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仔犬のワルツ

2004年4月期 土曜ドラマ
ストーリー

第1話

湖畔のホテルでマッサージ師として働く盲目の少女・桜木葉音(安倍なつみ)。養護施設『愛児園』で育ち、辛く悲しい不幸な人生を歩んできた葉音は、自分を守るため“誰も信じない”と思うようになっていた。

イジメ、差別、孤独に一人で耐えてきた葉音にとって、人を信じることは“いつか裏切られる”ということを意味していたからだ。そんな葉音の安らぎは、密かに“ワルツ”と名付けたペットショップの仔犬と話をすること。いつかワルツを買うために、葉音はチップでもらった小銭をコツコツ貯めていた。

そして、もう一つの安らぎ、それは卒園した愛児園に夜中に忍び込んで、ピアノを弾くことだった。楽譜が読めない葉音には、一度聴いただけで正確な音色を奏でることが出来る才能があった。が、しかし葉音は、神から授かったこの才能〈パーフェクトピッチ〉に自分自身で気付いていなかった――。

都内でも一流の東都音楽大学に君臨する学長・水無月奏太郎(竜雷太)の邸宅では、奏太郎が5人の子供たちを集め、思わぬ課題を出していた。
「新しい才能を発掘しろ!」――奏太郎は、最もピアノの才能ある人物を捜し出した子供を自分の後継者にする、と宣言したのだ。

奏太郎の話が、相続に関することだと気付いた子供たちは、それぞれの思惑を胸に顔を見合わせた。

奏太郎の子供は、東都音楽大学の事務局長をしている長男の器一(風間トオル)、東都音楽大学警備担当の三男・譜三彦(岡本健一)、東都音楽大学楽器器材管理の責任者をしている長女・律子(杉浦幸)、東都音楽大学の経理を一手に握る四男・唱吾(塚地武雅)、そして、ピアノのコンクールでグランプリを取った経歴がある養子の芯也(西島秀俊)の5人。

実は、この兄弟には鍵二という、最もピアノの才能があった天才ピアニストの次男がいたのだが18年前に事故で死亡。芯也はその代わりとして養護施設『愛児園』から引き取られた経緯があった。

器一が海外のピアノコンクールで金賞を受賞した鴻池聖香(松下奈緒)を、譜三彦がピアノの天才のヤンキー少女・宝生光(加藤夏希)を、律子が、「俺は世界一」と豪語するバンドのキーボード奏者・ノッティー(市原隼人)を、そして、唱吾が万引癖のある音大中退者・森歌乃(近野成美)を選ぶ中、芯也は、夜『愛児園』に忍び込んでピアノを弾く謎の人物に興味を抱いた。

施設の子供たちから“おばけ”と呼ばれるその謎のピアニストは、芯也が作曲した曲をたった一度聴いただけで完璧に弾きこなすパーフェクトピッチの天才。聴く者の心を打つこのピアノの奏者が、ガラスのハートの飾りがついた赤い靴を残して消えたと知った芯也は、懸命にその人物の捜索を進めた。

それは相続争いのためではなく、音楽家としての興味からだった。
やがて、芯也は、『愛児園』の園長・倉田房雄(小林桂樹)の話などから、謎のピアニストが、桜木葉音という盲目の少女だと知った。

しかし、芯也がようやく捜し当てた葉音は、ホテルで手ひどいイジメを受けた挙げ句、思いもしない場所に入れられていて――。

 

第2話

芯也(西島秀俊)にその天才的なピアノの才能を見出され、東京での生活を始めた葉音(安倍なつみ)。

水無月家の兄弟達が各々のパートナーと連れ立って東都音楽大学に集まっている所に偶然現れた葉音は、自身の意思に関わらず、選抜試験という名の遺産相続争いの渦に巻き込まれていく…。

