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ハリ系

2007年10月期 サタデーTVラボ
ストーリー

第1話

2007年10月13日放送

この世界は、ハリネズミが進化したハリ系人間が、サルから進化した普通の人間(サル系)と仲良く共存している。

耳田ハリ彦(中村友也)は、実家の鍼灸院を手伝う19歳の純情で心優しいハリ系の青年。鍼灸院では、経営者の祖母・耳田ハリ江(もたいまさこ)とサル系で弟子の古川シゲ(吹越満)が働いている。見習いのハリ彦は、いつもツボを外してばかりで、まだまだ修行中。ハリ彦がたまにドジをするのを、暖かい眼で見守っている常連客のジィジ(車だん吉)、マスター(堀部圭亮)、ヨシテツ(皆川猿時)。

今日も相変わらずな日々が続くなか、ハリ彦は、ガールフレンドのハリ奈(阿井莉沙/ハリ系)に、3回目のデートでフられてしまう。ハリ奈のことが忘れられず、ずっといじけているハリ彦から話を聞いた親友の藤井亮介(松澤傑/サル系)は、落ち込むハリ彦を慰める。元気づけるために、亮介はハリ彦を繁華街へ連れ出す。そこで見たのは、あちこちにあふれるカップル。ますます落ち込むハリ彦だったが、さらに、偶然、エリートハリ系のハリ也(中野雄一)とドライブをしているハリ奈を見つけてしまう。

最悪な気分のまま家に帰ったハリ彦だったが、ハリ江から勇気づけられて「ある行動」に出ようと決心するが――

 

第2話

2007年10月20日放送

前日の夕方、土手で起きたことを思い出せないハリ彦(中村友也)は、自分の身に重大なことが起きたように感じた。背中の針に雑草が土ごと付いていたこともあって、気になってしょうがない。

一方、ウニのように丸くなったハリ系と笑顔の女のコが写った写メが町中に回っていることが判明。常連客からその写メを見せてもらったハリ彦は、ハリ系が自分で、女のコがすず子(村川絵梨)だと気付き愕然となった。だが、シゲ(吹越満)や常連客の関心は、ハリ系の正体ではなく、天変地異が近々起こるのではないか、ということ。ハリ系は、命の危険を感じた時だけ丸くなると言われているのだ。

そのウワサを聞いて防災グッズ入りのリュックを担いでやって来た亮介(松澤傑)に、ハリ彦は丸まっているのが自分だと打ち明けた。それを聞き、ハリ奈にフられたのが丸くなった原因ではないかと考えた亮介は、ダンススタジオを経営している物知りのワニ系人間・鰐淵(田口トモロヲ)の所に、ハリ彦を連れて行った。2人の話を聞いた鰐淵は、命の危険と同じくらい深刻な恋の悩みでも丸くなるのではないかと話し、写メにロマンスの香りがすると付け加え、ますます混乱するハリ彦だったのだが―

 

第3話

2007年10月27日放送

すず子(村川絵梨)を見てまたもや、ウニのように丸くなってしまったハリ彦(中村友也)は、亮介(松澤傑)と一緒に鰐淵さん(田口トモロヲ)の所に相談に行く。すると、すず子に恋をしているのではないか、と指摘されて戸惑う。ハリ彦自身は全くそういった意識はないのに、鰐淵さんは恋の訪れを告げる。

すっかり戸惑ってしまったハリ彦だったが、ある日突然、家にやって来たすず子から飲み会に誘われた。亮介からは「絶対何かあるぞ」と脅されたものの、すず子への興味を捨てきれないハリ彦だった。

すず子とその友達3人が集まった飲み会は、最初からハリ彦への質問攻勢で始まった。ソフトドリンクしか飲まないハリ彦に対し、酔った女たちは、ハリ彦の背中の針に触ったり、それを抜いたりして大騒ぎ。しかし、彼女たちの目的が、自分の丸まった姿である、“生ウニボール”を見ることだと知ったハリ彦は、店を出てしまった。

