第1話「再起動」
中国大使館が「個別の11人」と名乗るテロ組織によって占拠された。特定のリーダーを持たない彼らの要求は、アジア難民受け入れの即時撤廃および招慰難民居住区の完全閉鎖。新首相・茅葺(かやぶき)との交渉の末、無期限待機命令の解除を条件に、荒巻は9課を発動させる。
だが、与えられた時間はわずか15分。はたして9課は人質に犠牲者を出すことなく事態を収拾できるのか?
第2話「土曜の夜と日曜の朝」
キャッシュアイ――最近、企業を脅かしているすご腕の窃盗団の名前だ。予告状を送られた田所商事の田所会長は、公安9課に警備を依頼する。その依頼をなぜか快諾する荒巻。予告状で指定された日時は田所主催のパーティー開催日だ。妖艶なドレス姿で乗り込む草薙と、その姿を好色に満ちたまなざしで見つめる田所。はたして、草薙と9課の真意はなんなのか。
第3話「天敵」
演習中の海自ヘリ「ジガバチAV」が暴走を始めた。パイロットは意識不明で、自立AIは外部からのコントロールを拒否している。誘われたかのように次々と集まってくる、無人のヘリ達。そして、出動した9課の指揮を執るべく現れた、内閣情報庁戦略影響調査会議代表補佐官のゴーダ。はたして、暴走ヘリの目的とは?
第4話「動機ある者たち」
「個別の11人」から殺害をほのめかした脅迫文が茅葺首相に届き、政府は9課に首相の警護を依頼する。周囲の反対をよそに、恒例の寺での参拝行事を強行した茅葺を守るべく、万全の体制で待ち構える9課。そして、厳重な警備網をかいくぐり、茅葺を襲う全身義体の男「クゼ」。茅葺の警護についていた草薙は、そのクゼと対峙することになるが……。
第5話「潜在熱源」
エネルギー省を脅迫していた男が謎の死を遂げた。荒巻は事件の真相を探るべく、招慰難民居住区と化した東京へトグサを向かわせる。トグサはそこで、男と交際していたという女性「アサギ」に出会う。アサギは亡くなった男の無実を訴え、トグサと共に、男が東京を出る間際まで働いていたという場所を突き止める。だがそこは、政府がひた隠しにしている、あってはならない施設だった。
第6話「狂想は亡国の調べ」
新宿地下原発から回収された燃料棒を輸送する計画が、何者かによってテロリストに漏洩された。政府は急遽、陸路における輸送を9課に依頼する。代表として作戦指揮をとるため、再び現れるゴーダ。そのことに不満を感じつつも、9課は現地の陸自隊員と共に輸送を開始する。だが、陸自隊員の難民への発砲が、事態を急変させてしまう。
第7話「素食の晩餐」
独自に「個別の11人」の調査を続ける9課。その網にカワシマ・ショーなる1人の男がかかった。カワシマが勤める台湾素食の店で、24時間の行確を開始するバトーとトグサ。内閣情報庁の動きを牽制しつつ、荒巻は公安1課もカワシマ確保に動いていることを突き止める。情報が錯綜するなか、動き出すカワシマ。はたしてカワシマは本当に「個別の11人」なのか?