最初の試験が行われようとしたその時、自分の息子を溺愛している東都音楽大学教授・志賀華子(小柳ルミ子)が、特別クラスの開設に異を唱える生徒を引き連れ、会場に現れた。華子の助言もあり、水無月家の兄弟達が連れてきた生徒のみにチャンスを与えるのは不公平だということで、東都音楽大学の現役音大生100人を巻き込んで、第1回目のテストが行われることになった。その中にはもちろん、華子の息子・志賀知樹(忍成修吾)もいた。

最初の課題は、ピアニストには欠かす事の出来ない『音感』。ホールの舞台に整然と並べられた10台のピアノ。その中からたった1台、わずかに音がずれているピアノを探し出すものであった。一斉にピアノに群がり鍵盤をたたく生徒達を尻目に、難なく課題をクリアしていく水無月家の兄弟達が連れてきたライバル達。ずば抜けた才能の持主は葉音だけではなかった。このテストによって約半数の生徒が脱落した。

次に用意された課題は『耳の良さ』を選抜するテストだった。常人にはほとんど聞き取れないくらいの3種類の音が入ったMDを渡され、それぞれ何の音かを正確に答えなければならない。タイムリミットは翌日の正午。

遂に開始された選抜試験。この試験に最後まで合格すれば、ピアニストとしての将来を約束されたことになる。50人中、果たして何人が生き残るのか?そして正解者に課せられた、更に難解な課題とは?またこの選抜試験の背後では水無月家の莫大な財産を巡り、実の兄弟が謀略を巡らせる…。

奏太郎(竜雷太)の秘書・舞子(三浦理恵子)と密会する器一(風間トオル)。その現場を覗き見る唱五(塚地武雅)は、証拠写真を元に律子(杉浦幸)と手を組もうとする。二人の様子を警備室のモニターで見ている譜三彦(岡本健一)。そして、今は亡き鍵ニに少しでも近付くことしか興味のない芯也。それぞれの想いが交錯し、新たな事件の幕が開こうとしていた。

さらに、各話に必ず挿入されるクラシック音楽。今回はドビュッシーをモチーフに芯也と葉音がお互いの理解を深めていく。葉音の笑顔に隠された意味を知り、芯也はその思いがけない一面に気付かされるのだった。

一連の第1回目の試験が終わった夜、調律師でもあり、『音感』テストの協力者でもある松野(奥村公延)が東都音楽大学の特別室で多額の現金を受け取ろうとしていた。厳正であるはずの試験で不正が行われたのか?

依頼主も分からぬまま、校門を出た松野に車のヘッドライトが迫る!

 

第3話

奏太郎(竜雷太)が発表した次の選抜試験は、16人のピアニストたちの指の力と耐久度を見る内容だった。彼らに与えられた課題曲は、シューマンが作曲した2分半程の『狩りの歌』――全体がフォルテで、この練習を激しく繰り返したシューマンが、自殺に追い込まれたとも言われるイワク付きの作品だ。そして、この試験にはある仕掛けがあった。

そんな中、特Aクラスの選抜試験が、学長の地位や財産を相続するための“レース”だということが葉音ら全員に伝わってしまった。これを知らなかったノッティー(市原隼人)、光(加藤夏希)、歌乃(近野成美)の3人は、口々に不満を漏らす。
葉音もこのことを知らなかったが、芯也(西島秀俊)の「ピアノを弾いてくれないか。それが僕の望みだ。」という言葉を純粋に信じて、チャレンジを決意。戦線離脱をほのめかした歌乃も、唱吾(塚地武雅)の説得で、結局残ることになった。

試験当日、会場のホールに並べられた16台のピアノの上には、奇妙なものがぶら下がっていた。それは、奏太郎が人形師・中村フミヨ(菅井きん)に作らせた、ピアニスト達の10本の指をそれぞれ固定するためのゴム。マリオネットのような状態になる16人は、このゴムの上への反発に逆らいながら、メトロノームに合わせ『狩りの歌』を5時間エンドレスで引き続けなければならないのだ。途中で弾けなくなったり、スピードに付いていけなくなったら、即失格。奏太郎は、この仕掛けがかつてシューマンが考案した器具を応用したものだという。だが、超絶技法を習得しようとしたシューマンは、この器具のせいで指を傷め、ピアニストとしては再起不能になっていたのだ。

