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突如レーダーから消えた旅客機…原因はミサイル攻撃によるものだった。いまなお真相が明らかにならない悲劇の理由とは

2022.05.10 公開

これまで世界では様々な原因で飛行機事故が起きている。 

今年3月には中国東方航空の旅客機が突如レーダーから消えた。その機体と思われる映像が偶然にも撮影されており、垂直に急降下する機体がそのまま山岳地帯に墜落していたという。大規模な救助活動が行われたが、乗客乗員132人全員が死亡。
 
2015年、台湾では トランスアジア航空の旅客機が墜落し43人の命が失われた。 地元メディアによると、 原因はエンジンが故障した際の機長の操縦ミスだという。

同じ年、 ドイツ・ジャーマンウイングスの旅客機がアルプス山脈に墜落。この事故で乗客乗員150人全員が死亡。原因は副操縦士が自殺を図り、意図的に墜落させたものだったという。

1996年には、 エチオピア・アディスアベバからケニアのナイロビに向かおうとしていたエチオピア航空961便が 突如男たちにハイジャックされた。

操縦室に押し入ったハイジャック犯の要求は、オーストラリアに向かうこと。

「要求に従わなければ爆発させる!」と爆弾をちらつかせ脅す犯人だったが、機体には行先であるナイロビまでの燃料しか載せておらず、それを信じない犯人たちは無謀な要求を押し通し、ついに燃料切れになってしまう。

エチオピア航空961便は海に不時着することになり、海面に激突し機体はバラバラに。125人が死亡した。

様々な要因で起きる飛行機事故。それがもし、何者かの仕業で罪のない多くの命が奪われたとしたら…
そんな絶対に許されない事件が8年ほど前に起きた。それにはロシア軍のある部隊が関与していた疑いが。

オーストラリアに住むジャックは7週間のヨーロッパ旅行を終え、帰国のためオランダ・アムステルダムから、マレーシア・クアラルンプールに向かうマレーシア航空17便に乗っていた。 

マレーシアで別の便に乗り継ぎオーストラリアに帰る予定だったジャックは、旅行を終えたら実家を出ると家族に話していたという。

機内は283人の乗客で満席状態。その大半はバカンスを楽しむオランダ人観光客で、子どもも80人ほど乗っていたという。

乗客の子ども・レムコは出発前に祖父・アントンの誕生日を祝っていたという。

それぞれの思いを乗せ、マレーシア航空17便は飛んでいた。

離陸して2時間半、ウクライナ・ドニプロの管制塔とロシア・ロストフ・ナ・ドヌの管制塔がやり取りをし、マレーシア航空17便はロシア側へ入る許可を得た。 

その直後、管制官は異変を察知。なんと、マレーシア航空17便がレーダーから消えたのだ。

管制官はすぐにレーダー消失を報告。298人を乗せたマレーシア航空17便は…上空1万メートルから墜落した…。そこはウクライナ東部!ロシアとの国境付近だった
この墜落により80人もの子どもを含む乗客乗員298人全員が帰らぬ人となった。 

マレーシア航空17便に起きた謎の墜落。193人と最も被害者の多かったオランダが主導し調査チームが作られ、メンバーはすぐにウクライナに入った。 

現地の情報で、機体の残骸がかなり広範囲に散らばっていることがわかり、機体は空中分解した可能性が高かった。

しかし調査チームは墜落現場で検証する事ができなかった。 その理由は、墜落した場所がウクライナ東部のドネツク州、ロシア国境から約50kmの場所で、親ロシアの武装集団とウクライナ政府軍が紛争状態にある場所だった。

紛争地域上空で起きた旅客機の墜落は全世界に衝撃を与た。そんな中、当時のウクライナ大統領・ポロシェンコはこの墜落はテロだと語った。

一方、調査チームは自然現象や、整備上の問題、隕石の衝突などあらゆる可能性を探ったが墜落の原因は見つからない。事故から5日、調査チームは飛行データを記録するフライトレコーダーとコックピット内の音声を記録するボイスレコーダーを回収。

