「笑顔で再出発」

先日、茨城県笠間市で行われた陶炎祭(ひまつり)に出店する大堀相馬焼の職人・長橋さんのお手伝いをした。長橋さんには、僕が村人になる前の、DASH村に来た当初からよくお世話になっていた。


長橋さんは、とにかく豪快で元気。
会うと、いつも一番始めに「礼斗君!元気でやってるか?」とニコニコしながら大きな声で話しかけてくれるので、こっちまで自然と元気になってニコニコしてしまう。長橋さんのお宅にお邪魔させて頂くことも多く、その度に長橋さん自らが手打ちうどんを作って振る舞ってくれる。これはコシがあって、本当に美味しい。さらに、長橋さんお手製のゆずコショウを麺つゆに入れると、ピリリと辛くなり、さらに美味しくなる。僕らが、「美味しい、美味しい」と食べる姿を見て長橋さんは「そうか!」と喜び、またニコニコになる。





しかし、震災後。
そんな長橋さんから笑顔が消えていた。いつも元気な長橋さんから笑顔が消えたということがぼくにとってとてもショックだった。
しかし、陶炎祭の日、長橋さんは少し笑顔を取り戻していた。お客さんとニコニコしながら話していたので、なんだかホッとした。
やはり、陶器と向かい合っている時が一番長橋さんらしいんだと思った。一生懸命接客し、さらに購入してくれた人にプレゼントする為に大堀相馬焼のシンボル「走り駒」を紙に描く眼差しも真剣そのものだった。大堀相馬焼のファンも多く、大堀相馬焼のブースが設けられると知って駆けつる人がたくさんいた。「おじいさんが大事に使っていたけれど割れてしまったので、ずっと欲しかった」という人や何度もブースに来てその度に購入する人もいた。色々な人に愛された焼き物なのだと、今回実感した。


この先、一体どうなるか分からないが、やっぱり大堀相馬焼がこのままなくなってしまうのは残念すぎる。今回の震災で受けた被害は僕の想像を遥かに超えるものだけど、このお祭りで笑顔を取り戻した長橋さんのように、どんな形であっても大堀相馬焼は必ず復興すると、そう感じた。


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