赤像式オイノコエ:ふくろう
  古代ギリシア美術を代表する彫刻芸術は、その原作の多くが失われてしまい、ローマ時代の模刻(ローマン・コピー)を通じて往時の世界を想像・復元するしかない。それに対してギリシア陶器は、用途に応じて制作された多種多様な形態の原作が大量に現存するために、陶器画という世界を通じてギリシア絵画の全体像を把握することができる。しかも神々の姿や神話から日常生活まで様々な主題が描かれたので、古代ギリシアの精神世界から日常生活までを今日の我々に伝えてくれる。このオイノコエ (クラテルから水割りワインを酒盃に注ぐ水差しのような道具) に描かれているのは、兜をかぶり盾と槍を持つふくろうだから、アテナ女神の象徴の「ミネルヴァのふくろう」だが、主題よりもユーモラスな表現が注目される。
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