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 沈まぬ太陽 北欧の白夜  #592 (2001/07/29) 

 「目がテン!」夏休み海外特集フィンランド、2週めの今回は科学の素浪人、矢野左衛門が主人公。なんと矢野左衛門が、フィンランドに住むサンタクロースにひとことお礼を言おうと、フィンランドに飛びました。サンタクロースの住むのは、北極圏。実はここは、夏には1日中日が沈まない、白夜が見られる地域なのです。
 白夜のほかにも、寒冷地であるがゆえに様々な面白い自然の見られるフィンランドの北方ラップランド。矢野左衛門がその魅力を探ります。

 サンタクロースの家に到着した矢野左衛門。しかし残念ながらサンタクロースは留守中でした。取りあえずサンタの家を出る矢野左衛門。するとそこに引かれた1本の線が。そこは北緯66度。ここから北が北極圏なのです。

太陽の軌跡  宿に泊まることにした矢野左衛門。しかし夜中に目が覚めてビックリ!外には沈んでいない太陽が!これぞまさに白夜だったのです。太陽は夜中に真北に来ますが、決して沈まず、また登っていくのです

 しかし矢野左衛門は思いました。「太陽が沈まないなら、さぞかし暑くなるのでは?」ところが昼の気温が21℃あったのに対し、夜は9℃まで下がりました。真夜中の太陽の高度はとても低く、光量も減ります。すると、地上から放射する熱量の方が、太陽から来る熱量を上回るため、地上の温度は下がるのです。

所さんのポイント
白夜で一日中太陽が出ていても、夜気温は下がる!

 サンタクロースを探して北上する矢野左衛門。すると、北上するにつれて、それまで青々としていた森が、次第に木がまばらになり、そして遂には木が全く生えなくなってしまいました。これは森林限界と言われる状態。平地でこの状態が見られるのは、北極圏ならではです。

 土を調べてみて驚いたことには、土の中に微生物が全く確認できなかったのです。枯葉など様々なものを分解する役割のある微生物、その微生物のいない土壌は、酸性の強い土壌になっていました。酸性が強いと、土中のアルミニウムが溶け、植物がこれを吸収してしまい枯れてしまうので、植物は育ちづらいのです。

 しかしそんな土壌でなぜか生き延びている植物がいました。それはベリーの仲間。ベリーは、根の中にアルミをため込むことで、酸性土壌に耐えることが出来るのです。そしてベリーの実は、ラップランドに生きる原住民サーメ人にとってとても貴重な食糧源となっていました。

 サーメ人にとって、トナカイも大切な食糧です。矢野左衛門もご馳走になりました。しかし草食のトナカイは、厳寒の冬、雪に覆われた中、何を食べて生きるのでしょう?それはトナカイゴケという植物。コケ類ではなく、地衣類という生物です。地衣類とは、菌類と藻類が一緒になった不思議な生物で、藻類が光合成してため込んだ炭水化物を、菌類が冬に使うことで、厳しい冬を乗り切っていくのです。

所さんのポイント
ベリーと地衣類は、木も生えない北極圏で生き延びる術を身につけている!

サンタと矢野左衛門が握手  トナカイでサンタクロースを思い出した矢野左衛門。あわててサンタの家へ戻りました。今度は、サンタクロースに会うことが出来ました。今から75年前、ラジオの子供番組で“サンタさんはラップランドに住んでいる”と言われたのがきっかけで、サンタはこの地に住まなくてはならなくなったそうです。サンタさんはこの地で、全世界から来る子供たちの手紙に返事を書いたりしているのでした。

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