ハリ彦は、追いかけて来たすず子に文句を言った。すず子は謝るが、このことが原因で、2人はけんか別れしてしまう――

家に戻ったハリ彦は、すず子へのモヤモヤを吹っ切るように、2人で写った写メを削除した。もう、すず子のことは忘れて毎日の仕事を頑張ろう、そう決意した。

しかし、翌日、土手を通りかかったハリ彦は、雲が夕日を隠した空を見つめているすず子に偶然会ってしまう。昨日の気まずさから、すぐにその場を立ち去ろうとするハリ彦だったが、すず子のいつになく苦しそうな表情に、足が止まってしまう。

ハリ彦に夕日が描きたかったと訴えたすず子だったが、ハリ彦を描くことで気を紛らわせることにする。そして、それがきっかけとなって、すず子は改めて昨日のことを謝り、もっとハリ彦のことを知りたい、と告げる。

思わず嬉しさを隠し切れないハリ彦だったが、その時、すず子に、彼氏から電話がかかってしまい、すず子はハリ彦そっちのけで楽しそうな会話を続けてしまう。

ハリ彦は、すず子の本心がまったくわからず、さらに混乱してしまったのだった――

 

第4話

2007年11月3日放送

すず子(村川絵梨)が何を考えているかよく分からなかったが、プレゼントしてくれた絵を見て、何かときめきを感じるハリ彦(中村友也)。すず子に再び呼び出され、夕陽をバックにモデルになったハリ彦は、なぜ自分を選んだのか聞いてみることに。答えは“ラクチン”だから。すず子に手を握られ、凝っているという肩に持っていかれたハリ彦は、照れて背中の針が逆立ったしまう。

明日もモデルをして欲しいとすず子に頼まれ、断わりきれなかったハリ彦は、亮介(松澤傑)にそのことを話した。すず子の性格が悪いと思っていた亮介は、ハリ彦に会うのを止めるように忠告する。それでも理由をつけて行こうとするハリ彦を見て、亮介は、ロマンスではないか、と告げた。

翌日、夕方の仕事をハリ江(もたいまさこ)に頼んで土手に行ったハリ彦は、モデル役が終わった後、持って行ったコロッケをすず子と一緒に頬張った。美味しい、としみじみつぶやくすず子。帰り道、あと1日だけ付き合ってもらえれば絵が完成すると言われたハリ彦は、もちろんモデル役を引き受ける。

すず子と別れたハリ彦は、途中、公園で花火をしている鰐淵(田口トモロヲ)と亮介に会った。状況を報告するハリ彦に、花火を見ていた鰐淵は、寂しいね、とつぶやく。それを明日でモデルが終わってしまう自分のことを言われたと勘違いしたハリ彦は、「寂しくない」と否定する――

夜が明け、朝からソワソワしていたハリ彦は、約束の時間の1時間も前に、携帯すら忘れて家を飛び出した。土手に着いたハリ彦の手には、すず子が喜んでくれたコロッケの袋がある。だが、約束の時間になっても、すず子は姿を見せなかった。ハリ彦は、忘れた携帯を家に取りに帰ろうとも思うが、その間に、すず子が来るかもしれないと思うと、土手を離れることが出来ない。

やがて、日も暮れはじめ、ハリ彦は、すず子に何かあったのではないか、と考え、街中を必死に捜し回った。だが、その頃、すず子は、恋人の黒川(久保田裕之)に急に呼び出され、デートをしていて――

 

第5話

2007年11月10日放送

ハリ彦(中村友也)は、ウキウキ気分だった。亮介(松澤傑)にそのわけを聞かれるとハリ彦は、すず子(村川絵梨)に恋したことを告白。呆れた亮介は、早く勘違いに気付くよう告げるが、有頂天のハリ彦は聞く耳を持たない。一方のすず子は、ぼんやりしていて友達の話を聞き逃したり、ハリ彦には見せたスケッチしている自分を恋人の黒川(久保田裕之)には見せなかったりした。

