第1話
沖縄の孤島に生まれ、5つの時に母親と生き別れた少女、森田まひる(星野真里)。さびれた食堂を営む養父母に預けれられた彼女は、耳が聞こえず、声を発することもできない、ろうあという障害を抱えていた。養父母(大杉漣・吉田日出子)の虐待にあいながら学校にもろくに通わせてもらえない毎日。いつか東京に行った母親が迎えにきてくれる…それだけを支えに、健気に気丈に生きてきた。
そんなある日、まひるは海で溺れている一人の青年を助ける。
青年の名は村岡一樹(藤原竜也)。東京の大学の4年生で、ダイビングサークルの合宿でこの孤島を訪れていた。将来への漠然とした不安を抱えながら今を楽しむことに没頭しようとする若者たち。一樹はサークルのマドンナ・長谷川美月(奥菜恵)とダイビング中に、彼女が海底に落としたネックレスを拾おうとして岩場にはまる。瀕死の彼を偶然助けたのがまひるだった。海岸に一樹を引き上げ、人工呼吸で蘇生させるが、美月たちが駆け付けるとまひるは慌てて姿を消す。
その夜、一樹と同じサークルの親友、澤木弘人(高杉瑞穂)・岩瀬真(吉沢悠)は、養父の性的虐待にあいかけているまひるの姿を目撃。その光景をみて突然暴力的に変身した弘人が養父に殴りかかる。このことがきっかけで、3人は初めて一樹を助けたのがまひるだということ、そしてまひるの過酷な境遇を知る。
その帰り道、まひるを送った一樹は、夜空の星を見上げながら、まひるに「星の金貨」の物語を聞かせる。
「身寄りのない貧しい少女が、一切れのパンを持って森を歩いていました。少女は森のなかで次々と貧しい子供たちに出会いました。彼女はそのたびに自分の持っていたパンや帽子、着ていた服や下着までも与えてやりました。最後に裸になった少女は小高い丘の上で満天の星空を見上げました。すると空から星が落ちてきて、いつのまにか本物の金貨に変わったのです…」
童話の中の少女のように、いつかきっと幸せがやってくる、と語りかける一樹に対し、まひるはそっと手話で「私をさらって」と訴えかける。しかし、まだ若い彼らにはどうすることもできない。いたずらに楽しい時間だけが流れていく。
そして、彼らが島を離れる日がきた。養父とのいさかいから家を飛び出したまひるは、荷物を詰めたボストンバッグを手にフェリー乗り場までひた走る。一樹たちは複雑な思いを抱えたままフェリーへ乗りこむが、視線はまひるの姿を探すばかり。船が港を離れようとした時、一樹の目にまひるが飛び込んできた。声にならない声を振り絞るように、まひるが手話で叫ぶ。
『私をさらって!』。
一樹は、思わず手を差し伸べていた…。
ついに実の母親(手塚聡美)が暮らす東京にやってきたまひる。しかし、そこにはさらにつらい現実が待っていた。
そんなまひるに、戸惑いながらも手を差し伸べる一樹たち。真の妹で、ろうあの少女、鈴音(柳沢なな)とまひるの間には友情が生まれる。ひたむきなまひるに強く惹かれていく一樹。彼に想いを寄せる美月のまひるへの感情は、同情から次第に激しい嫉妬へと変わっていく…。
第2話
一樹(藤原竜也)たちの助けを得て東京に出てきたまひる(星野真里)。しかし東京で暮らす実の母親とは決別、一樹の部屋でふたりの生活を始めることになった。ろうあのまひると、手話も分からない一樹。しかし奥底で通じ合うものをふたりは感じていた。
ある日、一樹の忘れ物を届けるため、まひるは一樹たちが通う大学キャンパスにやってくる。偶然、真(吉沢悠)がコンクールへむけ絵を描いているを知る。絵のモデルは彼が想いを寄せている美月(奥菜恵)。真の絵が入選すれば、美月は真の恋人になると約束する。
生活していくために、まひるは仕事を探し始める。しかしろうあという障害を抱え、仕事先が見つからず困っている彼女に、美月は父親の知り合いのホテルの仕事を紹介。しかし、その影で美月の中にはまひるへの激しい嫉妬が膨らんでいた…。
コンクール当日。真の絵は佳作で入選。しかし、その絵は美月の心を混乱させ、彼女は絵を切り裂いてしまう。ショックを受け傷つく真を、まひるは懸命に力づける。一方、自宅に戻った美月は自らを傷つけ、薄れ行く意識の中で一樹に携帯をかけていた…。
美月の紹介でホテルの仕事を得たまひるだが、客室の盗難騒ぎで疑いをかけられ、すぐにクビになってしまう。美月が仕組んだのでは、とひそかに思うまひると、疑うことを知らない一樹は言い争いになり、まひるは家を飛び出す。どしゃ降りの雨のなか、まひると出会ったのは、年上の男・間宮修介(榎木孝明)だった。
