リツイートした人も名誉棄損になるのか?
7月15日放送の「行列のできる法律相談所」では、悪質なコメントをリツイートするだけで名誉毀損になるかどうかについて取り上げた。果たして弁護士軍団の見解は?
今回の相談者は、会社員の中村裕一さん(仮名・27歳)。ある日、会社の同僚・田中のSNSを見てみると・・・
『実は今日…うちの会社の山崎部長が、部下の佐藤美幸と浮気しているところ見ちゃいました!妻子持ちのくせに!』
中村 「うわぁ部長最低だなぁ。よしっ俺もリツイートしてやろっ!」
リツイートとは、他人が投稿した内容を引用し、自分のSNS画面にも同じ内容を表示させること。つまり中村がリツイートした事で、中村をフォローしていた同僚にも部長の浮気の噂が一気に広まった。
すると・・・
部長 「田中ふざけんな!これは名誉毀損だぞ!」
田中 「事実なんだからしょうがないじゃないですか!」
確かに人物が特定できる悪質なコメントをSNS上で書き込んだ場合、書き込んだ人は名誉毀損にあたる可能性が高いが・・・
部長 「おい中村!お前もリツイートしたんだから同罪だ!」
中村 「えっ!?ツイートしたのは田中で、俺まで訴えるのはおかしいですよ!?」
果たして、リツイートした人も名誉毀損になるのか?
■北村弁護士の見解
「名誉棄損になる」
はい、これは名誉毀損になります。
実名で部長の浮気を公表するという行為、これは中身が本当でも嘘でも、原則名誉毀損になります。社会的評価を下げますからね。本件はその内容をリツイートしたんですね。
平成26年、平成27年、民事の判決ですけどもいずれも名誉毀損に当たるという東京地裁の判例が出てます。
■菊地弁護士の見解
「名誉棄損になる」
最初に名誉毀損を行った人間が、例えば慰謝料20万円くらいだとしますとね、後からリツイートした人は、ちょっとやっぱり慰謝料は下がる、まあ10万5万とかですね、そういう傾向はあると思います。
■本村弁護士の見解
「名誉棄損になる」
ちょっと違うケースでね、いいねを押した場合はどうでしょうか。
いいねっていうのは、他人のツイートに賛成の意思を示したに留まるからということで、原則責任は負わないでしょう。ただSNSの種類によっては、いいねを押すと、 「誰々さんがいいねしました」と表示される場合がありますので、影響力の大きい人、発言力の大きい人がいいねを押してしまうと、バーっと広範囲に拡散してしまうこともあります。