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大阪うどん うす味の謎
#604 (2001/10/28)
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毎年恒例の公開録画、今年は大阪・IMPホールが会場です。そして科学の素浪人・矢野左衛門(矢野明仁)も大阪初上陸。食い倒れの町ということで喜び勇んでうどん屋さんに入った矢野左衛門。しかしうどんを見てびっくり!なんとうどんのつゆの色がうすいのです。関東のうどんのつゆが濃い色なのと対照的です。食べてみてもやっぱりちょっとうす味。いったいなぜ、関西のうどんつゆはこんなにうすいのでしょう?
まず目につくのはつゆの色。いったい関西のうすいつゆと関東の濃いつゆ、どこが境目なのでしょうか?そこで、東海道新幹線に乗り、途中の駅で下車して駅の構内のうどんを食べ、つゆの色の変化を解き明かす旅を決行!ところが矢野左衛門は肥満で高血圧気味。そこで矢野左衛門の一番弟子、右之助に調査を託しました。午前7時、東京駅を出発。静岡、名古屋では関東と同じ濃いつゆのうどんがでてきました。しかし米原では、だいぶつゆの色がうすくなりました。そこで店の人に、関西風か関東風か尋ねたところ関西風というお答え!その後、新大阪はもちろんのこと、広島、新下関もうどんのつゆは関西風のうすいつゆ。ついに20時、終点の九州は博多に到着。ここも関西風のうすいつゆでした。所用時間13時間、食べたうどん9杯の大調査、ここに完結です。
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関西風つゆと関東風つゆの境目は米原、関ヶ原付近だった!
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関西と関東のうどん屋さんをウォッチングすると、面白いことに気がつきました。関西の人はうどんのつゆを飲み干すのですが、関東では残すのです。この差は何なのでしょう?そこで大阪の名店「今井」と東京の名店「上野藪蕎麦総本店」それぞれのつゆの塩分濃度を測ってみると、関西が2.5%なのに対し、関東は6.7%と2倍以上塩分濃度が高かったのです。実は関西と関東では、使っているしょう油とその量が違ったのでした。関西ではうす口しょう油、関東では濃口しょう油を使用。うす口しょう油の方がやや塩分濃度は高いのですが、使用するしょう油の量に大きな違いがあったのです。関西がだし18 リットルあたり500mlのしょう油を入れるのに対し、関東は関西の4倍以上の2200mlものしょう油を入れていたのです。
それでは関東風のだしに関西風にしょう油を加えれば、関西の人もしょっぱくなくて飲めるのでは?と“うすい色の関東風うどんつゆ”を制作。ステージに関西の味の名人(たこ焼屋さん、串揚げ屋さんほか)5人に来てもらい、味を判定して頂くことにしました。ところが感想は「魚のえぐみがきつい」「たきすぎた匂いがする」とやはり不評。
関西の方が嫌う関東のつゆの匂いの秘密はどこにあるのでしょう?関西、関東のつゆの匂いの強度を測定すると、関東は関西の2倍も匂いがきつかったのです。実は関西と関東では、だしの取り方にも違いがありました。だしを作る時、まずコンブを入れるところまでは関西も関東も同じ。しかし、次に入れる魚のだしの量と煮る時間に差がありました。関西は水18リットルあたりに600gのだしを入れ5分間煮るだけ。それに対し関東は関西の2倍近くの1000gのだしを入れ、さらに1時間もかけて煮ていました。関西の方が嫌う匂いの正体は魚のだしにあったのです。関西はコンブだし中心、関東は魚だし中心。これは江戸時代、関西中心にコンブが普及したという歴史的背景も有ったのです。
しかしコンブだしが関西に普及したのには、もう一つ大きな理由がありました。それは水。そこで関西、関東それぞれ昔からある井戸水を採取して、そのミネラル分を測定してみました。すると関西はミネラル分の少ない軟水であるのに対し、関東はミネラル分を多く含む硬水だったのです。これは関東の地質が火山灰層であるため、地下水にミネラル分が溶けるからなのでした。
そこで軟水、硬水で魚のだしを煮てみたところ、抽出されるうまみ成分にそれほど大差はありませんでした。しかしコンブを煮てみたところ、軟水の方がうまみ成分が多く抽出されたのです。それは、硬水に含まれるミネラル分がコンブの細胞壁を固くし、コンブの中のうまみ成分が外に出にくいからだったのです。関西の水に比べて、関東の水では、コンブのうまみは出しにくいのでした。
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関西と関東は水も違った!今の水道水でも、関西はやや軟水、関東はやや硬水!!
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