの言う「火を読む」「火と会話をする」ということが少しだけだが分かった気がした。 今回のこの「タイルづくり」では、焼き物の職人の仕事に触れられて本当に色々と学べた。タイルづくりも成功し、流し台も出来た。実際に使える日はまだ先だけど、流しを使う度にこの貴重な経験を思い出すんだろうな。 |