すず子に会いたいハリ彦は、何度もメールをしようとするが、最後の勇気がでない。しかも夢遊病者のようにフラフラ歩いていてまさに恋ボケ状態。ハリ江(もたいまさこ)は、ハリ彦を見て全てを察したが、全く気にしていない様子。

サル系のすず子にすっかり恋をしてしまったハリ彦のことを心配した亮介は、鰐淵(田口トモロヲ)のところに相談に行き、何とかハリ彦の目を覚ませるために何か言ってやって欲しい、と訴える。しかし、鰐淵は、友情と同じように、ロマンスもボーダレスだと答えるだけ。

まもなく、耳田鍼灸院で月に一度行われる宴会の日がやって来た。店には、ジィジ(車だん吉)やヨシテツ(皆川猿時)、マスター(堀部圭亮)たち、常連客が集まり、楽しい宴が始まる。しかし、ハリ彦はすず子のことが気になって上の空。しかし突然、宴の最中にすず子から電話が掛かってくる――

すず子は一緒にコロッケを食べようと言って、鍼灸院の玄関に立っていた。それを見つけたハリ彦はア然。すると目ざとくすず子を見つけたマスターたちが、中に招き入れ、すず子も一緒に宴会に参加することに。

気恥ずかしさを隠せずにいるハリ彦だったが、すず子は違った。酔った常連客が絡んできても、それが楽しくて仕方ない、といった様子。ホッと胸をなでおろしたハリ彦だった。

宴会も終わり、片付けをしていたハリ江に、すず子が「たまに胸が苦しくてたまらないので針を打って欲しい」と訴える。しかし、ハリ江は「その苦しみは針では解決しない」と答える。「宴会が楽しかった。そのことが大切だろう」と、やさしく諭すのだった。

その後、ハリ彦は、すず子に何とか自分の気持ちを伝えようとするが、やはりうまくいかない。焦ってハリが立ちそうになるのをこらえてやっと、「また、会いたい」と言ったものの、酔ったすず子はてんで聞いていない。ちょっと残念な気持ちになったハリ彦だったが、すず子が別れ際に「またね」と言ってくれたことが何より嬉しかった。そして、新しい心地よい場所を見つけたすず子もまた、清々しい気分になって家路に着くのだった――

 

第6話

2007年11月17日放送

ハリ彦(中村友也)に教えてもらったコロッケを、恋人・黒川(久保田裕之)と食べていたすず子(村川絵梨)は、いきなり別れを告げられてしまった。狭いアパートに戻ったすず子は、だれに相談することもなく、号泣するばかり。しかし、一晩泣き明かしたすず子は、翌朝には自分の黒川に対する気持ちが完全にふっきれていたことに戸惑う。

一方、ハリ彦は、いつもサル系の女性にモテモテの鰐淵(田口トモロヲ)を訪ね、緊張せずに女のコと話せる方法を聞いていた。鰐淵は、ロマンスに必要なのはフェロモンじゃない、といって、微笑むだけ。

翌朝、亮介(松澤傑)は、まだ修行中のハリ彦に針を打ってくれと頼んだ。亮介は、自分がハリ彦を信用するから、ハリ彦も自分を信用しろ――。といいたかった。亮介は、すず子とは付き合うな、ということを身をもって忠告しに来たのだ。しかし、ハリ彦は納得できず、2人は掴みあいの大喧嘩。ついに、亮介は、もう友達じゃない、と言い残して帰ってしまった。

ハリ彦は、店の前にいつもやって来るハリ系排斥派の小松沢(池谷のぶえ)の歌や、ハリ系とサル系は違う生き物だというシゲ(吹越満)の話を思い出し、自分の気持ちをセーブするほうがいいのか、思い悩んでしまう。そんなハリ彦の気持ちを察したハリ江(もたいまさこ)は、ハリ系サル系という以前に、自分の心に正直であるよう、アドバイスする――

美しい夕陽を見たハリ彦は、急にすず子に会いたくなった。土手に駆けつけたハリ彦が見つけたのは、体を丸く丸めて横たわっているすず子。恋人にフラれたはずなのに「まったくショックを受けなかった」ことに落ち込んでいたすず子を見て、ハリ彦は懸命に慰める。

