本展は、第1章「クラシック時代のアテネ」、第2章「古代ギリシアの生活」、第3章「古代ギリシアの競技精神」、第4章「神々と宗教」の4つの章に分けて構成します。各章の見どころは・・・。 |
第1章:クラシック時代のアテネ |
ギリシアには、紀元前7世紀までに、多くのポリス(都市国家)が誕生していました。ポリスの一つであるアテネは、前5世紀の3度に及ぶペルシア戦争に勝利し、大政治家ペリクレスの治世のもとに黄金時代を迎えます。ペリクレスは優れた芸術家であるフェイディアスを総監督に迎え、アテネの聖なる丘、アクロポリスにアテネの守り神アテナ女神を祭る神殿として、パルテノン神殿を創建しました。 古代ギリシア神殿建築の傑作が生まれたこの時期は、クラシック時代と呼ばれ、ギリシア芸術の最盛期となりました。前4世紀中頃には天才彫刻家プラクシテレスも登場しました。第1章では、アテネ創立の神話や古代における祭儀の中心にあったアクロポリスの歴史を紹介するとともに、古代ギリシアの死生観をテーマに墓碑や埋葬品も展示します。ギリシア人にとって故人を偲ぶ墓碑は、故人とのつながりを意味するものであり、それゆえにその装飾にこだわりました。そして、芸術的水準の高い副葬品も多く生み出されました。本章では、指輪やイヤリングといった副葬品を紹介します。 |
第2章:古代ギリシアの生活 |
ソクラテスやプラトン、アリストテレス・・・。ギリシアでは多くの哲学者が誕生しました。この章では、アテネで活躍した哲学者たちの肖像彫刻を展示します。彼らは常に、国家のあり方や市民との関係、アテネの繁栄などについて考え、議論を交わしていました。そして、紀元前5世紀から前4世紀は、ペルシア戦争やギリシアを二分したペロポネソス戦争が起こった激動の時代でした。激動の社会を 乗り切るために、彼らは何を考え、見据えていたのでしょうか? 古代ギリシアではポリス(都市国家)ごとに統治の制度が異なっていました。アテネでは直接民主制がとられ、全ての市民に投票権が与えられていました。しかし、市民とされるのは成人男子のみで、 女性、奴隷、そしてアテネ以外で生まれたギリシア人は市民とは認められませんでした。一般女性は、外出することをほとんど許されない制限された環境下でも、家族のために明るく生き生きと働いていました。墓碑やレリーフには、その生活や文化の一場面が登場します。また、日常の用途に応じて作られた壷や陶器からは、職人たちの高い技術力がうかがえます。それらの陶器には、神々が登場する神話の世界から日常の風景まで、バラエティに富んだテーマが描かれました。 |
第3章:古代ギリシアの競技精神 |
ギリシア文明において、スポーツは、非常に重要視されていました。オリンピックの発祥の地がギリシアであることや、「アスリート」という言葉の起源がギリシア語の athlon であることなどは、その重要度を示すエピソードと言えるでしょう。ギリシア人にとってスポーツ競技は、神々に捧げる神聖な儀式でした。時には国と国の威信、存亡をかけ、真剣勝負で行われました。勝者には栄誉とともに、ワインやオリーブ油が入った壷、冠などが贈られました。最も重要な競技は、様々な距離の徒競走、武装しての徒競走、円盤投げ、槍投げ、幅跳び、ボクシング、レスリング、そしてボクシング、レスリングを合わせた格闘技で、裸で行われました。 スポーツ競技の発祥とともに、演劇も古代ギリシアが発祥と言われます。ディオニュソス神(葡萄栽培および葡萄酒の神。神話上ではサテュロスなどが主な従者)に捧げられた祭儀がその発祥とされるギリシア演劇は、公共の儀式で、前6世紀から前4世紀の間に、全てのギリシア世界の都市や聖域に建設された円形劇場において上演されました。多くの場合、市民でもある俳優が舞台に立ちました。役者の数が限られていたため、一人の人物がいくつもの役を演じる必要があり、そのため、 俳優は仮面を付けることで役柄を明確にしました。演劇はチームで競い合われ、優れたチームが審査員によって選ばれました。アナクレオンなどの詩人やアイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデスの三大悲劇作家が登場し、数々の演目が生まれました。 スポーツ競技をテーマにした作品や演劇に用いられた道具からは、スポーツや演劇に熱狂する私たちと同じ息吹、親しみを感じるのではないでしょうか。 |
第4章:神々と宗教 |
アテネの暦のうち半分は神々に捧げられていたというほど、古代ギリシア人は多くの神を崇拝していました。ギリシア神話に登場する神々や英雄(半神)は、優れた技術により、人間を超えた存在として理想的な美しい姿で表現され、神殿や生活の中で信仰の対象となりました。ギリシア紀元前4世紀の彫刻家のプラクシテレスの原作を模した《トカゲを刺すアポロン》や《アフロディテ》など、ギリシア芸術の頂点を極めた傑作群が登場する第4章は、本展のクライマックスとなります。この章では様々なアフロディテを紹介します。《アルルのヴィーナス》、《ウェヌス・ゲネトリクス》、そして、その愛人とされる《ボルゲーゼのアレス》など、美術史に残る傑作が日本で初公開となります。しなやかな腕や一点を見据えるまなざし、ゆるやかにS字を描きバランスをとる身体、身に纏う着衣のしなやかなドレープ。《ミロのヴィーナス》を思わせる様々な要素を見出すことが出来るでしょう。 |
【ギリシアの神々と英雄】 | ||||||||||||||||||||||||||
当時のギリシア人は科学では解明できないことがらを神話の中で解明し、多くの神話が生まれました。神々は日本の「仏」のイメージとは全くことなり、非常に人間的な側面を持ち合わせ、嘘もつき、恋もしました。当時のギリシア人にとっては非常に身近な存在でした。その神々はギリシア北部のオリュンポス山に住んでいると言われました。その中心がオリュンポス12神です。 | ||||||||||||||||||||||||||
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