家なし、金なし、仕事なし――人生崖っぷちのシングルマザー・岩崎和佳(奈緒)は、5才の一人息子・進(石塚陸翔)を連れて、寂れた港町・汐ヶ崎に移り住んできたばかり。地元のホテルで仲居として働いていたある日、漁師の片岡洋(堤真一)と出会う。彼は、幼なじみの磯田高志(吹越満)と山中篤(梶原善)と共に立ち上げた漁船団「さんし船団丸」の社長。漁師たちの高齢化が進み、漁獲量も減りゆくばかりの港の窮状を憂い、かつての賑わいを取り戻したいと思っていた片岡だったが、これといった打開策も見いだせぬまま、ひそかに危機感を募らせていた。
そんな中、地元漁協の組合長・杉浦久光(梅沢富美男)の古希を祝う宴会の場で、仲居として働く和佳の姿を偶然見かけた片岡は、彼女の機転と働きぶりに感心し、「浜の立て直し」を頼み込む。アジとサバの違いもわからない和佳は、未知なる“漁業の世界”に飛び込むことに尻込みするが…。
片岡に連れて行かれた漁港で、「さんし船団丸」で働く若手漁師・永沢一希(鈴木伸之)がさばいた魚を振る舞われた和佳。すると、魚嫌いであるはずの進が、大喜びで食べている様にびっくり!自らも半信半疑で口にすると、あまりの魚の美味しさに感動し…!
こうして、半ば押し切られる形で、片岡の依頼を引き受けることになった和佳は、早速漁業について勉強を開始。東京にいる相談相手・琴平祐介(渡辺大知)からアドバイスを受けながら、魚の直販ビジネス「お魚ボックス」のアイデアを思いつき、片岡たちに提案。しかし、和佳の話を聞いた一同は渋い顔…。どうやら和佳が掲げた「お魚ボックス」案は、既存の流通の“中間業者”にあたる漁協や仲買をすっ飛ばすこととなるらしく、彼らに喧嘩を売るも同然なのだという。片岡たちから「漁協に逆らうなんてありえない」と猛反対を受け、渋々引き下がろうとする和佳だったが、内心は納得しきれていない様子で…。
漁師たち自ら、全国のお客さんたちに新鮮な魚を直接届ける「お魚ボックス」の実現に向けて、孤軍奮闘し始めた和佳。漁業ド素人の彼女が、ジリ貧状態の港に嵐を巻き起こそうとしていた!
そんな中、「お魚ボックス」を諦めきれない和佳の心の内を見抜いた琴平は、国が支援している「6次産業化」の事業認定制度を活用してはどうかとアドバイス。「6次産業化」とは、1次産業(農林水産業)の従事者である漁師たちが、自ら加工(2次産業)や流通・販売(3次産業)までを一貫して行い、経営の多角化を図ること。この「6次産業化」の申請には、「地元漁協の了承」が必要だと知った和佳は、周辺一帯の漁協を取りまとめている統括支店長――通称「統括さん」(伊沢弘)のもとを訪ね、申請書類に判を押すように迫る。当初は和佳から逃げ回っていた統括さんだったが、彼女の力強い説得に心動かされ、申請書類に判をつく。こうして、申請の条件である「地元漁協の了承」をゲットした和佳は、農林水産省の窓口担当者・溝口静(松本若菜)の後押しを受け、ついに国の認定をもらうことに成功!
これまでかたくなに和佳の案を退けていた片岡も、国が認めてくれるなら…と、「お魚ボックス」に大賛成!こうして和佳と手を結び、共に新たな一歩を踏み出そうと決心する漁師たち。しかしその矢先、噂を聞きつけた杉浦が、激昂した様子で、片岡のもとへ乗り込んでくる。杉浦に凄まれ、すっかりビビってしまった片岡は、「お魚ボックス」は和佳が一人で勝手に進めたことだと言い張り、掌返しの態度を取る。片岡の変わり身の早さに、和佳の怒りのボルテージも急上昇。ブチ切れた和佳は、片岡と杉浦に向かって、猛烈な勢いで啖呵を切る!一方、和佳の暴言に激怒した杉浦は、片岡たちに対し、今後一切漁協からの支援を打ち切ると宣言。こうして漁師たちの怒りの矛先は、和佳一人へと向けられ…!?
未知なる大海に飛び込むファーストペンギンのように、危険な荒波の中にダイブした和佳。波乱に満ちた闘いと挑戦の日々が、いよいよ幕を開ける!