「新天地で のびのび生活」

現在、震災の影響で、村のヒツジ姉妹やヤギ一家を伊香保グリーン牧場に預かって頂いている。
初め、離ればなれになる期間はそんなに長くならないと思っていたけれど、そんな予想よりはずっと長引くかもしれない。避難する時、何だか急に寂しくなって、テンとシロにぎゅっと抱きついたら、2匹とも珍しく大人しくしていた。伊香保グリーン牧場の方々が面倒を見てくれているので、なんの心配もいらないはずなのに、「元気かなあ」と時々不安になったりもする。
この前、伊香保グリーン牧場に出向き、約2ヵ月ぶりにヒツジ姉妹とヤギ一家に再会した。
相変わらずわんぱくで、広い牧場内を元気に走り回る動物たち。震災前と変わらない元気さに取りあえず安心した。

そして、ヒツジ姉妹の毛がこの2ヵ月で大分伸び、すごく丸っこくなっていた。
このままではこの先、暑さでへばってしまうので、去年もお手伝いして頂いたロスさんの助けを借りて毛刈りする事にした。シープドックショーの広大な敷地で行う毛刈り。刈り終わったヒツジ姉妹は初め、キョトンとした様子だったけれど、少し経つと慣れたからか、身軽に広大な牧草地を走り回っていた。
みんな環境の急激な変化に負けず、村に戻れる日が来るまで変わらずのびのびと元気に過ごして欲しい。




そして、報告が遅くなってしまったけれど、晴男の奥さんであり、チャコとふぶきのお母さんだったリンダが、震災前の3月の頭に亡くなった。
リンダは、八木橋とマサヨの初孫で、2004年に産まれた。晴男と夫婦になり、チャコとふぶきを産んで母親になった。好奇心が旺盛なリンダは、僕らが畑などで作業していると柵に足をかけ顔を出し、いつも外を伺っていた。柵から顔をのぞかせるリンダの顔を今でもよく思い出す。
リンダは出っ歯で口を閉じていても下の歯がはみ出し、片方の角が曲がっているので、耳が角によく引っかかっていた。そして、首を大きく回すのが癖で、よく大空を見上げたりもしていた。そんな姿が可愛かった。けれど、リンダはもういない。

ふぶきを産んだ後、「なんだか年を取ったなあ」と感じていたけれど、死んだのがあまりにも突然だったので、正直戸惑った。リンダが死んで、すぐにあの大震災が起り、村の動物たち全てと離ればなれになったので、今回久々に動物たちと再会して、リンダがいなくなった事を改めて痛感する事になった。少し寂しいけれど、残された動物たちの元気な姿を見て、僕自身元気をもらえたので、いつの日かまたみんなが村に戻れる日が来るまで、前向きに頑張ろうと思った。

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