第1話
司法研修を終えたばかりの新米弁護士・堂本灯(上戸彩)が、ついに弁護士としての第一歩を踏み出す日がやってきた。灯が就職したのは、法曹界で最大手といわれるエムザ法律事務所。エムザのメインの顧客は、個人ではなく企業。だが、灯が自ら望んだ先は、プロボノと呼ばれるセクション。灯は、弱者を救いたいという自分の夢を実現しようと意欲に燃えていた。
プロボノとは、公共の利益のために社会奉仕をすることで、低報酬で社会的・経済的な弱者を守るというこの活動が、近年、弁護士界で義務化され始めている。エムザでは、所長の森岡哲夫(大杉漣)が、いち早くこのセクションを設置。弱者を救済したいと弁護士を志した灯は、エムザにプロボノセクションがあると知り、入所を決めたのだ。
しかし、プロボノセクションには、リーダーの弁護士・杉崎忠志(北村一輝)と、杉崎をサポートするパラリーガル〈法律業務専門職〉の倉木しおり(戸田菜穂)の2人だけ。想像と異なる雰囲気に戸惑っている灯に、杉崎は最初の仕事を指示する。
それは、弁護依頼を全て断わること。杉崎の意図が理解できず、灯は反発する。それを見ていたしおりが、まず一件引き受けてもらうようアドバイス。杉崎は渋々了承するが、自分は手伝わないと宣言する。
第2話
初めての弁護に張り切っていた灯(上戸彩)だが、真希(石井萌々果)が「保護」されるために裁判所によって連れていかれ、絶望した母の享子(富田靖子)が夫・和彦(阪田マサノブ)を刺してしまったことに、完全に自信を失ってしまった。
大きな壁に突き当たった灯に、和彦側の弁護士・浜田(石丸謙二郎)は、さらなる攻勢をかける。和彦が全治1ヶ月の重傷だという浜田は、離婚に応じる構えを見せながら、1000万円の損害賠償を求め、示談を持ち掛けたのだ。もはや享子は加害者で、殺人未遂の実刑を免れたいのなら和彦本人の嘆願書が必要なはずだ、という浜田。灯は、余裕の表情の浜田の前で、対処法が見つからなかった。
そんな折、児童養護施設側の要望で、灯は真希を自宅で預かることになる。昼間、真希を一人にしておけないと考えた灯は、母・美代子(かとうかず子)に頼むが、どっちが仕事を休むかでケンカになってしまう。その様子をそっと見ていた真希は、夜、灯と2人きりになったさい、衝撃的な行動に出た。それは、ケンカした灯をなぐさめようとしてとった行動。しかし、灯は、真希が父親から性的虐待を受けていたのだと気づき、大きなショックを受ける――
第3話
灯(上戸彩)が今回相談を受けた相手は、会社員の夫を少年に殺された宇佐美千枝子(鈴木砂羽)という主婦。千枝子の夫・宇佐美拓男(中嶋けんこう)が、駅のホームで18歳の川原徹(佐藤祐基)に、些細なことが原因で突き飛ばされ、壁に頭を打ち付けて死亡したのだ。事件後、徹の母親・友江(朝加真由美)と弁護士の大沢(田中哲司)が示談による解決を求めてきたが、まだ10歳の息子・佳彦を抱えた千枝子は、夫の命をお金に換えたくない、刑事事件にして徹を処断したいという。
早速、千枝子の意向を大沢に伝えに行った灯は、示談金の額が1000万円であることを告げられ、徹が書いたという反省文を手渡された。反省文を読んだ灯は考え込んでしまうが、その内容を見た杉崎(北村一輝)やしおり(戸田菜穂)は、大沢の指導で徹が無理矢理書かされたと断言。だが杉崎は、その反省文を使い、示談に応じるよう千枝子を説得しろ、と灯を促した。
さらに、友江が灯のもとを訪れ、1000万円の札束を取り出して灯に土下座をし、千枝子を説得して欲しいと頼み込む。しかし、千枝子は、徹の反省文を受け取らず、反省ではなく、償いをしてほしいと言いきる。
ところが、検察は、徹を傷害致死で家裁送りにすると決定。判例から見ると、徹の場合、犯罪の前科ともならない保護処分になる可能性が高い。徹は少年法に守られ、前科もつかず、刑罰も受けない、殺人者にならないという現実を知った灯は、ショックを受けるが、杉崎は、最初から示談をまとめればよかったのだと冷ややかに言う。
第4話
