第12章 牢獄から死刑台へ

アレクサンドル・クシャルスキ
《タンプル塔のマリー・アントワネット》

1789年にヴィジェ・ル・ブランが亡命した後、クシャルスキがマリー・アントワネット付きの画家になった。これは王妃の最晩年を描いた1点である。厳かで堂々とした「カペー未亡人」は、白いヴェールとフィシュ〔三角形の肩掛け〕、ヘアバンド、黒いタフタ織の外套という喪服姿である。心を打つこの肖像画は、モデルがポーズを取っている間に描かれた未完のパステル画に想を得ている。逃亡を図った国王一家がヴァレンヌで捕らえられた事件によって、ポーズは中断された。その後1793年初めにタンプル塔で描かれたエスキース〔習作〕を基に制作が再開された。ヴェルサイユが所蔵するこの絵は、クシャルスキによる数々のレプリカの一点である。多くのレプリカが制作されたことは、王政復古以降、マリー・アントワネットが君主政の殉教者として崇拝の対象となった証である。

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