白炭(しろずみ・はくたん)とは・・・
 紀州備長炭でも有名な白炭。黒炭との製法の違いとして、消火の際に灰をかけると表面が白くなる事から白炭と呼ばれる。炭素の純度が黒炭に比べて高く室内温度600度あたりから起こる炭素の結晶化によって、折れ口がきれいな金属光沢を放ち、その硬度の高さから叩くと「キーン」という金属音を放つのが特徴。
酸素が入る隙間がない位密集しているので着火しにくいが、一度火が起きると温度調節がしやすく、火持ちも長い。
 また、黒炭にはない多様な効能を持ち、赤外線効果により食材の旨みを閉じ込める為、飲食店でも重宝され、炊飯・水質浄化・腐敗防止・消臭効果など、その用途は様々。


材探し
 村の里山で白炭の材料探し。黒炭の時にも使用した堅い材質のコナラの木を探し、伐採する。炭木に適するのは樹齢15〜20年の幼木。白炭で焼くには直径15cm以内であれば一本木として活用でき、より良質な炭となる。水分含量の多い夏場の伐採後は、程よく木を乾燥させてから炭木として活用する。葉の枯れ具合が乾燥の目安になる。

口焚き
 原木の水分をとばし乾燥させると共に窯の温度を炭化点である320℃〜350℃まで上げ、自然着火させる作業。約2時間かかる。焚き口にて木を燃やし続ける。出る煙は水蒸気状の水煙(みずけむり)。

炭化
 窯の温度が320℃〜350℃まであがると、煙がより濃くなり、白く長い煙が立ち込める。また同時に今まで焚き口に吸い込まれるように燃えていた口焚きの火が、跳ね返される状態になる。この状態が炭化開始の合図。
 この時、窯内を慢性的な酸化状態にすると、原木は着火点である320℃〜350℃を超えても、炎をあげて燃え上がることはできずに、熱分解のみをし始める(炎は出ていないが赤みを帯びた状態)。これを炭化という。
 この時、完全に空気孔を閉じてしまうと、火が完全に消えてしまう可能性があるので、下位置に空気孔を設ける。2時間後、煙がより黄色味を帯び、きわだ煙になった時、わずかな空気孔のみ設けて山砂で閉じてしまう。



精錬(ねらし)
 窯の温度が700℃を超え、炭になるべき成分が炭となり、余分なものは煙として出ていってしまうと煙は無色になる。これが「ねらし」の合図。この時点で空気孔も煙突も閉じて窯内を消火させてしまうのが黒炭づくりで、この「ねらし」という作業が白炭づくりの特徴である。2〜3時間かけて焚き口部分にゆっくりと穴を開けて少しずつ酸素を送ると、窯や炭の中に溜まっていたガスに火が着き温度がぐんぐんと上がっていく。この段階でさらに余計なものを排除することで、重さは変わらないが体積が小さくなり炭が締まる。また黒炭と違い、より温度が上昇する為、樹皮が燃え芯のみの状態になる。



窯出し
 窯内の温度が1000℃を超えると、中の炭が黄金色を帯びてくる。これが窯出しの合図。黄金色を帯びたものからどんどんかき出し、灰と山砂に水分を足した消灰(スバイ)をかけ鎮火させることで、さらに炭を締まらせる効果がある。



立て股
 白炭づくりの特徴は、1回で終わるのではなく炭焼きを連続して行うことである。窯がまだ熱を帯びた状態なので、2回、3回と繰り返す事で、最高温度が1200℃を超えより締まった炭ができるという効果がある。また熱を帯びた状態なので口焚きをしなくても自然に原木が乾燥し着火するというメリットもある。中の原木に炎があがってしまった場合は消しながら、一気に原木を詰め込まなければならない。


完成




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