日本テレビ放送網株式会社(本社:東京都港区 代表取締役 社長執行役員 石澤 顕、以下日本テレビ)は、(一社)映像情報メディア学会にて、「技術振興賞コンテンツ技術賞」と「技術振興賞進歩開発賞(現場運用部門)」を受賞致しました。技術振興賞は7年連続での受賞となります。
この賞は毎年、映像情報メディアに関する研究や開発等で著しい功績をあげた個人、団体に授与されます。
日本テレビでは、今後も積極的な新技術の開発・導入により、皆様への魅力的なコンテンツ提供と番組制作に取り組んでまいります。
ボリュメトリックビデオ※1を用いたプロ野球中継
ボリュメトリックビデオシステムの導入により、バッティングや走塁、華麗な守備連携など、あらゆるシーンのリプレイ映像を、360度自由なカメラワークで制作し、従来の野球中継では決してできなかった新しい映像体験の提供を行いました。革新的なプロ野球中継を実現させた技術・工夫が高い評価を受け、受賞に至りました。
ボリュメトリックビデオ技術とは、選手や演者の動きを3次元データに変換することで、あらゆる方向から見た映像を鑑賞できるようにする技術です。近年、スポーツやエンターテインメント分野を中心に活用の幅が広がっています。
本技術により、まるでグラウンド内に入り込んだかのような選手目線の映像や、ファインプレーの瞬間に時間を止めて、上下左右自由に回り込むようなハイライト映像を作成するなど、通常のカメラでは撮影できない視点の映像をお届けすることで、より分かりやすく、より楽しい野球中継の実現に繋がりました。
●受賞者のコメント
★起案/開発 篠田貴之(技術統括局 デジタルコンテンツ制作部、過去6年連続受賞)
★起案/制作 佐々木聡史(スポーツ局 プロ野球中継プロデューサー)
1953年8月29日に日本テレビが民放初のプロ野球中継を実施してから70年。当時2台のカメラで始まった中継は、専用カメラ約100台で即時3D映像を生成し特別な視聴体験をお届けするまで進化しました。
近年、映像表現技術の発展は著しく、特にスポーツ中継をより魅力的に表現するための取り組みは世界中で盛んに行われています。日本の選手ばかりでなく、日本のメディアも世界と切磋琢磨しながら、視聴者の皆様により感動をお伝えできるよう更なる発展に向けて引き続き励んでまいりたいと存じます。
※1技術協力:キヤノン株式会社
AIモザイクソフト「BlurOn」(ブラーオン)の開発 ※2
テレビ番組の映像において、個人情報保護・プライバシー保護の観点から通行人の顔などに「モザイク入れ」の編集が必要な場合がありますが、1分の映像へのモザイク入れで1時間以上かかることがあるなど、制作現場の大きな負担となっていました。その課題を解決するために日本テレビとNTTデータが共同開発したAIモザイクソフト「BlurOn」は画像認識AI技術によりモザイク入れ編集を自動化することで、作業時間を最大90%削減することに成功し、番組制作現場の働き方改革に貢献しています。
BlurOnは日本テレビの番組はもちろんポスプロ(映像編集会社)にも導入され活用が進んでいるだけでなく、放送業界以外でも利用が進んでおり、ドライブレコーダーや監視カメラの映像を取り扱う業界などにおいても個人情報を保護した適切な映像活用を推進しています。
※従来の顔・頭部・背景(全身)・ナンバープレートの自動検出に加え、2023年4月に飲料(ペットボトル・瓶・缶・自動販売機)・選挙ポスターにも対応した新バージョンをリリースしました。
今回、主に以下の点が高い評価を受け、受賞に至りました。
① 独自開発のAIによる圧倒的な高精度の実現
被写体の検出に適した独自開発のAIに、トラッキング技術や動き推測技術を組み合わせることで99%超の検出精度を記録し、手作業での修正を最小限に抑えることで、モザイク入れ作業時間を最大90%削減することに成功しました。※日本テレビによるベンチマーク映像での検証結果