すると、調査チームは恐ろしい事実に気づく。

フライトレコーダーによるとマレーシア航空17便が突如レーダーから消えるまで機体には異変は起きていなかった。 機体の状況がわかるフライトレコーダーもコックピット内の会話がわかるボイスレコーダーも同じタイミングで止まっていた。つまり、この瞬間に突然、何かが起きたという事だった…

捜査官は録音が止まる直前、かすかに聞こえた音に気付いた。コックピット内にある4つのマイクにその異常な音がどの順番で録音されたか調べた。

異常な音を最初に捕らえたのは機長のマイク。その後、コックピット内に広がっていた。音源は飛行機の左前方…つまり外から聞こえていると判明。それは爆発音に思えた。    その影響で墜落したことを示していた。

「やはり、なんらかの攻撃がされた可能性が高い。証拠がいる……これは大事件だぞ 」

次に調査チームが調べたのは被害者の遺体。すると機長の体からは何かの金属片が。

その後調査チームは墜落現場に入ることを許され、機体の一部を回収。すると、機体の外壁から爆弾の残骸を発見。 爆弾の残骸は、機長の体から発見された金属片と同じ形だった。

上級捜査官はミサイルを特定。「これだな、ブークだ……」

ブークとは地対空ミサイル。旧ソ連で開発されたミサイルで、目標に近づくと破裂し数百個もの金属片を放出する。

あの日、なんの問題もなく飛んでいたマレーシア航空17便に対し、何者かがブークを発射し、飛行機を撃墜させたのだ。いったい誰が何のためにマレーシア航空17便を攻撃したのか?

当時のアメリカ・オバマ大統領は、ウクライナからある情報を受け「親ロシア派が制圧している地域から地対空ミサイルが発射され撃墜された。それを示す証拠がある」と発言。

そんな中、ロシア側は驚くべき主張を始める。それは「マレーシア航空17便はウクライナ軍が撃墜した」。

親ロシア派のリーダーは、「そもそも自分たちは撃墜できる兵器を持っていない」と主張し、ロシア国防省も旅客機が墜落した時、 「ウクライナ軍の戦闘機を探知している」と発表。

プーチン大統領も当時「責任はウクライナにある」とウクライナ政府を批判した。

これはまさに今のウクライナ侵攻における国際社会の見解と、それとは全く違う主張をするロシアのプーチン政権という構図と同じだった。

そして、信じられないニュースも飛び交った!この事件は、“ロシアを陥れるために死体を乗せて墜落させた”という記事や、 “プーチン大統領が乗る飛行機を狙った誤爆だった”というものや、被害者たちが役者で死体のふりをしている…という主張まであったという。

一方、その頃、ロシア国内では一人の青年がある会社で働き始めていた。

この男性の仕事はなんと「世に出ている文章を書き直し発信する」というもの。 

この時彼は、ウェブサイトの記事を直すという事以外何も説明されておらず、「800字ほどの原稿を、指示通り1日20本書き直してくれたら、月に4万5000ルーブル支払うから」と、当時のロシアの平均月収の約1.4倍の金額を提示されていたという。

彼の仕事はウクライナに関する記事の中で親ロシア派勢力を「テロリスト」と表現している記事があれば「民兵」と直し印象をよくすることと、親ロシア派勢力から出た情報をウクライナの主流メディアから出た情報に見せかける事だったのだ。

ちょっとした言葉の入れ替えと出典の改ざんなどを行うが、ルールはたったひとつ。「ロシアを否定しない事」で、作業は常にカメラで監視されていたが仕事は簡単だったという。

