「美味しいイチゴができる訳」

きっと僕だけじゃないと思うけれど、街で見かけたりすると無条件でワクワクしてしまう果物といえば、「イチゴ」だ。僕のような甘党は、よくイチゴにはお世話になる。ケーキ、お菓子、パン、アイスはもちろん、和菓子にまで使われる。甘い物には切っても切れないほど、イチゴが使われている。
しかも、クリスマスだったり、何かのお祝い事にいつも登場するから、やっぱりイチゴと聞くと楽しい気持ちになる。そんな果物・イチゴを、生産量日本一を誇る栃木で学んだ。

そこで食べさせてもらうイチゴはどれも本当に美味しかった。正直、今まで食べたイチゴは甘いというより酸っぱいという印象が多かったが、栃木で食べたイチゴは甘くて、酸味が程好いのだ。そのままでも勿論美味しいが、これでケーキを作ったら絶品だと思う。そして、赤くて美味しそうなイチゴを探しているとワクワクする。いつの間にか、イチゴ狩りの気分になっていた。
ただ、このイチゴは生産者の方々からするとただ美味しいだけではダメなようで、栽培にも品種を生み出すにも、様々な苦労があった。




驚いたものの一つが、ウォーターカーテン。
村でも南国ハウスで二重のハウスを実践していたが、薪による暖房システムで温度を保っていた。それが栃木では、二重ハウスの間を地下水が流れるようにしてあった。このおかげで、冬でもイチゴが採れるようになり、クリスマスにイチゴのケーキが食べられるのだ。冬に採れるイチゴは一番おいしいと言われたが、確かに美味しかった。
そして、土を使わずに栽培する技術もあった。近代的なこの農法は、色々なことが効率的で、明雄さんも説明してもらう度に「こりゃ、すごい」と言いながら、しきりに感心していた。腰を曲げずに済むように畝を腰の位置まで上げて栽培しているし、温度調節の為に窓が自動で開閉する。効率的にできたイチゴは、形が綺麗。味もどれも均等に美味しくジューシー。

最後は、ロイヤルクイーン。一箱3500円で売られている超高級なイチゴ。ここで、品種改良の方法も教えて頂いた。
「女峰」「とちおとめ」などお店でよく見かける品種は、病気に強い・形がいい・美味しいなど様々な条件をクリアしたもので、何千もの株を何年もかけて選別する。お米の品種改良もそうだけど、美味しいだけではダメなのだ。そんな苦労の上で生まれた、ロイヤルクイーンは甘さが想像以上で驚いた。酸味はひかえめで、甘みがとにかく濃厚だった。高いのもうなずけた。これを生んだ赤木さんは栽培する農家の方もきちんと指導し、土壌の温度などの基準を作っていた。江戸っ子のようにチャキチャキとし、面白いトークを交えながら教えてくれた赤木さんは、一見イチゴを開発した人には見えないけれど、話しを聞くうちにイチゴへの深い愛情を感じる事が出来た。この想いが甘いイチゴを生む理由の一つなのかもしれない。

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