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警視庁鑑識班2004

2004年1月期 水曜ドラマ
ストーリー

第1話

2004年1月14日放送

伊豆七島の八丈島で観光客と思しき男の他殺死体が見つかった。東京から、刑事達と一緒に島に飛んだ警視庁鑑識課第一現場鑑識班の面々は、さっそく現場を調査。だが、死体の脇に落ちていた眼鏡のレンズと思しきガラス片の他には、犯人に結びつく手掛かりを見つけることが出来ない。

ところが、被害者の指紋を調べた結果、思わぬ事実が明らかになった。15年前、横浜市内で銀行の現金輸送車を狙った襲撃事件があった。犯人一味は、警備員2名と刑事1名を射殺し、現金1億4000万円を強奪。主犯格・関根三郎(草薙良一)はすぐに捕まったが、残りの松川玲次(前原実)と日野幸彦(杉本哲太)の2人は、金を持ったまま逃走した。今回、八丈島で殺された男は、その逃走した松川だったのだ。

現場鑑識班係長・岩崎鉄男(角野卓造)の下で動く32歳の中山淳彦(西村和彦)は、この報告を聞いて奮い立った。実は、15年前、現場に駆けつけて殉職した刑事は、中山の父親・中山啓一(阪口進也)だったからだ。当時、中山の父親は、手柄を独り占めしようと単独行動をし、そのために殺されたとの噂があった。中山は、父を尊敬していたが、そのことだけがずっと胸の奥に引っ掛かっていたのだ。現金輸送車襲撃事件の時効成立まであと1ヶ月ほど。中山は、何としても残る犯人を捕まえて、真相を究明したかった。

捜査陣は、今回の事件を、金の分け前を巡る仲間割れと見た。関根が一昨日、刑務所を出所したことから考えると、容疑者は残る日野だけ。八丈島には、その日野の女だった星合由美子(南果歩)が日野の子供を産んで実家で暮らしていたのだ。鑑識班は、事件前の八丈島行きの航空券と乗船券を全て回収して指紋をチェック。その結果、日野が、八丈島に渡っていたことが明らかになった。

島では、警視庁刑事の菊地慎一(三浦浩一)と金井貴子(森口瑤子)が由美子から事情を聞いていた。だが、由美子は、日野が来ていないと言い張るばかり。ところが、その由美子が東京に買い物に来て程なく、今度は3人組の1人・関根が殺された。由美子をマークしていた菊地は、島からひそかに脱出した日野が、松川に次いで関根も殺したと断定する。

ところが、偶然防犯カメラに写っていた犯人の足元の映像から、関根を殺したのが日野以外の可能性が浮上した。捜査陣は、現金輸送車襲撃事件に第4の男が絡んでいると察知し、それが銀行内部から手引きした人物ではないかとにらんだ。中山ら鑑識班は、当時の銀行関係者の指紋と、八丈島行きの回収チケットの照合作業に着手。菊地ら刑事たちは、八丈島の現場で発見された眼鏡の購入者の発見に全力をあげた。

そんな中、中山は、岩崎と鑑識班管理官・大宮(清水章吾)の温情で仕事を離れ、まだ日野が潜んでいるとみられる八丈島に飛んだ。由美子に会った中山は、自分の父親のことを明かした上で、日野が隠れている場所を明かすよう迫るが。

 

第2話

2004年1月21日放送

都内のマンションで転落死と思われる若い男の変死体が見つかった。死亡していたのは、現場のマンションの8階に、父・近藤輝久、母・一二美と暮らす高校一年の一輝。事件の当日、近藤は勤務先に泊り込み、一二美も実家に戻っていたため、自宅には一輝が1人でいたらしい。近所の住人の話によると、一輝は、最近学校を休みがちだったが、ちゃんと挨拶が出来る普通の子。ただ、3日程前、近藤と一輝は大声で何かを話していた。