ここは、情報操作を組織的に行う場所だった。

彼は、マレーシア航空17便の事件についても頻繁に投稿し、「ウクライナ軍の仕業」という記事があれば片っ端からリンクをはり拡散。

仕事の評価はサイトの閲覧者数やアクセス数で決まるため、とにかく圧倒的な量の主張をまき散らしウソだとわかっていることも投稿したという。

彼によれば、この組織の最大の役割は「ロシアの主張を信じさせその行動を正当化する事」と、「ウクライナを混乱させる情報を拡散する事」だった。

しかし、彼はその仕事に3ヶ月半で絶えられなくなり退社。その後、その実態を知ってもらう為に匿名でここでの体験を記事にしたという。

このような“組織的に情報操作をする拠点”については“荒らす”という意味から“トロール工場”と呼ばれている。

マレーシア航空17便の事件が起きた直後は、このような施設からなんと11万を超えるツイートが投稿されていた。

その影響もあってか、この事件直後のロシアでの世論調査では80%以上が『撃墜』はウクライナ軍によるもの、と答えていたという。

そんな中、ある民間ジャーナリスト集団が衝撃の事実を見つけ出す。

その集団の中心人物エリオット・ヒギンズは、「ベリングキャット」という世界的に注目されている調査報道機関の立ち上げ人物だった。

今回のロシアのウクライナ侵攻におけるロシア側の主張についても、ネットを駆使して調査。その主張の矛盾点を多数発表。例えば『病院で攻撃に遭った妊婦は役者だ』とのロシアの主張や、『ブチャでの虐殺はフェイクだ』という主張に関しても分析から矛盾点をついている。

そんなベリングキャットが設立当初に取り組んだ調査がこの事件だった。ヒギンズは、ネット上に公開されている画像や動画、SNSや地図情報などを検証し始め、1つの映像に着目。

それは事件当日と思われるブークミサイルを積んだトレーラーの映像だ。

ヒギンズは世界に広がるベリングキャットの仲間に撮影場所の特定を要請。この依頼に反応したのがアメリカ・ノースカロライナ州に住むベリングキャットメンバー、アリク・トーラー。ヒギンズの考えに賛同し、ボランティアで活動を支えていた。

そしてある事実が判明する。

墜落の前後でブークを乗せたトレーラーを見比べると、撃墜前後でミサイルが一本減っていることが判明。

ベリングキャットのメンバーはすぐにネット上にあふれる写真や動画、衛星画像などからトレーラーの出発地点を探した。

そしてその地点はロシア軍が駐留していた、ウクライナ国境の近くにあるロシアのクルスクだと突き止めた。ベリングキャットはその部隊に所属する兵士たちのSNSをくまなくチェックすることに。なんと兵士たちは、あのトレーラーやミサイルと撮った写真を自身のSNSに投稿していた。さらに兵士の家族の投稿なども調べ、部隊がウクライナ国境を目指していたことを突き止めたのだ。

ベリングキャットはこの調査結果を公表し、オランダの調査団もその情報を認識。

「ブークミサイルはロシアからウクライナ東部の親ロシア派支配地域に運ばれ、そこから旅客機に向けて発射された」と結論を出した。

そして、オランダ検察庁はロシア連邦保安局の元大佐ら4人を殺人罪として起訴、裁判が開かれた。一方、ロシア側は起訴内容を事実無根とし、今も被告の引き渡しにも応じていないという。ロシア側が、撃墜を認めないため、なぜこんな悲劇が起きたのか?その理由が今もわからないという。

撃墜事件からおよそ8年。まさかの形で愛する人を失った遺族たちは今なにを語るのか?

ジャックの母は「もう息子は帰ってきません。それでも、どうしてあの事件が起きたのか、それを考えない日はありません」と、父は「大勢の命を奪っておいて、その責任を取らず”ウソ”をつく。子供でもそれがダメだということはわかっています。息子を失っているのにその真実がわからない、それが何より悲しいです」と語っている。

孫を亡くしたアントンは「この事件のショックから立ち直れないまま、3年前に妻は亡くなりました。”ウソ”はさらに人を傷つける…隠し続けることはできません」と語った。

真相が語られる事を今も世界が願っている。

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