轢き逃げされて入院中の調律師・松野(奥村公延)が死亡したとの情報が奏太郎に伝わる中、いよいよレースが始まった。

ホールに響き渡る大音響。葉音、聖香(松下奈緒)ら5人と、学生の中から勝ち上がった華子(小柳ルミ子)の息子・知樹(忍成修吾)の指は、軽やかに鍵盤の上を走る。だが、残る10人の学生たちは必死の形相。やがて、両手が宙吊りになる文字通り“お手上げ”の状態の学生が続出した。
そして、5時間が経過して――。

 

第4話

葉音の芯也(西島秀俊)への淡い思いに気付いた舞子(三浦理恵子)が、相続争いを絡めて芯也に揺さぶりを掛けた。苛立つ芯也は、葉音に、恋愛感情や一般的な興味など全てを捨て去ってピアノに打ち込むよう命じる。もちろん葉音は、自分の胸の内を分かってもらえなかった悔しさもあって、「あなたなんか好きじゃない。ピアノを弾くのは自分のため、お金をたくさんもらうため」と反発した。

まもなく、東都音楽大学で第3回のテストが行われることになった。会場のホールには、空間コーディネーターの池田要(川崎麻世)が設計した12個の小さな鉄製の箱が並んでいる。この箱の中に一定時間入っていられたら合格なのだ。奏太郎は、このテストでピアニストに必要な強靭な精神力と集中力を試すのだという。

携帯や時計を取り上げられてそれぞれ箱の中に入った葉音ら12人の生徒たちは、その狭さに茫然。照明がないため中は真っ暗で、中にいる時間を知らせられていないため、恐怖心も募る。もちろん、箱の内部にあるボタンを押せば脱出は可能。だが、その時点で、生徒は失格になってしまうのだ。

やがて、12人が入った箱が閉じられてテストがスタート。ところが、学生たちは、この箱に仕掛けられたもう一つの仕掛けに気付き愕然となった。箱の中に、なんとリスト作曲の『ラ・カンパネラ(釣鐘)』が大音量でシャワーのように降り注いだのだ。暗闇の中での強烈な音の攻撃に、12人の学生たちは一斉に耳をふさぐ。この様子を赤外線カメラを通して12面のマルチ画面で見る奏太郎ら。

葉音ら5人の中で、幼い頃、車を使っての母親の入水心中の道連れになったことがあるノッティーは、狭く暗い恐怖の記憶が甦り、絶叫。そんな様子を見て脳に後遺症が残ると考えた芯也は、慌ててAVルームに駆けつけ、池田にボリュームを下げさせた。

そんな中、人形師絞殺事件を担当した小暮刑事(谷啓)は、死体のかたわらにあった練習器具から、事件にピアノが絡んでいると突き止め、さらに現場にあったイアリングから、知樹(忍成修吾)にたどり着いていた。大学にやってきた小暮は、知樹がそのイアリングをプレゼントした母親の華子(小柳ルミ子)の取り調べを始めて――。

果たして、このテストで残るのはいったい何人の学生なのか?
そして、取り調べを受けた華子は?!