ずっと傍に居てくれたハリ彦に心を許したのか、どうしてショックを受けなかったのか、自分はそんなに黒川のことが好きじゃなかったのか、なぜ、大して落ち込まずにいられるのか、自分で自分のことがよくわからない、と、自分の思いをすっかり吐き出してしまったすず子。そんなすず子の想いを受け止めたハリ彦もまた、「あの時丸まってしまった意味がわからない、そんな自分が嫌いなんだ」と話す。

「丸まる」ということが「身を守る本能」だとしたら、ハリ彦は何から身を守ったのか。すず子に「何から身を守ったの?」と聞かれたハリ彦は、今、目の前にいるすず子が、その原因だということに気づく。自分が、すず子に恋をしたから――。

そのことが上手く説明できず、もじもじとするハリ彦。すると、すず子がキスをした。ハリ彦は突然のことに丸まってしまう。一生懸命すず子を励まそうとしてくれたハリ彦の愛しさに、思わずキスをしてしまったすず子。ひとり取り残されたすず子は、自分が気恥ずかしく、自分だってウニのように丸まってしまいたい、と苦笑するのだった。

 

第7話

2007年11月24日放送

ハリ彦(中村友也)は、すず子(村川絵梨)にいきなりされたキスの意味が分からずに、思い悩んだ。亮介(松澤傑)に相談しようにも、喧嘩別れをしていて声を掛けにくい。そんなハリ彦が相談に行った先は、サル系の女性にモテモテの鰐淵(田口トモロヲ)。

ハリ彦の思い悩む顔を見た鰐淵は、愛がなければキスは出来ないと告げ、サル系もハリ系も関係ないグローバルでボーダレスなのが愛だと言い切った。

すず子から手伝いを頼む電話をもらったハリ彦は、思わずガッツポーズ。だが、亮介とたまたま出くわすと、まだ喧嘩状態だと思い出し、落ち込んでしまう。寂しげな表情で家に戻ったハリ彦を見つけたシゲ(吹越満)は、自分の経験を話すと、友達は大切にするようにと諭した。

翌日、すず子の通う大学の教室に行き、粘土こねなどオブジェの制作を手伝ったハリ彦は、タイミングを見て、土手でのキスのことを聞いてみた。それに対し、自分でも良く分からないというすず子は、あの時以来、夕陽が上手く描けなくなったという。そして、一緒にいると何も考えずにいられるハリ彦が、自分にとって夕陽と同じかもしれないと答えた。

帰る途中、ハリ彦は、亮介との喧嘩していることをすず子に明かした。すず子は、その手を握り、自分の気持ちを素直に伝えるよう、アドバイス。この様子を見ていた亮介は、一人になったすず子を呼び止め、ハリ彦のことをどう思っているのかを問い正すことに―

真剣に思いを巡らせたすず子は、サル系ハリ系のワクを越えて、ハリ彦のことを好きだと答えた。亮介は、すず子の自信に満ちた態度に、思わず圧倒される。一方、ハリ彦はハリ江(もたいまさこ)に、亮介と仲直りするべきだ、と、思い出話を交えながら優しく励ます。ハリ彦が幼い頃から、ずっと傍に居てくれた亮介。小学生の頃、いじめっ子から守ってくれたのは亮介だった。さまざまな思い出がよみがえったハリ彦は、公園へと出かける。

そこは、亮介と「友情を誓った」場所だった。二人で公園に埋めた「誓いのもの」を探すハリ彦。だが、一向に見つからない。そこへ通りかかる亮介。何も言わず土を掘り始める亮介の姿を見ながら、改めてハリ彦は、自分がすず子に恋をしていること、そして、亮介に理解して欲しいと訴える。後姿でずっと聞いていた亮介だったが、「応援する」とポツリと答えた。ハリ彦は嬉しさのあまり、泣いてしまうのだった。

