|
なぜ銀座にヤナギの謎
#684 (2003/06/01)
|
|
昭和の名曲「東京行進曲」で歌われた“銀座の柳”。今は数寄屋橋付近などにわずかにその名残を留めるだけです。しかし、なぜ銀座にヤナギだったのでしょう?街路樹としてもおなじみのヤナギの、意外と知らない正体を解き明かします。
なぜ銀座にヤナギだったのでしょう?調べてみると、明治時代にはサクラやマツも植えられたのですが、その後枯れてしまったそうなのです。いったいなぜ銀座でヤナギだけが残ったのでしょう?
そこでこんな実験です。ヤナギとサクラとマツの枝を水に浸けてみます。すると2週間後、サクラとマツは案の定枯れてしまったのですが、なんとヤナギは、枝から妙なものを伸ばしたくましく生き延びていたのです。それは不定根と呼ばれる特別な根ヤナギは水に強い植物なので、かつて海に近い所だったため地下水位の高い銀座の街路樹には、ピッタリだったのです。
|
地下水位の高い銀座には、水に強い木ヤナギがピッタリだった!
|
|
|
みなさん、ヤナギの花って見たこと有りますか?あまりいらっしゃらないと思います。それもそのはず、ヤナギの木には雄株(おかぶ)と雌株(めかぶ)が有り、そして街に生えているものはほとんどが雄株だというのです。そこで矢野さんが仙台の植物園に幻のメス株を見に行きました。花は雌(め)花もかなり地味。雄(お)花とあまり変わりありません。
すると矢野さん、ヤナギの枝に奇妙な綿毛を発見しました。柳絮(りゅうじょ)と呼ばれるこの不思議な綿の中には、なんと小さな種子が入っていました。ヤナギはこの柳絮で、種子を遠くまで飛ばしていたのです。そしてこの柳絮が道路を汚すので、街路樹には雄株ばかりが植えられたというわけです。
ヤナギの下と言えば、幽霊が有名。なぜヤナギの下に幽霊なのでしょう?やはり陰気臭い木だから?いえいえ違うのです。中国ではなんとヤナギは縁起のいい木だというのです。中国では万物を陰と陽に分け、そのバランスが良い状態を貴ぶ、陰陽思想というものがあります。例えば陰は、月、女性。これに対し陽は、太陽、男性。そしてヤナギは陽になるそうなのです。なので陰の幽霊と釣り合いがいいと言うのです。
そして科学的に言っても、ヤナギは陽木。日の当たるところを好み、林の中などには決して生えません。なので水の多いところだと、他に生える木も無いのでヤナギは日をいっぱい浴びることが出来るのです。
|
ヤナギは陰陽思想で陽の木で、科学的にも陽木。なので陰の幽霊とは釣り合いがいい。
|
|
|
建材にもほとんど使われていないヤナギ。人の役には立たないのかと思ったら有りました!なんとまな板ではヤナギ製は高級品だったのです。その値段5〜6万!ヤナギは軟らかく、またその軟らかさが木目などに関わらず一定なので、まな板には最適なのです。
|
|
|