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巨大人工島!関西空港
#605 (2001/11/04)
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大阪公開録画2本めは、大阪の新しい玄関口、関西国際空港(通称:関空)を科学します。驚くなかれ、関空は、米国土木学会が選ぶ、“20世紀を代表する十大土木事業”の1つに、パナマ運河やエンパイアステートビルと並んで、選ばれたのです!埋め立てによって出来た関空は世界初の本格的海上空港。陸地から5キロも離れた所にあるため、騒音問題も解消、24時間離着陸も可能になったのです。
関空のある所の海底は、深さ20メートルにわたって沖積粘土層というグニャグニャの粘土層でできています。この粘土層を固めないと空港は建てられません。そこで関空では建設する前に海底一面に砂を敷き100万本もの砂の柱を打ち込み、さらにその上に大量の土砂の重しを乗せたというのです。しかしなぜこのようなことをするのでしょう?
このグニャグニャの粘土、触ってみるとどこかおしるこに似ていました。おしるこで関空の謎が解けるかもしれない!?そこで登場したのが矢野ママ。さっそく和菓子屋さんに行き、水槽に入ったおしるこに、砂に似ているしんびき粉(もち米を焼いて砕いたもの)の柱を何本も打ち始めました。そしてふたをして重しを乗せ、完成。しばらくするとふたのすき間から水が染み出してきました。そしておしるこは固くなっていたのです。
粘土には多くの水分が含まれています。そこに重しをするなどの圧力を加えると中の水分が外へ逃げ、粘土全体が縮まってぎゅっと固まるのです。これを圧密化現象と言います。砂の柱を立てれば、そこが水の通り道となるのです。
ところで関空を埋める膨大な土砂はどうやって運ばれるのでしょう?矢野さんは和歌山は岬町にある、土砂の採取場に行きました。ここで巨大な90トンダンプカーが土砂を集め、その後全長4キロメートルの長いベルトコンベアで港まで運ばれ、巨大な輸送船に積み込まれます。この船はなんと約6000トンもの土砂を1回で運搬できるのです。この船はGPS(衛星を使い現在地を確認できるシステム)によって土砂の投入位置に正確にたどり着きます。すると、底が真っ二つに分かれて、土砂が一気に海に投入されます。こうして大阪ドーム120杯分もの土砂が投入され、現在の関空が出来たのです。
普通埋め立て地は、地面が落ち着くまで少なくとも10年以上、その上に建築はしないのですが、なんと関空は埋め立て後わずか半年で工事を始めたのです。そのため地盤沈下に悩まされています。関空では建物や飛行機の重さによって、場所によって沈み具合が違う不同沈下が起きてしまっているのです。
いったいどのように水平が保たれているでしょう?夜の飛行場に矢野さんが潜入しました。そこでは飛行機の駐機する場所・エプロンのへこんだ個所にドリルで穴を開け、ジャッキで地面を持ち上げ水平にし、そのすき間にセメントを流し込んでいました。こうして沈んだ地盤は一晩のうちに修復完了です。
さらにターミナルビル内の地下を見てみると、柱の下に建物の柱を持ち上げるジャッキがありました。ビルの水平がずれた時ジャッキアップをして、柱の下に鉄板を入れ水平を保つようになっていたのです。さらに壁は伸縮可能な二重構造になっていたり、パイプ類は余裕を持たせ湾曲していたり、と不同沈下に耐えるため様々な工夫がされていました。
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関空ではいたるところでジャッキアップが行われ、水平が保たれている!
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関空は環境にも優しい空港なのです。まず護岸に工夫がしてあります。普通直立に切り立った形をしていますが、関空ではなだらかな斜面が海底まで続いています。こうすることで日光の当たる部分が多くなり、たくさん海草が繁殖できるようになっています。さらに漁礁という穴の空いた魚の隠れ家を設置しました。漁礁があると魚が天敵から隠れることができるので安全なのです。こうして関空付近は、ボラやカサゴ、マダコなどの生息する豊かな漁場となったのです。
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