 

第5話

真っ暗な箱に閉じ込め、集中力を試すテストを演出した池田(川﨑麻世)が殺害された。池田の殺害に使用された凶器が、芯也(西島秀俊)が交響楽団員からプレゼントされた指揮棒だったことから、警察は芯也を任意同行し取り調べを開始した。この噂はたちまち大学内に広まり、器一(風間トオル)、律子(杉浦幸)ら兄妹、そして、10人の生徒たちにも動揺が走る。

小暮(谷啓)らの尋問に対し、芯也は指揮棒は構内で紛失したと、もちろん犯行を否認した。接見に来た舞子(三浦理恵子)の話によると、警察は、東都音楽大学の相続争いに関連付けて、調律師轢き逃げ死亡事件、人形師殺しも同一犯の仕業と見ている。18年前の鍵二の事故死もその犯人による殺人と考える舞子は、芯也の無実を信じているらしい。

学内は騒然とし、誰もがテストの続行は不可能と考えたが、奏太郎は意にも介さず次のテストの内容を発表した。今回のテストは、今までの振るい落としとは異なり、トランプを使って一対一の対戦相手を決め、敗れた生徒が特Aクラスから追放されるというサバイバルバトルだった。

だが、テストの当日、会場に連れて行かれた生徒たちは、余りにも場違いな雰囲気に茫然と立ちつくした。2台のピアノが対面するように置かれた場所は、なんと女子刑務所の雑居房前のスペース。生徒たちは、ここで同時にモーツァルトの『トルコ行進曲』を弾いてそれぞれパフォーマンスを競うのだ。

だが、テストの当日、会場に連れて行かれた生徒たちは、余りにも場違いな雰囲気に茫然と立ちつくした。2台のピアノが対面するように置かれた場所は、なんと女子刑務所の雑居房前のスペース。生徒たちは、ここで同時にモーツァルトの『トルコ行進曲』を弾いてそれぞれパフォーマンスを競うのだ。審査員は、雑居房に入っている受刑者たち。ピアニストはいつも音楽に造詣の深い者の前で弾けるとは限らない。そのため優れた音楽家はパフォーマーでありカリスマを持つ必要がある、と考える奏太郎からの今回の課題は、『音楽などわからない人間をも魅了するピアノを弾く』ことだった。

まもなく始まった対戦では、気合十分のヤンキー・光(加藤夏希)、男ぶりには自信のあるノッティー(市原隼人)、万引きの過去をアピールした歌乃(近野成美)がそれぞれ勝ち残り、いよいよ葉音と聖香の対決になった。

白い杖を持った盲目の少女・葉音がピアノに向かったことで、受刑者たちの視線は一斉に葉音に向かう。弾く前に勝負がついた、と思われたこの対戦。ところが、葉音への圧倒的な同情を感じ取った聖香は、思わぬ行動に出て――。

 

第6話

人形師の館で目撃した髪の長い女、舞子(三浦理恵子)こそ犯人だ、との華子(小柳ルミ子)の告白に、衝撃を受ける奏太郎(竜雷太)。華子に小切手を切った奏太郎は、最終試験が終了するまで口外しないよう命じる。一方、葉音(安倍なつみ)の証言により無事警察から釈放された芯也(西島秀俊)。しかし葉音の証言は偽りであった。その事を舞子に指摘され、戸惑いを隠せない。連続殺人の真犯人の手掛りは全く掴めず、捜査は難航していた。

さらに、水無月家の母親である千世(赤座美代子)の妹・由貴(黒田福美)とその娘・幸子が東都音楽大学を訪れ相続レースへの参加を表明し一同は驚く。幸子の実力もさることながら、何より衝撃的だったのはその風貌であった。なんと顔を全て覆い隠す、白い覆面を着けていたのだ。由貴曰く、幸子は他人の悪意や皮肉を覗くことができてしまう。それゆえ傷つきやすい自分を守るために、覆面をかぶって別人になって心を隠しているのだという。

幸子を加え7人となった特Aクラスの生徒達に与えられた課題は、透明の箱の中に各々入り、弾き手のバイオエネルギーと情熱により、中に置いてあるバラのつぼみを開花させるというものであった。最後までバラの花を咲かせることのできなかった生徒が特Aクラスから脱落するという緊張感の中、一斉に引き始める生徒達。今回の課題曲はシューベルトの『楽興の時』第3番へ短調。しかし葉音と幸子は鍵盤に指を触れようとしなかった。舞子と芯也の会話を偶然聞いてしまった葉音は芯也への不信感を抱き、「芯也のためにピアノを弾く」ことに疑問を覚えていたのだ。