現場周辺で直ちに作業を開始した中山(西村和彦)ら鑑識班の面々は、転落したと思われる近藤家のベランダに争ったような跡を確認。さらに部屋の中で、先に何かが付着しているバット、紙の燃えカスを発見した。だが、外部から何者かが侵入した形跡は見つからず、死体の転落位置から判断すると、自殺の可能性が高い。

まもなく、科捜研での分析で、バットに付着していた物質が板ガラスの破片と判明。紙の燃えカスには、『父』という文字が書いてあったことが分かった。一二美の顔に殴られた痕があるのに気付いた貴子(森口瑤子)らは、近藤家で家庭内暴力があったと察知し、さっそく一二美に問い質す。その結果、一二美が家を出る前の夜、バットを持って暴れた一輝を輝久が制止し、ベランダで揉み合いになっていたことが明らかになった。捜査本部では、一輝の暴力に耐えかねた輝久が思い余ってベランダから突き落とした、との説が有力になった。

菊地(三浦浩一)の追及に、輝久は、一輝を殺して自殺しようと決意し、一二美を実家に帰してチャンスを待っていたと話した。会社に泊まった夜、一輝から「これから会いに行く」という連絡を受けた輝久は、その時がやって来たと思ったが、結局、殺すことは出来なかったという。

そんな中、中山は、一樹の机の上にあったオモチャ“チョロQ”から、ふと現場で見かけた1人の子供を思い浮かべた。その子は、以前、八丈島の事件の際、顔見知りになった星合由美子(南果歩)の5歳になる息子・悟(小倉史也)。中山は、現場の近くに引っ越して来たらしいその悟が、一輝のチョロQと全く同じものを持っていたことを思い出したのだ。

さっそく、由美子を訪ねた中山は、事件解決の思わぬ糸口を見つけて―。

 

第3話

2004年1月28日放送

郡内のマンションで21歳の独身の銀行OL・大原亜紀(早川亜希)の他殺死体が見つかった。直ちに鑑識活動を開始した中山、博美(雛形あきこ)らは、現場で小さなガラス片を発見。さらに、現場に通じる外装の排水パイプ、ベランダなどから多数の指紋を採取した。
菊地(三浦浩一)や貴子(森口瑤子)ら捜査一課の刑事たちは、この指紋を元に前科のある坂巻洋を任意同行し取り調べを開始。亜紀とは高校時代から面識がある坂巻が、取り調べで黙秘していたこともあり、“クロ”との見方が強まった。

そんな中、オートロックのプッシュボタンとドアノブの指紋から、坂巻以外の人間が現場に入った可能性が浮上。中山らは、現場にあったガラス片がその謎を解くカギになると気付いた。コップの破片と確認された1センチ四方にも満たないこのガラス片に僅かながら指紋の一部が残っていたのだ。この指紋がプッシュボタンのものと同一なら、別の容疑者がいることになる。

ただ、ガラス片の指紋を誰のものか特定するには、コップを復元する必要があるのだが、肝心の残りの破片が発見されていない。中山らの報告を受けた大宮管理官(清水章吾)は、捜査一課が坂巻の裏付け捜査を始めていると知りつつも、現場周辺での捜査を指示。
まもなく、マンション近くにあるコンビニのゴミ捨て場で、小さな袋に入ったガラス片の残りの部分が発見した。博美はさっそくコップの復元作業を開始。中山はそのガラス片に付着していた微細な繊維を科捜研に持ち込んだ。

その結果、ガラス片の指紋がプッシュボタンのものと同じと判明。さらに、科捜研からの報告で、例の繊維がイタリア製の高級スーツに使用されていることが分かった。鑑識班からの報告で、坂巻の取り調べをやり直した捜査一課は、亜紀が黒部輝夫(四方堂亘)という同じ銀行の上司と不倫関係にあったことを掴んで―。

 