第3話
一樹(藤原竜也)との小さなケンカから家を飛び出したまひる(星野真里)。不思議な年上の男・修介(榎木孝明)と出会うが、それは修介がまひるに意外な可能性を見出した時でもあった。
修介に諭されるように、一樹の家に戻り一樹との愛をはぐくんでいくまひる。仕事を探す彼女は偶然、弘人(高杉瑞穂)の父親(峰岸徹)が経営する大手建設会社・澤木建設の面接試験に挑戦する。このことがきっかけで、弘人は自分のけして幸福とは言えない生い立ちをまひるに告白する。父の愛人だった母。本妻に子供ができなかったため、弘人を受け入れたとはいえ父親の愛情を感じられなかった子供時代。初めて他人に告白した弘人は、まひるを母親との思い出の場所へと連れていく。真(吉沢悠)は美月(奥菜恵)への思いをふっきったようにまひるの絵を描きはじめる。一方で、一樹への想いから自傷行為にまで走った美月のまひるへの嫉妬はさらに強いものになっていく。まひると顔を合わせれば取っ組み合いのケンカになってしまう。
そんなある日、弘人が傷害事件を起こしてしまう。相手は、弘人の以前付き合っていた女性の現在の恋人。その背景には彼が生い立ちのなかで抱えたトラウマがあった。弘人を心配して留置所にかけつけた一樹たち。しかし彼らに対して弘人は冷酷な言葉を投げつけ…。
第4話
一樹(藤原竜也)とまひる(星野真里)のほほえましい共同生活。そこへ、ある日突然一樹の母親・芳枝(吉田京子)が山形から上京してくる。とっさに、母親にまひるとの同棲を隠す一樹。まひるがろうあだと知った母親は、一樹に彼女と付き合うことを反対する。母親の気持ちをおもんばかったまひるは真(吉沢悠)と鈴音(柳沢なな)兄妹の部屋へ移る。まひるを心配して真の携帯に電話した一樹は、電話の向こうのまひるに自分の態度を詫び、初めて愛を告白する。耳の聞こえないまひるだが、一樹の思いの深さは心に届くのだった。
そんな2人に嫉妬する美月(奥菜恵)は、一樹の恋人だと偽って、芳枝に接近。料理を作ったり、観光に付き合ったりと世話を焼き、「まひるはただの可哀想な子、一樹は同情しているだけ」と吹きこむ。一樹もつい反論できず、その光景を目の当たりにしたまひるは深く傷つく。傷心のまひるを、突然襲うひったくり。バッグを取り返そうと必死にひったくり犯を追うまひるは、いつしか競技場に入りこんでいた。そこで彼女は、驚くべき人物と再会する。
一方、ぶっきらぼうな態度の裏でまひるのことを何かにと励ましていた弘人(高杉瑞穂)は、父親(峰岸徹)との言い争いのなかで、愛人だった母親がふしだらで、自分を捨てて他の男に走ったと侮辱され、激こうする。自分の抱える傷をえぐられた弘人は、一樹がまひるの存在を母親に隠したことを責め、殴りかかる。自分の気持ちに気がついた弘人は、酔った勢いでまひるのもとを訪れ、彼女への想いを荒々しくぶつけるのだが…。
第5話
一樹(藤原竜也)は母親の突然の上京をきっかけに、まひる(星野真里)への深い愛情に気づく。しかし皮肉なことに、まひるは弘人(高杉瑞穂)に思いをぶつけられ身も心も深く傷つき、素直に一樹に微笑をみせることができないでいた。一方、弘人は真(吉沢悠)に、初めて本気になった女性・まひるへの愛情を告白するが、一樹にだけは言うなと口止めされる。
悩み傷ついたまひるは、修介(榎木孝明)のもとを訪れる。そこで、修介が故障した元陸上選手だったという事実を知る。今も陸上を忘れることができないという修介。まひるも同じように、走っているときだけは全てを忘れることができると感じ始めていた。
一方、一樹は、まひるが何を抱えて悩んでいるのかわからず困っていた。修介から「何かにおびえているかのようだった」と教えられた一樹は、覚えたての手話で「君に何があったのか知りたい」と訴える。そんな一樹の真心を感じれば感じるほど、真実を告げることができないまひるは「私を抱いて」と一樹の胸に飛び込むが…。
まひるは修介のもとで本格的に走るようになった。真は走るまひるをモデルに絵を描きはじめる。全てを知る真は、一生懸命まひるを元気づけようとする。彼もまたまひるへの思いを抱いていた。
そして弘人もまた、まひるを愛するがゆえに、自分の過ちを謝罪する。しかしその裏で、美月(奥菜恵)は一樹に、まひると弘人の過ちを告げてしまう。真実を知った一樹は果たしてどのような行動に出るのか…?!
