日本テレビ放送網株式会社(本社:東京都港区 代表取締役社長執行役員 石澤 顕、以下「日本テレビ」)は、日本民間放送連盟賞 技術部門の顕彰において「新しいビデオペンの開発と多機能化」のテーマが2024年の優秀賞を受賞しましたことをご報告いたします。技術部門では、昨年に続き4年連続の受賞となります。
 日本民間放送連盟賞の技術部門は、放送技術に関する開発・改良等によって、民放事業に貢献し、その発展に寄与したと認められるものに授与されるものです。
 日本テレビでは、今後も積極的な新技術の導入により、皆様へ迅速な情報提供と魅力的なコンテンツをお届けできるよう更なる開発を進めてまいります。

受賞テーマ:新しいビデオペンの開発と多機能化

 これまでビデオペンというシステムは、主に「フリーハンドによる軌跡描画機能」のみが注目されてきました。しかし、本開発ではその直感的な操作感に着目し、画像認識などの機能を誰でも簡単に扱うことができるシステムへと再開発しました。その操作性の高さから様々なコンテンツへ広がりを見せ、以下の点でコンテンツの新しい表現や番組制作の効率化に大きく貢献しました。

  1. 映像上の人物をタッチすることで、これまでは後編集で追加していた追従CGをリアルタイム表示できます。これにより、生中継においても一目でどの選手に注目すべきかを視聴者に分かりやすく伝えることが可能となりました。
  2. PC画面等の文字を囲むだけで文字認識し、選手の得点データをテロップへ即座に反映することができます。これまではプレー中の選手情報をオペレータが読み取りデータ入力していましたが、これにより人力では間に合わずに出せなかったプレー情報も瞬時にテロップへ反映でき、制作現場の省人化を実現しました。(写真1参照)
  3. 競技場の白線を画像解析することで、プレイエリアの平面をリアルタイムで認識できます。これにより、従来計測が難しかったゴールと選手との距離、角度、速度を簡単に表示できるようになり、コンテンツに付加価値をもたらすことができました。(写真2参照)
  4. 試合中に表示されているタイマーを囲むことで、試合時間と連動しながら会場の歓声を分析し、試合の盛り上がり度をAIが算出するシステムを開発しました。本企画は日本テレビが中継したラグビーW杯全19試合において、ハーフタイム中のワンコーナーとして試合を盛り上げ、スポーツのハイライトシーンに新たな軸を提供しました。

以上のようにマルチな機能を搭載しながらも、事前準備が簡単でオペレーションが直感的であるなど、その技術と工夫が高い評価を受け受賞に至りました。

写真1:スコア情報画面のデータ取得範囲を囲むことで
テロップへ即座に反映
写真2:ボールとゴールをタッチすることで、距離と角度を表示

●受賞者のコメント
★起案/開発 篠田貴之(技術統括局 デジタルコンテンツ制作部)
★起案/開発 岸 楓馬(技術統括局 デジタルコンテンツ制作部)
★起案/開発 三浦祐樹(技術統括局 デジタルコンテンツ制作部)

 本システムにおける強みのひとつは、「新技術を誰でも簡単に扱うことができる」という点です。番組制作者自身が思い描くイメージを自らの手で形にできるインターフェースにより、コンテンツ制作のクオリティがさらに高まることが期待できます。これからも新しい機能を拡充し、放送技術の常識を変える新技術を開発できるよう邁進してまいります。

●主な受賞歴
・2023年度(一社)映像情報メディア学会 第51回技術振興賞コンテンツ技術賞
・2024年度(一社)日本映画テレビ技術協会 第77回技術開発賞

~日本テレビの過去の日本民間放送連盟賞【技術部門】受賞歴~

●2023年  優秀「ボリュメトリックビデオを用いたプロ野球中継
~自由視点映像による新たな映像体験を提供~」
●2023年  優秀「AIモザイク編集ソフト「BlurOn」の開発~働き方改革と適切な個人情報保護の実現~」
●2022年 最優秀「AI業務支援システム『エイディ』の社内開発と運用」
●2022年  優秀「WEBブラウザ上で動作する素材アップロードツール『クラポ』の開発」
●2021年  優秀「クラウドプレイアウトを用いた日テレ系ライブ配信システムの開発」
●2019年  優秀「画像認識AIを用いた番組応用と展開」
●2018年 最優秀「画像認識AI技術を用いた番組制作支援」
●2016年  優秀「スポーツ生中継用超小型審判目線カメラの開発と現場導入」

<以降省略>

以上
日本テレビ放送網株式会社 総務局広報部