結局、「誓い」は出てこなかったので、二人で新しい「友情の誓い」を立てることにした。ふたりの大切な宝物―亮介はギターのピック、そして、ハリ彦は自分の背針。こうして、また二人の友情は続いていくのだった。

 

第8話

2007年12月1日放送

すず子(村川絵梨)が耳田家に遊びにやって来た。笑顔でハリ彦の部屋に入るすず子を見たシゲ(吹越満)やヨシテツ(皆川猿時)、ジィジ(車だん吉)は興味津々でハリ彦の部屋の様子をうかがう。楽しそうに出て行く2人を見たハリ江(もたいまさこ)は、ハリ造(ミッキー・カーチス)の写真を見ながら、思わずタメ息をつく。ハリ江にしかわからない悩みがあるようだ。

一緒に商店街を歩くふたりに常連のマスター(堀部圭亮)が声を掛けると、ハリ彦は大テレ。ハリ系排斥運動中の小松沢(池谷のぶえ)の前では、すず子がしっかりとハリ彦の手を握りしめる。そんなすず子に背中の針がキレイだ、と触られたハリ彦は感激。そして、次の日曜日のデートの約束をした。

ハリ彦は、亮介(松澤傑)にデートの初歩的な方法を教えてもらったり、鰐淵(田口トモロヲ)から方法はどんなことでも良くて、なによりも愛情が大切だとアドバイスされたりする。

デートの当日、ハリ彦は、道に迷いながらも美味しいと評判のもんじゃ焼き屋に向かった。結局もんじゃ焼屋には着けなかったものの、ハリ彦は、途中立ち寄った店で、すず子が気に入ったビーズのブレスレットをプレゼントし、デートは順調に進む。

そして、改めて自分の気持ちを告白しあう二人。思わず抱き合いキスをした瞬間、気持ちが高揚して逆立ったハリ彦の背中の針がすず子の腕に刺さってしまう。痛みのあまり声をあげたすず子。何が起こったのか一瞬わからなくなったハリ彦だが、すず子の腕が血でにじんでいるのを見つけて、驚き戸惑う。すず子の腕にハンカチを当てようと近づいたが、すず子はハリ彦の立ったままの針に驚き、恐ろしさのあまり思わずハリ彦を遠ざけてしまう。

すず子に拒否された――ハリ彦はそのショックで「ごめん」と一言だけ謝ると、その場を立ち去ったのだった。

 

第9話

2007年12月8日放送

すず子(村川絵梨)にケガをさせてしまったハリ彦(中村友也)は、しょげて落ち込み、押入れに閉じこもってしまった。付き合えばまた傷付けてしまうと思って、すず子がわざわざ会いに来ても顔を見せようとしなかった。

針がなければ…と思ったハリ彦は、勢いにまかせ痛さを我慢して背針を一掴み抜いてみる。それを持ち出して亮介(松澤傑)を呼び出し、背針を一本残らず抜いて欲しい、と頼み込んだ。しかし、亮介はそれに応じなかった。そして、自虐的になったハリ彦は、亮介さえも遠ざけようとした。

耳田鍼灸院に、サル系の女性・荒木兼子(りりィ)がやって来た。ハリ造が逝って9年になるのだが、兼子は毎年欠かさず一回顔を出し、仏壇に線香をあげてハリ江(もたいまさこ)と花札をして帰って行くのだ。

一方、いつもの土手で寂しげに絵を描いていたすず子は、たまたま会った鰐淵(田口トモロヲ)に、分からないことだらけのハリ彦と付き合う自信がない、と相談すると、鰐淵は分からない同士が互いに理解するのがロマンスだ、とアドバイスされる。すず子は、ハリ彦とのロマンスがもう始まっているという鰐淵の言葉を聞いて、ようやく元気を取り戻した。

その頃帰る途中のハリ彦は、兼子に声を掛けられハリ造の話を聞いていた。ハリ彦の針と花札でコマを作って回す兼子は、かつてこうしてよく一緒に遊んだというと、“針は人を癒すもの、その針ほど人に優しいものはない”というハリ造の言葉を伝える。自分の左手の薬指にハリ造の針の破片が残っていると見せる兼子は、いい思い出だったと懐かしげに話した。