第6話
一樹(藤原竜也)こそ自分にとっての「星の金貨」…そう確信し全てがふっきれたまひる(星野真里)。修介(榎木孝明)が監督をつとめる実業団の陸上部に交じって、走りに没頭する。そんなまひるの前に、天才ランナー・麻生恵理(小西真奈美)が現れる。修介は天才肌で挫折を知らない恵理にとって、まひるの存在がいい影響を与えることを望んでいた。
そんな彼女の姿に、思いを寄せる弘人(高杉瑞穂)は2度とまひるの前にあらわれないと決意。人生の目的を見失った弘人は澤木建設の社長である父親・光彦(峰岸徹)に服従を誓い、会社経営を学ぶ道を選ぼうとする。弘人の本心を試すように、父親は早速、財界の大物の孫娘・栞(伴杏里)との見合いを命じる。
一方、一樹はまひると弘人との過ちの事実に、ひとり苦しみつづけていた。許そうと決めたものの、「なぜ自分から打ち明けてくれなかったのか」と言葉の端々でついまひるを責めてしまう。悩み苦しむ一樹は、つい美月(奥菜恵)を呼び出し、まひるを許そうとしながら同時に憎んでいる心境を告白する。そんな一樹に、美月はある提案をするが…。
第7話
一樹(藤原竜也)は部屋を出て美月(奥菜恵)のもとで暮らすようになる。「一樹はもう私のもの」と勝ち誇って微笑む美月に、まひるはショックを隠せない。そんな美月も、一樹に対する自分の気持ちが愛情なのか、まひるの存在があるからこその独占欲なのか分かりかねていた。
一樹がいなくなったことで陸上のトレーニングに身が入らなくなったまひる。ライバルの恵理(小西真奈美)は陸上をやめるべきだと冷たく言い放つ。相談を受けた真(吉沢悠)は、いつか一樹は必ず戻ってくると励ますが、自分の弱さをかみしめるばかりのまひるは以前のように伸び伸びと走れなくなっていた。
一方、父親(峰岸徹)の命令で財界の大物の孫娘・栞(伴杏里)と付き合っていた弘人(高杉瑞穂)は、まひるのために、父親も会社の後継者の椅子もすべて捨てる覚悟を決める。自分の最後の希望になってほしい、とまひるに一緒に暮らそうと提案する弘人。その言葉にまひるの瞳からは涙がこぼれ落ちる。
まひるは陸上をやめ、一樹のアパートを出ることを決意。そのことを真から聞かされ、自分たちはもうダメだ、と涙を流す一樹に、真は時間がすべてをいやしてくれると説得。一樹は再びまひるのもとへ戻ろうとする。しかしそれを知った美月は逆上し果物ナイフを一樹の喉もとに付きつけ…。
第8話
まひる(星野真里)の目の前で交通事故に遭った一樹(藤原竜也)は、運び込まれた永世会病院で、頭部の手術を受ける。声が出ないために一樹を事故から守れなかった、と自分を責めるまひる。そんなまひるに、美月(奥菜恵)は「事故に遭ったのはあなたのせい」と詰め寄る。手術はなんとか無事終了するが、一樹の意識は戻らない。執刀した脳外科医・小泉美和(田中美奈子)は、一樹を心配するまひるがろうあなのを知り、過去の不幸な出来事が頭をよぎるのだった。(*美和は前作「星の金貨」「続・星の金貨に登場)
山形から一樹の母親・芳枝(吉沢京子)がきゅうきょ上京し、まひると共に病床の一樹に付き添うが、術後の経過はさらに悪化。失意のまひるは、一樹のために心の支えだった陸上を辞めようと決意する。そんなまひるに、修介(榎木孝明)は「誰かの希望になりたいのなら、自分がまずしっかりと自分の脚で立たなくては」と諭し、自分のために走るようすすめる。