第4話

2004年2月4日放送

多摩の造成地で死後数年以内とみられる人骨が見つかった。重機を使った影響で人骨が散乱していたため、中山ら鑑識班の面々は現場の土砂を全て採取。その中から、頭蓋骨を含めた人骨の他、わずかに睡眠薬が付着した小ビンと指輪を発見した。検死の結果、人骨は25歳から30歳、身長175センチ前後の男性で、死後3年。また、頭蓋骨陥没など凶器による人為的な損傷はなし。残っている歯に治療痕がなかったため遺体の身元の特定は難しい状況だった。

そんな中、指輪に『Y to M』という刻印があると知った中山は、3年前に発生して未解決になっているある殺人事件を思い出した。これは、佐久間稔という男が婚約者のOL・橋本良美を殺害して行方不明になっている事件。
中山は、たまたま佐久間の妹・英里子(乙葉)が自分の妹・沙織(中山エミリ)の高校の後輩だったため、事件を記憶していたのだ。当時、捜査陣は、事件発生前に佐久間と良美の言い争いが目撃されていたことから、佐久間を真犯人として全国に指名手配していた。

頭蓋骨と顔写真を重ね合わせて人物を特定するスーパーインポーズ法によると、白骨死体は佐久間の可能性が極めて高い。捜査陣は、佐久間が良美を殺した後、良心の呵責に耐え切れず自殺した、との意見に傾いた。

だが、英里子が、佐久間と良美の2つの結婚指輪を持っていたことから、事件は新たな展開を迎えた。この2つの指輪と現場で発見された指輪はどんな意味があるのか。
DNA鑑定で白骨死体が佐久間と断定される中、中山の報告を聞いた貴子(森口瑤子)は、女の勘で他殺事件として捜査を開始。中山も現場で採取した土砂を再び調べ直して他殺の物証となる折れた佐久間の舌骨を発見した。

捜査が他殺として正式に再スタートして程なく、現場で発見された指輪を良美以外の女が買っていたことが判明。ジュエリーショップの注文伝票に付着していた指紋から、その人物が良美の会社の同僚だった大原康子(鈴木美恵子)という女だと分かって―。

 

第5話

2004年2月11日放送

渋谷にある新規オープンを控えた美容室の店内で他殺死体が見つかった。殺されたのはオーナー美容師の森弘樹(山中聡)で、死因は外傷性の脳挫傷。さっそく臨場した中山ら鑑識班の面々は、凶器と思しきガラスの置物、グラスの破片、カットした毛髪などを収集した。
情報によると、森は『オアシス』という美容室で働き女性客に人気があったが、間宮瞳(水木ゆうな)という店のお客との婚約を機に円満に独立したとのこと。今回新規オープンする店は、瞳の父親が森のために購入したものであった。

まもなく、グラスの破片から森ともう一人の指紋を検出、そこにリンゴの蒸留酒・カルバドスと毒物のコルヒチンが付着していたことが分かった。このコルヒチンは、イヌサフランに含まれている毒物で、素人でも簡単な器具で作ることが出来る。だが、殺された森の体内からはコルヒチンは検出されなかった。

そんな中、貴子は、自分の部屋で意識不明になっている『オアシス』のチーフ美容師の樫山陽子を発見した。陽子は、コルヒチン入りのカルバドスを飲んで中毒症状を起こしたのだが、命に別状無し。捜査陣は、グラスの破片の残留指紋が陽子のものと一致したことから、陽子が森を毒殺しようとしたが失敗し、ガラスの置物で殺害した、との意見に傾いた。

陽子の部屋を家宅捜査し、聞き込みを進めた結果、陽子と7歳年下の森との意外な関係が明らかになった。両親のいない2人は、子供の頃、同じ養護施設で育ち姉弟のように仲が良かった。卒園後、陽子は美容師になり、森もやがて陽子の後を追うように美容師に。2人は、いつか一緒に店をやろうと誓い合ったらしい。