家に戻ると、ハリ江から兼子はかつてハリ造の恋した女性だと聞く。ハリ彦は、もう一度すず子とやり直そう、と心に決めて。

その夜。懐かしそうにハリ造のアルバムを開いていたハリ江の元に、亡きハリ造がやってきた。花札勝負を始めた理由を聞かれたハリ江は、「ハリ造を賭けたサル系女とハリ系女の真剣勝負だった」と答える。嬉しそうに笑うハリ造とハリ江。しばしの再会を喜ぶ二人だった。

一方、ハリ彦はすず子に電話をする。「もう、逃げない」と強く告げたハリ彦は、すず子の家へと駆けていった。その後姿をまぶしそうに見つめるハリ造。かつての自分の姿を思い出したかのような笑顔を残し、消えていったのだった。

 

第10話

2007年12月15日放送

明日は、ハリ彦(中村友也)の20回目の誕生日。だが、ハリ江(もたいまさこ)やシゲ(吹越満)は、鍼灸の腕は上げたものの、自信とヤル気がないとハリ彦に呆れ顔。シゲは、20歳の時にはもう達人の域に達していたハリ造(ミッキー・カーチス)の話を持ち出して小言を言うが、ハリ彦には効きそうにない。

ハリ彦は、いつもの土手で、家での事をすず子(村川絵梨)に話した。これに対し、すず子は、ハリ彦は少し失敗しただけですぐに諦めてしまうところがあるから、シゲの言っていることは正しいという。イジケて、ふて腐れるハリ彦をなだめたすず子は、明日誕生パーティーをすると約束した。帰り道、ハリ彦は、鰐淵(田口トモロヲ)から、誕生祝いのシャンパンをプレゼントされるが、気は晴れなかった。

翌朝、シゲの叫び声で目を覚ましたハリ彦は、担架に横たわるハリ江が救急隊員に運び出されるのを目撃した。ハリ江に付き添っていってしまうシゲ。ハリ江から、「耳田鍼灸院を閉めるんじゃない」と命じられ、一人残されたハリ彦は、呆然と立ち尽くした。

まもなく、待合室に患者が集まり始めた。ハリ彦は、否応なく一人で治療を始めるが、患者たちを上手にさばけずに半泣き状態。たまたま亮介(松澤傑)が姿を見せるが、全く使いものにならない。そこへ約束の時間に来ないハリ彦の様子を見に来たすず子は、事情を知り、ハリ江がいつも着ている割ぽう着にそでを通して手伝い始めた。

この2人の様子を監視している男たちがいた。ヨシテツ(皆川猿時)、ジィジ(車だん吉)、マスター(堀部圭亮)、そして、シゲ――。実は、シゲらは、ハリ江の同意を得て、ハリ彦を一人前にしようと一芝居打ったのだ。何も知らないハリ彦は、さらに訪れる試練にヘトヘト。しかし、すず子の懸命の働きもあり、ハリ彦は、ついにその日の診療を終えた。

一生忘れられない誕生日に、笑顔で見つめあうハリ彦とすず子。その時、クラッカーが鳴らされ、ハリ江、シゲらが、にこやかに中に入って来た。

「すみません。坊ちゃんを試しました」とシゲ。なんと、20歳になってもうだつのあがらないハリ彦に業を煮やしたシゲたち常連客がハリ彦にやる気を出させようと仕組んだというのだ。

そして始まった誕生日会。盛り上がる中、いきなりマスターにすず子との関係を聞かれたハリ彦。戸惑うハリ彦だったが、意を決してすず子を「彼女」として紹介する。大きな祝福の拍手が起こり、こうしてハリ彦とすず子は「公認の仲」となったのだった。

 

第11話

2007年12月22日放送

小さな雑貨屋のシャッターに絵を描いて欲しいと頼まれたすず子(村川絵梨)が、その図柄に、河原の土手をバックにするハリ系の男の子とサル系の女の子を選んだ。手伝いを頼まれたハリ彦(中村友也)は、不器用ながらも笑顔で手伝った。

