寒天とは・・・
寒天(かんてん)は、テングサ(天草)、オゴノリなどの紅藻類の粘液質を凍結・乾燥したものである。一般に売られている寒天は、冬の寒冷地で自然凍結と天日乾燥を繰り返して作られている。
万能の保存食で、ようかんなどの和菓子・野菜などを使った寒天寄せなど様々な料理に使用されている。
テングサ類を煮て得た液を固めてトコロテンとして食用にしたのは、昔の平安朝の時代であったと記されており、中国から製法を学び作り始めたもの。寒天は日本のオリジナルで、干物状の寒天が発明されたのは、今から約350年前の徳川4代将軍家綱の時代。トコロテンを外に出しておいたところ、冬の寒さで凍り自然乾燥の状態になり、この偶然のひらめきによって寒天の製法があみ出された。


2008年8月 テングサ採取/乾燥
まずは、「テングサ」の産地で有名な「静岡県稲取漁港」で「テングサ」を採らせてもらうことに。地元の漁師さんに協力を頂き、水深1〜5mの岩に付着している「テングサ」を採取する。
「テングサ(正式:マクサ)」は、細く赤紫色が特徴。素人にはなかなか見つけることができず、漁師さんに手伝って頂き、合計600グラムの「テングサ」を分けてもらった。
純度の高い寒天にするためには、何度も洗ってゴミを取り、乾燥させることが必要ということで、さっそく村に持ち帰り「テングサ」を真水で良く洗い、天日干しをする。
「テングサ」は乾燥することで、紫から白へと変化する。その仕組みは 太陽の紫外線によってテングサの色素が破壊されるため。
この作業を3回ほど繰り返し、塩分や海藻の匂いを抜いた。乾燥させたものは、保存のため穀物倉庫で保管する。湿気取りのため炭も置いた。


2009年 2月 煮詰める
天然寒天は気候を生かし、厳しい冬のみ生産されるということもあり、一年で一番寒い2月に作業にとりかかる。
まずは、白色に乾燥したテングサを熱湯に入れ煮出す。これは、テングサを溶かし寒天成分を抽出する作業で、テングサ400gに対し、50倍の水20Lで煮出す。煮溶かす時間を短縮するため、明雄さんの勧めで「お酢」を入れた。お酢には、デンプンの成分の分解を促進する酸が含まれている。全体の0.05%の量の酢を鍋の中に入れると、1時間ほどでトロトロになった。
<ろ過>
煮出した寒天液をさらし袋で漉して木枠に流しこむ。さらし袋で漉すことで、液体のみが鍋にたまっていき、良質な寒天ができる。
<凝固・切断・凍結>
木枠に流したところで、寒天が凍結する場所を探す。
村の中でも最も寒い場所「氷室池前」に場所を決め、木枠を置ける杭を設置する。
その間に煮出した液も固まり、冷気で寒天が凍結しやすいように4cm間隔に切っていく。この状態でも「トコロテン」として食することはできるが、良質な寒天を作るには、ここから凍らせていく作業が重要なポイントとなってくる。
寒天は、乾燥をさせただけでは繊維結合が強いので水分は抜けきれない。一度凍結させることで水分が膨張し、結合が壊れる。それを乾燥させる事で寒天は完成する。
そこで、芯までしっかりと凍らせるため、剣山のような釘が沢山突き出た道具を作り、寒天に細かい穴を開けた。ここから約2週間で寒天が完成となる。

<凍結2日目>
無事、村の冬の寒さで寒天が凍った。良く凍っている状態の証でもある、蜂の巣状の繊維が表面に見えるようになっていた。
<凍結1週間>
氷は溶けて水分もうまく抜け、裏側だけが氷が残っている状態になった。そんな中、雪が降り出した。雪がついてしまうと凍結しにくくなるということで、急いで雪よけの板を設置した。
乾燥途中の寒天は暖かい場所に持っていくと傷んでしまうため、そのまま雪がやむのを待つことに。次第に天気は雪から雨に変わり、一時的に屋根のある場所へ移動することもあった。

2009年 3月 乾燥
風通しの良いところで4、5日寒天を乾燥させ、ほとんどの寒天は水分が抜けたけれど、その中にも水が抜けず、柔らかい状態で残っている部分があった。
柔らかい部分は、腐りやすくなるということもあり、腐敗防止のためにやむなく切除した。全部で26本の寒天が完成し、あとは夏を待つばかり。

2009年 8月 「あんみつ」づくり
待ちに待った寒天料理「あんみつ」を作る。
手づくりの寒天はツルンとした食感で癖もなく、食べやすい味だった。
【寒天】
材料:棒寒天…3本/水…1.5L

@棒寒天を30分以上浸水させる。細かいゴミを出すようにすこし揉む。
A細かくちぎって鍋に入れ水から煮る。
B沸騰して15分経ったら、弱火にして静かに煮溶かす。
C竹筒に流しこみ、冷やして固める。
D固まったら寒天用「天突き」で出す。


【求肥】
材料:白玉粉…100g/水…300cc/砂糖…200g/水…80cc
梅汁…大さじ4/ヨモギ汁…大さじ6

@白玉粉と水を鍋に入れ、練り混ぜる。
A梅汁を入れる。
B鍋を火にかけて15分ほど練る。
C餅の匂いが出てきたら砂糖水を入れてさらに練る。
D木ベラに餅がくっつくようになってきたら火から上げる。
E片栗粉を引いたバッドに流しこみ上からも片栗粉を振り固まるのを待つ。
F固まったら四角く切る。
(※ヨモギの場合はAでヨモギ汁を入れる。ヨモギ汁はヨモギを茹でて細かく刻み、汁を絞ったもの)
【黒蜜】
・黒砂糖(きび砂糖)と同量の水を入れて、トロミが出るまで煮詰めれば完成


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