貴子の取り調べに対し、陽子は、同志でもあり恋人でもあった森の婚約を知り、コルヒチンで無理心中をしようとした、と告白。だが、オープン前の店を訪ねた陽子は、結局果たせず、感謝の念でいっぱいの“弟”の森に髪をカットしてもらい、そのまま別れたのだという。そして、翌日、森が殺されたと知った陽子は、生きる気力を失い発作的に自殺しようとした、と話した。

それでは、陽子の話が正しいとすると一体誰が犯人なのか。現場に残っていた陽子の髪の毛を検証した中山らは、その量がごく少量だったということに注目して―。

 

第6話

2004年2月18日放送

都内の鉄道の高架下で、安岡達也(坂本浩之)というチンピラが胸を撃たれ意識不明の重体になった。現場検証を行った中山(西村和彦)ら鑑識班の面々は、落ちていた薬莢を回収し、弾丸を分析する一方で、現場の壁に付着していた拳銃の火薬残渣反応を確認。火薬残渣の高さから、身長170センチ前後の犯人が安岡に向けて、オートマチックの改造銃を発射したことを突き止めた。

まもなく、薬莢から検出された指紋から、模造改造銃不法所持の前歴がある清丸純一(永堀剛敏)が浮上。菊地(三浦浩一)、貴子(森口瑤子)ら捜査陣は、懲りずに自宅で改造銃を作り続けていた清丸を逮捕した。取り調べに対し、清丸はインターネットで知り合った“後ろの正面”という人物に問題の改造銃を売ったと供述。その受け渡しが、都内の公園の公衆トイレで行われたことを明かした。

だが、その後のメールでのやり取りから、改造銃は“後ろの正面”以外の人物に渡ったらしい。さっそくそのトイレを調べた鑑識班は、3種類の指紋を検出、そのうちの1つが清丸のものと分かった。

“後ろの正面”の正体を突き止めたい菊地らは、ハイテク犯罪捜査班とプロバイダーの協力で、マンガ喫茶からからアクセスしていた本城綾子(川俣しのぶ)という女を“後ろの正面”と特定して確保。事情聴取の結果、予想通り、綾子が改造銃を受け取りそこなっていたことが判明した。綾子の話によると、トイレに入ろうとする直前、その前でサラリーマン風の男とホームレスの喧嘩があったらしく、拳銃はその後で何者かに持ち去られたらしい。不明の2つの指紋のうち1つは綾子のもの。どうやら残る1つの指紋が直接事件に結びついている可能性が大きくなった。

そんな中、岩崎(角野卓造)の話がきっかけで、安岡が半年前に起こしたストーカー事件に興味が集まった。これは、関川紗枝(宮内佳奈子)という安岡に付け狙われた事件。紗枝の家族が、父親・関川靖(間寛平)、母親・昭代(内田春菊)の3人だと知った鑑識班は、さっそく3人の指紋の採取を始めて―。

 

第7話

2004年2月25日放送

郊外の公園で、腹部にナイフが刺さったままの若い男が見つかった。被害者は直ちに近くの病院に搬送されたが意識不明の重体。現場を調べた中山(西村和彦)ら鑑識班の面々は、犯人のものと思しきパンプスの足跡を発見した。

搬送先の病院副院長・楠田十和子(東ちづる)の話によると、手術は成功したものの被害者はかなり危険な状態。病院側から所持品、凶器のナイフなどを回収した鑑識班は、被害者を23歳の田中耕太(小野田尊允)と確認したものの、凶器から犯人の指紋などを検出できなかった。

田中はアルバイトをしながらミュージシャンを目指している男。さっそく田中の部屋を家宅捜査した鑑識班は、写真と詩の書かれた紙片から田中本人以外の指紋を検出。詩に添えられていた名前から、“チエコ”という女が田中に写真と詩を贈ったらしいことが分かった。

貴子ら刑事たちは、まもなく、多数あった同じコンビニのレシートを手掛かりに、写真に写っていたアパートを特定。そこの管理人の話から、“タカムラチエコ”という30代半ばの女が部屋を借り、“チエコ”が田中と付き合っていたらしいことが分かった。“タカムラチエコ”というのは偽名らしく、その部屋はまるで生活感がない。いくつもの詩が書き溜められたノートからは、田中の部屋で検出された“チエコ”の指紋しか検出されなかった。

