日本テレビ放送網株式会社(本社:東京都港区 代表取締役社長執行役員 石澤 顕、以下「日本テレビ」)は、(一社)日本映画テレビ技術協会の顕彰において「新しいビデオペンの開発と多機能化」のテーマが第77回(2023年度)技術開発賞を受賞しましたことをご報告いたします。技術開発賞部門では、昨年に続き3年連続の受賞となります。
この賞は毎年、放送に関連する技術の研究・開発、あるいは放送現場での工夫・考案で効果を上げた技術により、顕著な業績を残した個人またはグループを対象に授与されるものです。
日本テレビでは、今後も積極的な新技術の導入により、皆様へ魅力的なコンテンツをお届けできるよう更なる開発を進めてまいります。
これまでビデオペンというシステムは、主に「フリーハンドによる軌跡描画機能」のみが注目されてきました。しかし、本開発ではその直感的な操作感に着目し、画像認識などの機能を誰でも簡単に扱うことができるシステムへと再開発しました。その操作性の高さから様々なコンテンツへ広がりを見せ、以下の点でコンテンツの新しい表現や番組制作の効率化に大きく貢献しました。
- 映像上の人物をタッチすることで、これまでは後編集で追加していた追従CGをリアルタイム表示できます。これにより、生中継においても一目でどの選手に注目すべきかを視聴者に分かりやすく伝えることが可能となりました。
- PC画面等の文字を囲むだけで文字認識し、選手の得点データをテロップへ即座に反映することができます。これまではプレー中の選手情報をオペレータが読み取りデータ入力していましたが、これにより人力では間に合わずに出せなかったプレー情報も瞬時にテロップへ反映でき、制作現場の省人化を実現しました。(写真1参照)
- 競技場の白線を画像解析することで、プレイエリアの平面をリアルタイムで認識できます。これにより、従来では計測が難しかった、ゴールと選手との距離、角度、速度を簡単に表示できるようになり、コンテンツに付加価値をもたらすことができました。(写真2参照)
- 試合中に表示されているタイマーを囲むことで、試合時間と連動しながら会場の歓声を分析し、試合の盛り上がり度をAIが算出するシステムを開発しました。本企画は日本テレビが中継したラグビーW杯全19試合において、ハーフタイム中のワンコーナーとして試合を盛り上げ、スポーツのハイライトシーンに新たな軸を提供しました。
以上のようにマルチな機能を搭載しながらも、事前準備が簡単でオペレーションが直感的であるなど、その技術と工夫が高い評価を受け受賞に至りました。
●受賞者のコメント
★起案/開発 篠田貴之(技術統括局 デジタルコンテンツ制作部)
★起案/開発 岸 楓馬(技術統括局 デジタルコンテンツ制作部)
★起案/開発 三浦祐樹(技術統括局 デジタルコンテンツ制作部)
本システムはオペレーションや準備が簡単なことから、様々なスポーツ中継で使用されています。その結果、日々制作現場で本技術の活用アイデアが生まれ、現在進行形で進化し続けています。これからも、分かりやすいCG表現や新しい映像体験を通じて、視聴者の皆様に質の高いコンテンツをお届けできるよう、さらなるアプローチを模索してまいります。
~過去の日本映画テレビ技術協会賞 受賞歴~
●第76回(2022年度)技術開発賞
〇AIモザイク編集ソフト「BlurOn」(ブラーオン)の開発
●第76回(2022年度)技術大賞(経済産業大臣賞)
〇「DRAMATIC BASEBALL」
●第75回(2021年度)技術大賞(経済産業大臣賞)
〇AI業務支援システム「エイディ」の社内開発と運用
日本テレビ放送網(株) AI 社内開発チーム
●第73回(2019年度)技術開発賞
〇テレビ番組制作支援用AI 顔認識システムの開発
AI顔認識システム開発チーム
日本テレビ放送網(株)、(株)東芝、東芝デジタルソリューションズ(株)、(株)日テレITプロデュース共同
●第72回(2018年度)技術大賞(経済産業大臣賞)
〇「第95回箱根駅伝」におけるAIを用いた映像表現
画像認識AI応用検討チーム 日本テレビ放送網(株)
●第71回(2017年度)技術開発奨励賞
〇画像認識技術を用いた制作支援
画像認識AI検討チーム
日本テレビ放送網(株)、(株)東芝、東芝デジタルソリューションズ(株) 共同
〇ネットバンドカメラの開発とその運用
高橋 一徳/(株)日テレ・テクニカル・リソーシズ 、保刈 寛之/日本テレビ放送網(株)
<以降省略>
以上
日本テレビ放送網株式会社 総務局広報部