第8話「絶望という名の希望」
内庁の巨大端末「デカトンケイル」にダイブし、その電脳空間上で仮想人格のゴーダと対峙する草薙。そこでゴーダは「もう、すべて計画は止めることができない」と無気味に言い放つ。一方9課の面々は「予告連続自爆テロ」最後の1件を防ぐべく新浜を奔走していた。そんなさなか、地下鉄構内で不審者発見との情報が入る。しかし急行する9課を待ち受けていたのは、意外なテロリストの姿だった。
第9話「イカレルオトコ」
非番中、事件に巻き込まれた被害者を助けるべく、犯人に発砲してしまったトグサは、弁護士のウエダの強引な策略により法廷に引きずり出される。その過剰なやり口になにかを感じた草薙は、背後にゴーダの存在を突き止める。追い詰められ、すでに最後の証言台に立たされていたトグサは、己の辞職と引き換えに、ある行動にでるが……。
第10話「草迷宮」
9課採用試験の教官として新人の相手をしていた草薙は、その最中見たこともないような場所にさまよいこみ、そこで2体の子供の義体と1人の老婆に出会う。老婆は、今度来たときにその義体についての話をすることを約束し姿を消す。採用試験の最中に姿を消した草薙に不審を抱く9課の面々。現実世界に戻った草薙は、そんな面々をよそにもう一度の老婆の話しを聞くため、1人その場所に向かう。
第11話「名も無き者へ」
長崎湾岸でクゼの目撃情報が入った。「個別の11人事件」を追っていた9課の面々はその現場に急行する。その行動に並行して、トグサはその原著を探すため大学図書館を訪れていた。しかし、本は見つからず目撃現場に向かっていた面々も、クゼ本人も見つけることはできない。そのとき、九州タワー屋上に「個別の11人」が現れたとの情報が入る。その姿を一斉にとらえるテレビ局。そしてモニター越しの彼らは世間を震撼させる行動を開始する。
第12話「顔」
九州タワーから逃走したクゼ。9課は、特定の人物にしか作成できないというその顔に焦点をあて、捜査を開始する。そして、重要参考人として浮かび上がった造顔作家のところへ急行するものの、その男は殺された直後だった。しかも、防犯カメラに捕らえていた犯人の顔は、なんとパズそのもの。困惑するパズ、しかしそれが自身の過去に関係した事件だと気づくのに時間はかからなかった。パズの過去にあったものとは?
第13話「左眼に気をつけろ」
2020年夏、傭兵だったサイトーは反政府軍の一員としてメキシコで戦っていた。しかし状況はしだいに悪くなり傭兵たちは投降の機会を伺うまでになっていた。そんなさなか、敵の特殊部隊が核輸送を極秘に行っていることを知ったサイトーは、逆転の手段としてその核を奪取することを計画する。しかしその特殊部隊の中には若き日の草薙がいた。戦火の中で運命の出会いを果たす2人、はたしてサイトーは核を奪取できるのか?
第14話「機械たちの午後」
メンテナンスをさぼり個別の11人について自主的に調査を開始するタチコマ。バトーはそんなタチコマを見て不安を覚える。そんなさなか、人工知能の研究所で爆発騒ぎが起きる。爆発現場には、確かにそこにいたはずの唯一の男、有須田教授の姿や痕跡がなぜかなかった。その男の解析を進めているうちに不思議な既視感にとらわれるタチコマ。しかしメモリの中にも有須田の記録はない。タチコマと有須田を結びつけるものは一体なんなのか?
第15話「そこにいること」
クゼの足跡を追っていた9課は、過去に自衛軍での軍歴があったことに目をつける、そして調査を進めていくうちに、かつての所属部隊が、政府によってひた隠しにされていた事件を起こしていたことを突き止めた、時は2024年、舞台は国連軍の要請で派遣された内戦の続く小国、厳冬の中、山中を行軍していた自衛軍はとある難民キャンプで不慮の戦闘に巻き込まれてしまう、酸鼻を極めたその戦闘は軍人達の精神を破壊し、しだいに軍は軍としての体裁を失っていくのだが……、
第16話「修好母子」
クゼの足取りを追い台湾に潜入した草薙は、マフィアに追われている少年をひょんなことから助けてしまう、行きがかり上、行動を共にする2人だったが、反発しながらも次第にその溝を埋めていく、しかし少年は、忽然と姿を消した、単独でマフィアとの取り引きに向かったのだ、そんな行動に呆れる草薙だったが、沸き上がってくる奇妙な感情に苦笑しつつ行動を開始する、
第17話「天使の詩」
冬のベルリン、一人車椅子でたたずむ少女。彼女は首を長くして待っていた、年に1度の父親との邂逅の日を。そんな少女は最近になってこの町ではあまり見ない義眼の大きな体の男を見かけるようになり、次第にその大男のことが気になっていく。遂に約束の日が来た。少女は待ち合わせの教会に向かう。だが、その中からは聞こえてきたのは父親の声ではなく、大きな銃声だった。
第18話「相対の連鎖」
難民の行動に注目が集まる最中、ついに出島から自治区宣言がなされた。その裏で糸を引いているであろうクゼを抑えるべく、9課は出島に向かう。ハッキングでクゼの位置を突き止め、その場所に急行するものの、まるで9課を待ち構えていたかのような武装難民の襲撃にあってしまう。犠牲を出しながらも、その包囲網を潜り抜けるが既にクゼの姿はそこには無かった。果たしてクゼは何処に消えたのか…!?