② 番組横断開発プロジェクトによる「現場で本当に使える」各種機能の開発
社内外の番組制作・編集スタッフと開発プロジェクトを組織し、半年間にわたりのべ数十回の実際のOAでBlurOnをテスト利用することで改善点をまとめて開発にフィードバックし、使いやすいユーザーインターフェースや多様な事前設定、フェードイン/アウトなどの便利機能を実装することで「現場で本当に使えるアプリケーション」に仕上げました。
●BlurOn 製品WEBサイト https://blur-on.com/
●BlurOnユーザーのコメント
「手作業と比較して段違いに処理速度が速い」
「もうBlurOn無しでのモザイク入れ作業は考えられない」
「編集作業が効率化されて早く仕事が終わるようになり助かっています」
「社会的にも個人情報保護の要望が高まっているので、こういうソフトは絶対に必要だと思います」
●受賞者のコメント
★起案/設計/運用 加藤大樹(社長室 新規事業部)
「自分自身も10年以上番組編集に携わっていてモザイク入れ作業を効率化できないかとずっと悩んでいました。今回AIに強いNTTデータと映像制作に強い日本テレビが協業することでBlurOnを開発することができ導入した番組制作現場の作業が楽になったという話を聞くと、諦めずに取り組んでよかったなと嬉しく思います。最新テクノロジーと映像制作の知見を組み合わせて、今後も広く社会の役に立つプロダクトを開発し続けていきたいです。」
※2 共同開発:株式会社NTTデータ
~過去の映像情報メディア学会 技術振興賞 受賞歴~
※受賞時の年度で記載しております
2022年 | ●進歩開発賞(現場運用部門) 「AIによる業務効率化と番組新表現を実現する社内開発システム『エイディ』」 ●進歩開発賞(現場運用部門) 「WEBブラウザ上で動作する素材アップロードツール『クラポ』の開発」 ※共同開発:日本電気株式会社 技術協力:オクルウェブ合同会社 |
2021年 | ●コンテンツ技術賞 「AIキャッチャーの開発と運用」 ※共同開発:データスタジアム株式会社 |
2020年 | ●コンテンツ技術賞 「画像認識AI技術によるフィールド競技のコンテンツ解析と制作」 ※協力:株式会社東芝、東芝デジタルソリューションズ株式会社 ●進歩開発賞(現場運用部門) 「テレビ番組制作支援用『AI顔認識』システムの開発」 ※共同開発:株式会社東芝、東芝デジタルソリューションズ株式会社 |
2019年 | ●コンテンツ技術賞 「アンドロイドアナウンサー・アオイエリカの開発と運用」 ●進歩開発賞(現場運用部門) 「ヘリコプター空撮支援マップシステム」 ※共同開発:株式会社コスミックエンジニアリング ●進歩開発賞(現場運用部門) 「画像認識AI を用いた番組応用と展開」 ※共同開発:株式会社東芝、東芝デジタルソリューションズ株式会社 |
2018年 | ●進歩開発賞(現場運用部門) 「ロードレース中継における画像認識技術を用いた制作支援~AIを用いたReal-time Indexing~」 ※共同開発:株式会社東芝、東芝デジタルソリューションズ株式会社 ●進歩開発賞(現場運用部門) 「ネットバンドカメラの開発と運用」 ※共同開発:株式会社日テレ・テクニカル・リソーシズ ●コンテンツ技術賞 「テレビドラマの世界観をいつでもどこでも会話で楽しめる『AIカホコ』」 |
2017年 | ●進歩開発賞 「情報漏えい防止型SDメモリカード『インターフェースロック機能Mamolica™ 付きSDメモリカード』の開発」 ※Mamolicaは東芝メモリ株式会社の商標です |
<以降省略>
以上
日本テレビ放送網株式会社 社長室 広報部