そんな折、国内で髪の毛が逆立つ伝染病“頭ツンツン病”が発生した、とのニュースが流れた。ウイルスの感染源は、輸入されたアカミミヤマアラシ。ワクチンが開発されておらず、人々の間に動揺が走った。小松沢(池谷のぶえ)は、ヤマアラシと似ているハリ系も危ない、といつも以上にハリ系の排斥を訴える。町の人たちは、半信半疑ながら、小松沢の話に耳を傾けた。

バンドのライブが決まって大喜びの亮介(松澤傑)が、白塗りメイクで鍼灸院に現れ、バッグから髪を逆立ててあるウイッグを付けて外に飛び出したことから、とんでもない事態となった。小松沢の話を聞いていた人たちは、鍼灸院で頭ツンツン病が発生したと勘違いして大騒ぎ。この噂がたちまち広まり、商店街から人の影が消えてしまったのだ。

自分は気に掛けないというすず子と一緒にシャッター画の続きを描きに行ったハリ彦は、ハリ系の男の子の部分がスプレーで消されているのを見つけて、呆然となった。すず子は、描き直そうと、すぐに筆を持ってシャッターへと向かう。だが、そこに、マスクをし、傘や布団叩きなどを持った町の人たちが現れ、ハリ彦に迫ってきた。すず子は、懸命にハリ彦の盾になろうとするが、押されて転倒。これを見て恐怖を感じたハリ彦は、無意識のうちに球体になってしまった。

すず子の連絡で自宅に運ばれたハリ彦は、ハリ江(もたいまさこ)から、静かに様子を見るしかない、と言われてうなだれる。シゲ(吹越満)は、勢いづく小松沢に、デマだと認めて欲しいと土下座までして頼み込むが、全く効果はなかった。

さらに、鰐淵(田口トモロヲ)が白衣の男たちに連行されたというウワサが流れる。すず子と会ったハリ彦は、噂が消えるまで会わない方が良いと伝えた。これに対し、すず子は、会えないなら付き合う意味がない、と思わず口にするが、ハリ彦は反対するどころか、その方がいいと同意する。

悔しさと、寂しさ、諦めと深い悲しみが入り混じる。すず子は涙がとまらず、その場を立ち去った。ハリ彦もまた、どうにもならない思いを抱えてうずくまるだけだった。

 

第12話

2007年12月29日放送

商店街にあるハリ造地蔵は撤去されそうにまでなっていた。この状況を考え、ハリ江(もたいまさこ)は、一生お供すると言うシゲ(吹越満)を連れ、青森に引っ越すことを決めた。ハリ江から話を聞いたハリ彦(中村友也)は、姿を見せた亮介(松澤傑)にすず子(村川絵梨)とのことを明かすが、引っ越しのことは切り出せない。しかも亮介によると、どこかに連行された鰐淵(田口トモロヲ)の行方は、まだ不明らしい。

亮介は、デマの原因を作ってしまった責任を痛感し、すず子に会ってハリ彦の思いを伝えた。シャッターの絵から、一度はハリ系の男の子の部分を消していたすず子。だが、亮介は、すず子の胸の中に消えずに残るハリ彦への思いに気づき、仲直りするよう勧める。

引っ越しの日、荷物をまとめたハリ彦は、ハリ江に、忘れたいことが忘れられるツボ“忘却心穴”に針を打って欲しい、と頼むが、即座に断わられてしまう。自分がすず子に惚れたという事実を素直に認めるよう、ハリ彦に言った。

思いを新たにしたハリ彦は、すず子との約束を守り、例の雑貨屋の前にやって来て、一緒にシャッターの絵を描き始めた。やがて、土手でハリ系の男の子とサル系の女の子が寄り添い、美しい夕陽をながめている絵が完成。河原の土手に一緒に座ったハリ彦とすず子は、夕陽を見つめながら別れを惜しんでいた。そこに人影が現れて――

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