第19話「北端の混迷」
クゼを追い択捉に向かった9課。草薙は旧知の情報屋の元に急行するが、待っていたのはその男の死体だった。不自然に残されていたフロッピーを解析する草薙、するとそこにはプルトニウムの取引情報が記録されていた。買い手は何とアジア難民。クゼ達は、核を手に入れ独立を実現しようとしているのだ。取引を阻止する為、現場に向かう9課。しかし、そこでは既に難民と陸自のアームスーツが、戦闘を始めていた。この戦闘が意味するものは!?
第20話「敗走」
択捉から脱出した難民船を、空から追跡しようとするものの、ティルトローターはその眼前で突如、爆発炎上してしまう。足を失ってしまった9課は、難民達の取引に一枚噛んでいた現地の佐川電子の内偵を開始し、内庁の影に辿り着つく。一方、難民船は順調に帰路についていたが、出島を目前にして海上保安庁の船に取り囲まれてしまう。クゼ達は、包囲網を潜り抜け無事に戻る事ができるのか!?
第21話「無人街」
福岡に核爆弾が発見された。仕掛けたのは難民か? との疑念が渦巻く中、住民は避難を始める。荒巻はこの一件に内庁が絡んでいると睨むものの、事態は出島への自衛軍派兵という流れに推移してしまう。バトーは最後の賭けとして、ゴーダとの直接対決に臨む。無人の街を見下ろし、お互いの思いをぶつけ合う2人。得意げに話すゴーダを沈黙させるべく、話を始めたバトーは逆にゴーダを追い詰めていく。果たして2人の対決の行方は!?
第22話「橋が落ちる日」
独立宣言に伴い、難民の熱気が頂点に達しつつある出島。それに対し政府は、軍の出動を決定する。そんな最中、荒巻は窮余の一策として茅葺にとある案を持ちかける。作戦実行の為、ヘリを強奪し出島に向かう9課。出島大橋では軍と難民達の睨み合いが続くものの戦闘状態には入っていなかった。しかし、一発の銃声が事態を最悪の方向へと変えてしまう。
第23話「出島、空爆」
軍の出島空爆攻撃が開始された。各所で爆炎が上がる中、決死の突入を試みる9課。一方、荒巻はタチコマと連携し、軍の背後にあるものを探す。そして見つけたのは、なんと米帝の影だった。陸自は9課のプルトニウムを強奪すべく、レンジャーを降下させる。全てを見透かされたかのように急襲される9課、果たしてタイムリミットまで逃げ切る事ができるのか!?
第24話「楽園の向こうへ」
激しさを増す軍の空爆攻撃により、出島に多くの血が流れる。草薙はその最中、クゼとの邂逅を果たすが陸自ヘリの急襲に遭い、2人は瓦礫の中に閉じ込められてしまう。一方、幽閉されていた茅葺を救い出した荒巻は米帝の動きを阻止するため、政治的手段を行使しようとする。しかしすでに米海軍の原潜は最終兵器のカウントダウンを始めていた。果たして、9課と出島の運命は!?
第25話「憂国への帰還」
自らの革命論を話すクゼ、草薙はその方法に理解を示す。解りあえた2人は行動をともにする。そんな草薙を探し出島を駆けるバトー、そして必死に政治工作を仕掛ける荒巻。しかしその最中、米帝の原潜から戦術核が発射されてしまう。核が全てを灰燼に帰すのか、荒巻の作戦は間に合うのか、ゴーダの野望が完結するのか、様々な想いが交錯するなか事態は最終局面を迎える。