まもなく、田中の診断書を取るため病院を訪れた中山は、思わぬ場面に遭遇した。田中の容態が急変し、集中治療室は大騒ぎになったのだ。そんな中、中山は、十和子が必死で心臓マッサージをしながら、「お願い、耕太、戻って!」と叫び、心電図に反応がなくなった後、その目から涙が流れるのを目撃した。

十和子と田中のただならぬ関係に気付いた中山は、十和子の書いた診断書の文字と、“チエコ”の詩の筆跡鑑定を大宮管理官(清水章吾)に提案して―。

 

第8話

2004年3月3日放送

都内の住宅で黒川弥一(仙波和之)という区議会議員の他殺死体が見つかった。死因は、鈍器で頭部を殴打された後、首を鋭利な刃物で切られたことによる失血死。庭には現場の2階の窓に立て掛けられた梯子があった。現場に到着した中山(西村和彦)ら鑑識班は、遺体のそばにあったブロンズ像を凶器の1つと断定し、家具のすき間から、犯人が返り血を防ぐために使用したとみられるビニールのレインコートと手袋を発見した。

検査の結果、レインコートなどに付着していた血液は被害者のもの。その袖が折られていたことを元に中山らが算定した犯人の身長は155~160センチ。また、庭で採取した靴の跡が23センチだったことから、犯人は小柄な男性か、女性とみられた。だが、レインコートなどから指紋は検出されなかった。

死体の第一発見者は、被害者と二人暮らしの妻・啓子、40歳。啓子は、20歳年上の被害者と2年前に選挙活動を通して知り合い、1ヶ月前に結婚していた。事情聴取に対し、啓子は事件発生当時、外出中で、その後、近くのコンビニで買い物をしてから帰宅した、と話した。

まもなく、土へのめり込み具合から、梯子が犯行に使われていなかったことが明らかになった。梯子が警察の目をそらすための偽装工作とすると内部の犯行、つまり、啓子が犯人との可能性が浮上する。やがて、貴子らの取り調べで、啓子はあっさり犯行を自供した。
ところが、啓子は、もう1つの凶器を川に捨てたことは自供したものの、肝心の動機を明かさない。川ざらいをした中山らは、川からカッターナイフを見つけるが、そのナイフに血液反応はなかった。

貴子、小倉(伊東貴明)らは起訴を決意するが、今あるのは状況証拠と自供だけ。もし、公判で啓子が犯行を否認すれば無罪確定の可能性が出てくる。鑑識班は、大宮(清水章吾)の号令の元、更なる物証の発見に全力を上げた。
そんな中、啓子が事件当日はいていた靴を科捜研の沢村(本田博太郎)の協力で分析した結果、泥に焚き火と線香が混入していることが判明。泥の成分から、啓子が両親の墓がある寺を訪ねていたことが明らかになった。

中山の報告を元に捜査を進めた貴子らは、啓子の両親が30年程前、手形詐欺に引っかかって自殺していたことを突き止めて―。

 

第9話

2004年3月10日放送

都内の河川で小笠原喜恵(岡崎羽衣)というキャバクラ嬢の溺死体が見つかった。近くの橋の欄干で喜恵の毛髪と衣服の繊維を発見した中山ら鑑識班の面々は、その状況から自殺ではないと察知。司法解剖の結果、喜恵の肺の中の水に現場の川にはない微生物があったことで、喜恵が別の場所で水死し、死体が遺棄されたことが明らかになった。

菊地、貴子ら刑事は、喜恵が最後に携帯で電話した高校時代の同級生・久保奈々子(小沢真珠)から事情を聴くが、奈々子にはアリバイがあり、事件に繋がる手掛かりを掴めない。