次々と課題をクリアしていくライバル達。ノッティー(市原隼人)が勝ち抜け、光(加藤夏希)、聖香(松下奈緒)、歌乃(近野成美)がそれに続く。知樹(忍成修吾)は必死の形相でピアノに向かう。全く弾こうとしない葉音と、素顔を見せず不気味にピアノの前に座り続ける幸子。

また、身分を偽っていた事がバレて秘書をクビとなった舞子は18年前に起きた鍵ニの事故の原因を調べ始める。譜三彦(岡本健一)と共に、鍵二が事故の直前にバイクを修理に出していた工場を訪ね、驚きの事実を掴む。芯也は、鍵二の事故とは全く無関係と考えられていたが、水無月家に養子に来る前、なんとこの工場で働いていたのだ。

今回の連続殺人事件に繋がる証拠を発見した時、舞子の身に影が忍びよる。そして驚くべき結末が!?

 

第7話

病院から逃げ出した千世(赤座美代子)は公園で偶然葉音(安倍なつみ)と出会い、彼女にかくまわれていた。誰にも心を開かなかった千世だが、何故か葉音には好意的だった。生まれて初めて頼りにされる事に喜びを感じた葉音は、ワルツと共に千世の面倒を見る。

一方、東都音楽大学内で舞子(三浦理恵子)の死体が見つかり、警察は一連の殺人事件と相続争いを関連付けて捜査を進める。舞子は小暮刑事(谷啓)の家出していた娘で、18年前の鍵二のバイク事故を殺人と信じ、名前を変えて水無月家に入り込んでいたのだった。殺された舞子はそこから何を知ってしまったのか?

さらに、大学内で起きた舞子殺害事件にうろたえる水無月家の兄弟達を尻目に、奏太郎は次の試験の課題を告げる。課題曲はブラームスの『ハンガリー舞曲』。審査員は、人間の心を欲しているスーパーコンピューター“マザー”。生徒達の脳波・心電図・演奏をデータ化し、それぞれのピアノに対する執着心を計るのだ。

人間が他人の感情の激流を計ることは不可能だが、マザーならばそれぞれの心を解析が可能となる、そう説明する奏太郎は、鍵二の才能を復活させるためには、もはや手段を選ばなくなっていた。

前回のテストで知樹(忍成修吾)が特Aクラスから脱落し、幸子を含め残り6名となったライバル達。今回の試験ではその中から遂に、水無月家の兄弟達が選んだパートナーの誰かが確実に1人脱落する。警察による関係者への事情聴取が進む中、テストは開始された。

一方、小暮は亡き娘・さやか(舞子)が追い求めていた18年前の事故の真相を突き止めるべく、バイク屋に辿り着いていた。1人捜索を続ける小暮はある証拠を探しあてる。
やはり鍵ニの事故は仕組まれたものだったのか?
そして今回の連続殺人事件との関わりはあるのか?
水無月家への事情聴取では、兄弟達は口を揃えて芯也が真犯人だと証言するが、その真相は!?

様々な思惑が交錯する試験の結果が出される…脱落するのは一体誰か

 

第8話

バイク事故の絵を描くことしかできなかった千世(赤座美代子)だが、葉音(安倍なつみ)と出会って以来、少しずつだが変化が現れていた。元は天才ヴァイオリニストだっただけあり、不思議と「グロリア」を弾けるのだった。

そしてその千世が事件の鍵を握ると考えた小暮刑事(谷啓)は、彼女が入院していた病院にたどりつき、千世が脱走してしまったことを知る。娘・舞子(三浦理恵子)を殺された小暮刑事は、犯人逮捕への執念と共に、たとえ犯人を捕まえても娘は帰ってこないというむなしさにとらわれていた。そしてつい葉音にその胸の内をもらしたところ思いがけず、葉音が大事に携帯電話に付けていたガラスのハートをお守り代わりにプレゼントされる。