弱い人を助けたいという気持ちで頑張る灯(上戸彩)が、750万円の借金を抱えた佐々木光治(黄川田将也)という男の相談を受けた。借りた金を友人に持ち逃げされたという佐々木は、会社を辞めたばかりだったため、返すあてもないという。ローン会社に返済を待ってもらいたいという佐々木の開き直りに違和感をおぼえながらも、返済は困難だと見た灯は、自己破産するよう提案。それが認められ、裁判所の免責決定を受けた佐々木は、晴れて借金地獄からの脱出に成功した。
ところが、その佐々木が、弁護ミスだと騒いで再びエムザに現れたことから、事務所は騒動となった。事情を知った怜子は、自分が佐々木の対応をすると告げ、灯には同席しても一切しゃべらないよう命じる。
話によると、佐々木は、警備会社に再就職しようとしたものの、破産者だという理由で断られたという。そのことを灯が説明しなかったことが、弁護ミスだというのだ。さらに、灯が、説明不足でしたと謝りの言葉を口走るのを聞いた佐々木は、つけ込むように慰謝料などで誠意を見せるようゴネ出す始末。そして報告を受けた森岡(大杉漣)と財津(篠井英介)は、自分のミスを認めてしまった灯を、弁護過誤に繋がると厳しく叱責する。しかし、自分には故意はなかったと弁解を続ける灯に、杉崎(北村一輝)も仕事を休むよう告げる。
第5話
臨海学校に参加していた私立中学の生徒が海で水死する事故が発生。その学校の卒業生だった灯(上戸彩)は、学園の顧問弁護士を担当することになった怜子(りょう)の要請で、工藤率いる訴訟部門チームに加わることになった。
事故で死亡したのは、布田武史(桜田通)という中学3年生の生徒。武史の担任教師は、偶然にも灯の中学三年生当時の担任だった大塚哲也(東根作寿英)だった。灯、片瀬(加藤成亮)を連れて学園を訪れた怜子は、理事長や学園長、大塚ら関係者を集め、事故当日の様子を聞く。
大塚の話によると、事故当日、学園側は、生徒の遠泳を計画していたが、海が荒れていたためしばらく様子を見るよう生徒たちに告げたらしい。怜子は、学園側の責任を回避するための事故対策マニュアルを配った。そして、事実関係が明らかになるまで、遺族側と責任に関する交渉は一切しないよう告げ、謝罪の言葉も決して口にしないよう指示。さらに、大塚には“遠泳を禁止した”と言ったことにするよう命じた。その場に同席した灯は、証言をねじ曲げようとするやり方に戸惑う。
その後、打合せを終え帰ろうとした怜子たちは、学園の校門で校内に入ろうとして揉めている布田武史の父親・康彦(山崎一)を目撃。康彦は、何があったのか教えてくれと訴えていた。その姿を見た灯は、怜子にこれでいいのかと疑問をぶつける。これに対し、片瀬は、自分たちの仕事は学園の利益を守ることで弱者救済ではないと答えた。さらに、プロボノに戻った灯に、杉崎(北村一輝)やしおり(戸田菜穂)も、事実を隠蔽してまでも学園を守るのが普通の弁護士のやり方だ、と言い切る。
第6話
刃物で切り付けられ糊付けされた辞書を布田武史(桜田通)の机の中で見つけて、愕然となる灯(上戸彩)。だが、その辞書の持ち主が同級生の折本幸広(染谷将太)だと知った灯は、武史がイジメにあっていたのではないと推理。折本に直接話を聞いた灯は、武史が優等生で真面目という仮面をかぶりながら、裏では同級生たちに執拗で陰湿なイジメを繰り返していた事実をつかむ。
報告を受けた怜子(りょう)は、武史の父・布田康彦(山崎一)と母の則子(みやなおこ)が学園を相手に多額の賠償を求める訴訟を準備したことを灯に告げる。灯のつかんだ情報は、他の生徒たちが武史を有利にするような証言に立つ可能性がないということを意味し、エムザが裁判を有利に進める材料になるという。納得のいかない灯だが、裁判になれば灯の仕事はないと、この案件の担当から外されてしまう。しかも度々生徒への調査を続けていることに学園から抗議を受け、エムザ内でも孤立してしまい―――。
第7話
杉崎(北村一輝)に所長の森岡(大杉漣)から、強姦致傷事件の被告の弁護を受けるようにとの指示が出た。
この案件は、戸塚源一(遠藤雄弥)という19歳の浪人生が女性銀行員・松沢明美(片瀬那奈)を暴行して負傷させたというもの。区議会議員をやっている源一の父親・戸塚健一(並樹史朗)の協力が、エムザの関わっている公害訴訟に必要だったことから、エムザとしては、源一の弁護をし、最悪でも執行猶予を勝ち取らなくてはならないのだ。
