2013/06/12 浦島太郎になった宿 |
明治26年夏の盛り。熊本県宇城市にある三角という港町を、 ラフカディオ・ハーン、後に「雪女」「耳なし芳一」を書き広めた 小泉八雲は訪れました。 |
当時、八雲は、日本文化の取材旅行の為、 全国各地を旅していました。 そしてふらりと立ち寄った、この宿の名を聞き、驚愕します。 |
浦島屋。 日本の昔話を愛してやまなかった八雲は、 特に好きだった「浦島太郎」を思い起こしたのです。 |
異国からやってきた八雲は、 自らを竜宮城で暮らす浦島太郎に、重ねていました。 |
宿のなかが竜宮城、女将が乙姫に見えた八雲は、 後に友人への手紙にこう書いています。 |
「わたくしは玉手箱をわが心のそのまた心の奥へとしまい込んで、 ここを立ち去りました」 |
更に八雲は、この出来事を随筆「夏の日の夢」に、記したのです。 |
「その宿屋は、わたくしには極楽のように思われた」 |
それはひと夏の、夢のような記憶でした。 |
国:日本 熊本県宇城市 人:小泉八雲 浦島太郎になった宿 |
曲名:霧の中の決別
作曲:七瀬光 |