一方、パートナーの光(加藤夏希)が脱落し、相続権を失った譜三彦(岡本健一)は「自分が18年前に死んだ鍵二だ」と告白するが、宮西刑事(袴田吉彦)はその言葉を信じてはいなかった。

そして次の試験が発表される。今度の試験会場は18年前に鍵二が事故を起こしたトンネルの中。鍵二の魂へ向けて、彼が命を失った午前2時までピアノを引き続けるというもの。課題曲は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーベン『交響曲第5番ハ短調作品67運命』。トンネルの暗闇の中、ろうそくの灯りだけを頼りに残る5人の生徒がピアノを弾く。深夜2時に誰かのろうそくが消える、その人間が今回の試験の失格者だというが、果たしてそれが本当に起こるかどうかは誰も確証が持てていなかった。しかし奏太郎(竜雷太)は、偶然の積み重ねが運命のようなものだと言い、自分がここまでして取り戻そうとしているのは千世の記憶ではなく、水無月鍵二そのものだと明かした。

そして奏太郎の望み通り、ある生徒の様子に異変が現れ、トンネル内でも奇怪な現象が相次ぐ。だが生徒たちは誰一人として演奏をやめず、葉音は冷静に鍵二の魂に呼びかけるのだった。

その頃、小暮刑事は鍵二が事故の前に行ったバイク修理工場へとたどり着き、事故の原因がブレーキパッドが抜かれたためであることを突き止めた。しかしその小暮に黒い影がせまる!
果たして小暮は無事なのか?
葉音たちは全員無事にトンネルから抜け出せるのか!!

 

第9話

前回行われたトンネル内でのピアノ試験の最中に起こった事故で、奏太郎(竜雷太)が重傷を負った。代わって長男である器一(風間トオル)が試験の進行を行うことに。スーパーコンピューター“マザー”の予言では、最後の3人はエンジェル・デビル・ゴッドであると言われており、残る4人の中から1人が脱落することを意味していた。

一方、鍵二の事故の原因を突き止めた小暮刑事(谷啓)が何者かに襲われ、奏太郎と同じ病院に収容された。また襲撃された時、拳銃を奪われたこともわかり、部下である宮西(袴田吉彦)は1人で犯人探しに奮闘することになる。

その宮西と病院で偶然出会った葉音(安倍なつみ)は、千世(赤座美代子)を見舞っていた芯也(西島秀俊)を探していたところ、彼の思わぬ告白を耳にしてしまい、衝撃を受ける。動揺を隠せないまま、ついに次の試験がスタートした。

残る生徒は4人。草原に連れて行かれた4人は、それぞれ鍵の付いた檻に入れられてピアノを弾くよう命じられる。課題曲はエリック・サティ『3つのグノシェンヌ』。

どこからともなく集まってくる野犬たち…。なんとその草原は人間に捨てられ、人間を憎んでいる野犬たちの住む場所だったのだ。鍵が付いているとはいえ、不安を隠せない4人。ピアノという武器しかない状況で、彼らは必死に弾き続ける。芯也の言葉が頭から離れない葉音のピアノは狂おしいほどの音色だった。そして野犬たちは一つ一つの檻の前でそれぞれ違った反応を見せた。その様子をモニターで見守る水無月家の兄弟たちは、野犬たちの反応から、エンジェル・デビル・ゴッドの意外な正体を知る。残された1人の檻の前に来た野犬たちは、ついに鍵を噛みちぎり生徒に襲いかかる!

さらに、入院中の小暮は同じ病院という利点から、奏太郎から18年前の鍵二の事故の真相を聞きだす。奏太郎の告白により、事件解明は進んだかに見えたが…?
葉音は果たして芯也のどんな言葉を聞いてしまったのか?
そしてそれは葉音にどのような関係があるのか?
ついに物語が動き出す第9話に乞うご期待!!