杉崎は、灯(上戸彩)に引き受けるかどうか問いただす。強姦は、女性の尊厳を踏みにじる卑劣な犯罪、しかも源一は再犯だという。灯は激しい嫌悪感を覚えるが、依頼人のために全力を尽くすという弁護士としての仕事を第一に考え、源一と接見。深く反省していると涙を流す源一に、灯は、事件が計画的なものではないということを確かめ、今後二度と女性を傷つけないと約束させた上で、弁護を担当することを決めた。
過去の判例を勉強し、調査を進めるにつれ事実に耐えられない灯だが、杉崎は、強姦事件は裁判長の心証で判決が変わる、被害者・明美の弱みを探して来いと言うものの――
第8話
「プロボノ廃止」の議論が渦巻くエムザ法律事務所。そんな中、プロボノの行く末を案じた怜子(りょう)から頼まれた灯(上戸彩)が、弁護士にとって最も難しい分野のひとつとされる医療裁判を手掛けることになった。
被害にあったのは、入院中の河合優子(今橋かつよ)という48歳の主婦。1週間前に脳動脈瘤の手術を受けた優子は、その後、植物状態になった。夫の照夫(河西健司)と娘・里奈(佐藤仁美)が、主治医で執刀医の藤木勇二(三上市朗)が手術中に手術室を抜け出したとの看護師の噂を耳にし、医療ミスを疑ってエムザに相談を持ち込んだのだった。
話を聞いた灯と杉崎(北村一輝)は、裁判を起こす前に優子のカルテ、検査結果などの資料が必要と判断。病院側の提示の拒否や、改ざんに対抗するため、裁判所に証拠保全を求める手続きする。
しかし、病院側から、優子の退院要求が出た。医療ミスで訴えを起こそうとしている灯たちの動きを知った病院が、手術の必要のない患者をこれ以上置いて置けないといけん制をかけてきた。そして藤木は海外から研究員として招請されるほどの名医で、なおかつ手術中に手術室を出る行為だけでは医療ミスを証明できないとわかる。
灯と杉崎は、活路を求めてカルテなどの資料を分析。その結果、手がかりになりそうな一文を見つけて――
第9話
杉崎(北村一輝)が、7年前に担当した強姦致傷事件の被害者で、事件後に自殺した鈴木亜希子(中村麻美)の母親・政恵(伊佐山ひろ子)から、損害賠償を求める訴訟を起こされる。杉崎が、加害者・富田大介(大倉孝二)を弁護し執行猶予にしたことで、娘・亜希子が仕返しのため再び暴行され、それを苦に自殺した、というのだ。杉崎が行った弁護に対して、杉崎とエムザに損害賠償一億円を請求するという訴状が、原告側の弁護士・不破憲一(勝村政信)から届き、エムザで大問題となる。
すぐに杉崎が呼び出され、森岡(大杉漣)、財津(篠井英介)、怜子(りょう)らが対応を協議。しかし、訴状を見た杉崎は事務所を辞めると申し出る。森岡は、もはや杉崎一人の問題ではないと言い、法曹界が、いわば身内でもある弁護士自身を懲罰するための訴訟を起こす、ということは過去に例がなく、これが認められれば日本の裁判システムを揺るがす大問題だというが、杉崎は聞き入れない。
その動きを知った灯(上戸彩)は、エムザを辞めるという杉崎を止めることができず、また、しおり(戸田菜穂)は有給をとり休んでしまい、プロボノは廃止同然という状況の中、孤立してしまうのだった――
第10話
日本を揺るがす事態となった杉崎弁護士(北村一輝)への懲罰的損害賠償訴訟。灯(上戸彩)は、押しかけて来たマスコミに、この裁判を通して弁護士の正義を問い質すと宣言。杉崎は行方をくらましてしまい、しおり(戸田菜穂)は帰りを待ち続けていた。
今回の裁判の一番のポイントは、杉崎が、富田(大倉孝二)に再犯の可能性があると知っていながら弁護をしたのか、ということ。これが証明出来てしまうと、杉崎が負ける可能性が出てくるというのだ。
第一回、第二回と裁判が進む中、杉崎と会った灯は、富田の行方について情報を得る。灯は、すぐに富田を捜し出し、法廷で真実を話すよう説得する。一方、怜子(りょう)を始めとしてエムザ法律事務所は杉崎に過失はなかったと主張、灯をも杉崎側の証人として申請するなど、精力的に弁護活動を続けていた。
だが、そんな中、灯は見知らぬ男に襲われ――