2009/10/28 愛した宿『辰巳館』 |
古くから湯治場として栄えた、群馬県上牧温泉。 谷川岳を臨む趣のある建物は、 "放浪の画家"山下清が、愛した宿です。 |
彼が後見人に連れられ、 初めてここを訪れたのは、昭和32年のとき。 |
家庭的な雰囲気がすっかり気に入った清は、 のんびりと、くつろいだ時間を過ごします。 |
そんな彼にやがて持ちかけられたのが、 浴場の壁画制作でした。 |
これまで慣れ親しんだ貼り絵とは違い、 特殊ガラスを一枚、一枚と壁に貼っていく作業。 緻密さと精巧さが求められるこの作品に、 清は時間が経つのも忘れ、取り組みます。 |
作業の合間には、大好きなサイダーを一杯。 ただし瓶の開く音はどうしても苦手で、 仲居さんが開けようとすると、部屋の隅まで逃げたといいます。 |
そして二ヶ月も費やし、ようやく完成した作品。 清にとっても、大のお気に入りとなりました。 |
山下清はここに、 感謝の思いを捧げたのかもしれません。 温もりと安らぎを与えてくれた、この場所に。 |
国:日本 群馬県上牧温泉
人:山下清 愛した宿『辰巳館』
人:山下清 愛した宿『辰巳館』
曲名:星砂
作曲:池頼広 |