一方、真(吉沢悠)や弘人(高杉瑞穂)も一樹とまひるを見て苦悩していた。真は自分がした事が結果として事故に結びついてしまったのではないかと。そして弘人は、事故が起きたあの時、まひるの気持ちは一樹と弘人のどちらにあったのかを知りたかった。彼は決別した父親(峰岸徹)のもとに押しかけ、一樹のために世界一の名医を紹介して欲しいと訴えるが…。
第9話
昏睡状態が続く一樹(藤原竜也)。看護に疲労の色を濃くする母・芳枝(吉沢京子)を見守りながら、まひる(星野真里)は一樹が目を覚ましたとき自分を必要としてくれるのか、悩んでいた。一樹とともに自分も苦しみたい、と自らに鞭打つようにグラウンドを疾走するまひる。しかし、そんなまひるを修介(榎木孝明)を冷たく追い返す。苦しむために走ろうとするまひるの姿は、かつて周囲の期待に押しつぶされ脚を故障してしまった自分自身の姿に重なるのだった。
弘人(高杉瑞穂)は父親・澤木光彦(峰岸徹)のもとを再び訪れ、一樹を治せる名医を紹介してほしいと迫る。弘人にとって、まひるの本心を確かめるにはどうしても一樹を目覚めさせなくてはならなかった。
一樹の病状は日々深刻になっていく。担当医師の美和(田中美奈子)は脳死判定を行うための検査を芳枝に申し入れる。そんな中、一樹と共に生きたいと願う美月(奥菜恵)はある計画を立てていた。しかし偶然からその計画に気づいた真(吉沢悠)と鈴音(柳沢なな)は…。
最終話
弘人(高杉瑞穂)が父親(峰岸徹)から入手した優秀な外科医のリストの中から、いま一樹(藤原竜也)の手術を行うことができる唯一の医師の存在を知ったまひる(星野真里)たちは、その医師・中谷のもとを訪れる。かつて奇跡的な手術の成功を修めながら隠遁生活を送る中谷は、患者に残る残酷な後遺症のために、一樹の手術の執刀を拒否する。しかし、まひるはたとえ一樹がどんな姿になったとしても、彼が生きたいと願うのであれば受け入れることができる、と訴える。
心を動かされた中谷は、美和(田中美奈子)とともに一樹の手術を執刀することを決意。まひるは一樹とともに闘いたい、と諦めていたマラソン大会への出場を修介(榎木孝明)に願い出る。そして一樹の手術のために再び父に従う道を選んだ弘人(高杉瑞穂)は、父の口から母親についての意外な事実を知らされる。弘人は父の命令で海外に赴任することになり、まひるに、一樹の手術が成功しマラソン大会が終わったら一緒に来てほしいと頼むのだった。
後遺症覚悟の一樹の手術、そしてまひるが出場するマラソン大会が行われる運命の日がやってきた。修介への想いからまひるにライバル心を燃やす恵理(小西麻奈美)とペースをあわせ、先頭集団に食い下がるまひる。その姿をテレビ中継で見つめながら、ひとり空港で彼女を待つ弘人。病院で一樹の手術を見守る真(吉沢悠)や母・芳枝(吉沢恭子)たち。それぞれの想いが交錯しながら、手術、そしてマラソンは順調に進んでいく。しかし、突然まひるの脚に激痛が走る。そして一樹の心拍も急激に低下を始め…!
まひるは果たして完走し、勝利を掴むことができるのか?一樹の手術は成功するのか?ふたりは再び一緒になることができるのか?物語は感動のクライマックスへ!