干し柿とは
柿を乾燥させて作る日本古来の保存食。主に生で食べる「甘柿」ではなく、生では渋くて食べられない「渋柿」が甘くおいしい干し柿となる。その糖分は砂糖のおよそ1.5倍とも言われ、古くは砂糖の代用品としても使用された。


2009年 秋
開拓以前からあった村の柿の実りは例年より多め。渋柿である村の柿をおいしく食べる為に干し柿にする事にした。収穫した25個の渋柿で干し柿作りを開始。
干し柿作りの行程
1. 収穫は秋の剪定も兼ねる為柿がついた枝を長めに切り、縄に繋ぎやすいように更に短くT字に切る。
2. 皮を剥き、縄につなぐ。この時点で重さは約180g。
3. 殺菌の為に、約100℃の熱湯に10秒間浸ける。
4. 竿に掛け乾燥させる。

干し柿が甘くなるメカニズム
渋柿に含まれる渋み成分『タンニン』は水に溶ける性質のため唾液で解け出し強烈な渋みを発する。しかし、渋柿を乾燥されることで発生するアセトアルデヒドと結びつくことにより、タンニンは水に解けない性質に変化する。すると、本来渋柿の持つ甘みだけを味わえるようになり、乾燥させ水分を抜く事により甘みが凝縮され、甘くおいしい干し柿となる。


2010年 冬
乾燥させ始めてから1ヶ月。水分が絞り出され、重さは80gに。さらに黒くしなびた表面には白い粉のようなものが噴き出してきた。この白い粉の正体は柿霜と呼ばる内側から溢れた糖分が表面に出て結晶化したもの。この糖分の結晶が柿全体に広がれば完成との事。さらに乾燥を促すために寒さで固まった干し柿を一つ一つ丁寧に手で揉みほぐした。


雪だけでなく雨も降り続き、湿気がちな日々が続く。乾燥がなかなか進まない上、カビの発生も心配。雨の日は室内にしまい囲炉裏端で乾燥させ、晴れ間が出た時に再び縁側に戻すのを繰り返した。
柿全体が白い粉に覆われ、干し柿が完成した。
早速、味見をすると渋かった柿が嘘のように甘くおいしい干し柿になった。

干し柿料理

干し柿の天ぷら

@干し柿のヘタを取り縦に4等分に切ったものを青じそで巻く。
A約180℃の油で揚げる。
B表面がきつね色になったら、完成。

大根と里芋の干し柿煮
@干し柿のヘタを取り、縦に二等分する。
A大根、人参、里芋、干し椎茸を切る。
Bだし汁の入った鍋に酒 大さじ2を入れ、大根を煮る。大根の色が変わってきたら、ニンジン、里芋、シイタケを加え、柔らかくなるまで煮る。
C醤油、みりんで味をつけ、甘みは砂糖を加えず干し柿の甘さを生かした。
D煮汁が少なくなるまで煮つめたら、完成。
干し柿の寒天寄せ
@干し柿を1/4に切り、5分程煮る。
A棒寒天は30分程浸水させ柔らかくし細かくちぎったら鍋に入れ、@の煮汁を加える。
B沸騰したら弱火にして自然に煮溶かす。
C竹筒に@で煮た干し柿を並べ、Bを流し入れる。
D冷えて固まったら完成。



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