「新しい仲間の誕生」 |
特に、ふぶきは産まれた時から知っているので、思い入れも強かった。 ふぶきが生まれたのは、2010年の2月中頃。強い北風に雪が舞う極寒の朝だった。なりたての新米村人だった僕の初仕事が、ふぶき誕生のサポート。 生まれたてのふぶきは弱々しく、立つのにも、泣き叫ぶのにも時間がかかった。もう、このまま弱って死んでしまうんじゃないかとあたふたしながら、体が冷えないように藁を足したり、体をタオルで温めたりととにかく出来る事をやった。 |
そして、その1ヵ月後、生まれ変わるように夏生が生まれた。夏生は去年、婿入りした黒ヤギのザビエルとふぶきの姉、チャコの子ども。不幸続きだったので、新しい命の誕生は嬉しかった。チャコにとっては、初めての子どもだったが、僕たちがグリーン牧場を訪れた時には、すっかりお母さんだった。夏生が少しでも視界からいなくなろうものなら、心配になって必死に探しながら、メエメエ鳴いた。お乳を出すための夏生の頭突きにも顔色一つ変えずに耐えていた。チャコに見守られ、夏生は順調に成長していた。 その後、晴男とザビエル、そしてヒツジ姉妹にも再会したが、みんな元気そうで何よりだった。ただ、晴男は少し元気すぎるようで、飼育係の中靜さんを追いかけ回していた。それを見て、あんなに可愛い夏生も将来、こんな風になってしまうのか、少し心配になった・・・。 |