そんな折、富山妙子(丘みつ子)という女が警察に出頭し、犯行を自供した。取り調べに対し、妙子は、3年前に多摩川で溺死した娘・朝代(浅井江理名)の事件を再捜査しなければ、今回の喜恵殺しの詳細を話さない、と黙秘を始めた。この朝代の事件に関して、所轄の警察は受験を苦にしての入水自殺として処理していたのだ。

まもなく、喜恵の肺の中の水が、江東区内にある池のものと特定された。岸から池の中に手が届く場所を調べた中山らは、足跡の採取こそ出来なかったが、池の中で手作りの彫金ペンダントを発見。これを調べたところ、喜恵の指紋と他にもう1つの指紋を検出。妙子の部屋から彫金の道具と問題のペンダントのデザイン画が見つかったことから、妙子が喜恵殺しに関係していることが明らかになった。

中山らは、すぐさま妙子の車を調べるが、喜恵の死体を乗せた形跡は皆無。そして、車に搭載されていたETCを解析した結果、妙子が高速道路の料金所を通過していた時間などから、そのアリバイが証明された。貴子の追及に対し、朝代が殺されたと信じて疑わない妙子は、風化しそうになっている娘の事件に世間の目を向けるためにやった、と供述。ペンダントに関してはなくしたと話した。

そんな中、2ヶ月前に別れた妙子の元の夫・寺崎竜雄(新克利)が、数日前から行方をくらましていることが判明。その指紋が、例のペンダントに喜恵の指紋と共に検出されたものと分かった。奈々子が行方不明になっているとの連絡を受けた菊地は、喜恵を殺した寺崎が奈々子を拉致したとにらんで。

 

第10話

2004年3月17日放送

八丈島への帰郷を控えた由美子(南果歩)の子・悟(石神勇智)が何者かに誘拐され、身代金1000万円を要求された。相談を受けた中山(西村和彦)は、すぐに捜査一課に連絡する一方、鑑識班の仲間と変装をし、現場の公衆トイレ一帯を捜査した。

警察犬を使った捜査の結果、悟は車で連れ去られた模様で、近くのゴミ箱から悟のものの他、複数の指紋が付着したボール紙のケースを発見した。犯人が使用している携帯は盗まれたもので、持ち主から捜査を進めることは不可能。捜査陣は、身代金の受け渡しの時が犯人逮捕の絶好のチャンスと見て、その時を待った。

ところが、その場所で由美子と一緒にいる中山が犯人に目撃されてしまった。犯人からの携帯での呼びかけに、思わず「悟の父親です」と答える由美子。これを聞いた犯人は、「悟の父親は死んでいる」と告げ、交渉を打ち切る。捜査陣は、地団駄を踏むが、このことで犯人の顔が見えてきた。犯人が悟の家族関係を知っていると気付いた菊地(三浦浩一)は、15年前の現金輸送車襲撃事件に関係していると察知し、誘拐が怨恨絡みだとみたのだ。

その頃、現場にあったボール紙のケースから小さな出版社にたどり着いた貴子(森口瑤子)は、そこで出している雑誌で、以前“現金輸送車襲撃事件のその後”を取り上げていたことを知った。例のケースは、その取材の際に使われた謝礼の品が入っていた物だったのだ。連絡を受けた鑑識班は、さっそく現場にあった箱から検出された指紋と、記者ら関係者の指紋を照合。その結果、1つだけ不明の指紋があることが分かった。

菊地らが集中的に調べたのは、15年前の事件で殺された3人の被害者の遺族だった。やがて、当時警備員だった被害者の息子で、5年前に母親を亡くし天涯孤独になった渡会誠が容疑者として浮上。問題のケースに付着していた残る1つの指紋が一致したことから、渡会が犯人の可能性が極めて高くなった。

まもなく、犯人から再び由美子に連絡があった。捜査陣は万全の体制で犯人逮捕に向けて取り組むが、なんと由美子が悟を取り戻したいあまり、姿をくらましてしまった。中山らは、残された遺留物などから、全力で由美子の行方を追って―。

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