 

第10話

もはや目的のためには手段を選ばない状態となった水無月家の後継者争い。奏太郎(竜雷太)の目的は、天才ピアニストを探し出すことから始まり、妻・千世(赤座美代子)の記憶を取り戻すこと、そして溺愛した天才ピアニストの次男・鍵二をよみがえらせることへと繋がっていた。しかし長男である器一(風間トオル)までも亡くし、一連の殺人事件の犯人も捕まらず、ますます混沌とした状況のなか、“マザー”の予言通り、残る3人の生徒への次の試験が始まろうとしていた。

今回の試験会場は豪華客船の船上。そこに乗り合わせた世界的なプリマドンナは切迫流産の危険性がある妊婦。彼女を音楽の癒しの力で励まし、母子共に無事に出産させよという試験だった。課題曲はチャイコフスキーの『白鳥の湖』。葉音(安倍なつみ)は自らが水の中でもがき苦しみ、芯也(西島秀俊)を殺してしまう夢に悩まされながらも、芯也の「ずっとそばにいる」という言葉を信じて試験に挑む。3人の奏でるピアノの音色が母子に影響を与えるが、果たして母子を救えるのはエンジェル・デビル・ゴッドの3人のうち誰なのか?

さらに、芯也は葉音の出生の秘密を、ついに彼女に打ち明ける。なぜ葉音の母親は彼女を育てることができなかったのか?そして芯也の計らいで、葉音は母親と対面することになるが、その途中で船上から何者かに突き落とされてしまう!殺人事件の犯人はここまでせまってきていたのだった。葉音を助けようと海へ飛び込む芯也。2人の運命は?

鍵二と譜三彦は本当に入れ替わっていたのか?
18年前に死んだのは誰?葉音の両親は誰なのか?
そして殺人事件の犯人の目的は!?

すべての謎が繋がっていく気配を見せ、物語はついにクライマックスへと動き出します!

 

第11話

殺人事件の真犯人の真意を悟った芯也(西島秀俊)は、葉音(安倍なつみ)に危険がせまっていることを感じ、犯人のもとへと急ぐ。やはり芯也は真犯人を知りながらもかばっていたのだった。

一方、ついにここまで勝ち抜いてきた2人による最終試験が始まった。善と悪、神と悪魔、光と闇…すべてにおいて溶け合うことのない2人が、純白と漆黒のピアノの前に座る。ヨハン・セバスチャン・バッハ『フーガ・ト短調』。課題は“鍵二を目覚めさせよ”というもの。この課題の意味することは一体…?鍵二は18年前に事故で死んだはずだが、実際の墓の中に彼の骨はなかった。鍵二はどこかで眠っている…?

奏太郎(竜雷太)、真犯人、譜三彦(岡本健一)…、彼らの天才ピアニストへの狂気の思いに絶望した芯也は、葉音を救い出すために試験会場へと急ぐ。しかし逆に葉音から「私があなたのもとに本物の愛を持ち帰る」と言われてしまう。やがて試験会場である教会に火が放たれた。どこからともなく聞こえてくる『グロリア』…。葉音や芯也弾いていた『グロリア』とは違う、超絶技法のそれは、やさしくやさしくその音色を炎の中に響かせていた。

そして全ての謎が明らかになる――。

ノッティーの自殺した母親は、誰を愛していたのか。
兄弟の中で血のつながりがないと言われた唱吾(塚地武雅)の秘密。
18年前の事故の真相…。
そして一連の殺人事件の真犯人とその目的。

嵐のような試験の数々が終わり、葉音と芯也は結ばれることになるが、葉音の愛で芯也の孤独を本当に埋められるのか?最後まで目の離せない怒涛の最終回をお見逃しなく!!

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