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都心で探せ!タマムシ
#692 (2003/07/27)
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キレイな昆虫の代表格、タマムシ。かつては法隆寺の玉虫厨子に使われたり、室町時代の童話「御伽草子」に登場したり、随分身近な昆虫でしたが、ここ最近めっきりその姿を見なくなりました。はたしてタマムシはどこに行ってしまったのでしょう?
実はタマムシは光るものばかりではないのですが、今回は光るタマムシの代表格、ヤマトタマムシを取り上げます。まずはこのタマムシの一生をご紹介。
タマムシの幼虫は、実は立ち枯れた木や枯れ木の中に棲むのです。その期間はなんと3年。なので立ち枯れた木や枯れ木をすぐに除去してしまう都会では、タマムシをめっきり見かけなくなってしまったのです。
そして成虫の寿命はたったの1ヶ月。はかない生物なのです。
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タマムシの幼虫は枯れ木に棲む。これが枯れ木の無い都会でタマムシが急減した理由だ。
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タマムシはなぜあのような派手な色をしているのでしょう?実はタマムシの羽には、緑の地色は着いているのですが、あとは幾重の透明な層が表面を覆っています。これで様々な色が出せるのです。この様な色を構造色といい、CDと同じなのです。
しかしあんなに目立っていては、天敵の攻撃を受けてしまうのではないでしょうか?そこでこのタマムシの羽の色とよく似たマジョラー塗装という塗料を、ゴミ袋に塗り、カラスの来るゴミ集積所に置いてみました。カラスを始めとする鳥類が、タマムシの天敵なのです。すると、カラスはタマムシ色に塗装されたゴミ袋には全く近付きませんでした。
今度は小鳥のカゴに、タマムシ色に塗った水の入った容器を入れてみました。すると小鳥は全く水を飲みに来ませんでした。鳥類は一般的にこのタマムシ色が苦手のようです。
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タマムシ色には、タマムシの天敵・鳥類から身を守る効果が有った!
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タマムシ色にはもうひとつ効果が有りました。それは仲間を見つけ交尾するため。浜松の、タマムシの棲息する雑木林に、タマムシの死骸を近づけたところ、なんと次から次からタマムシが飛来してきたのです。以上2つの理由からビッカビカに光りたいタマムシは昼行性、夏の天気のいい昼間に、日の当たる高い所で活動するのです。
東京のそれも都心でタマムシを見つけたい!と矢野さんが立ち上がりました。緑の多く残る北の丸公園で、昼間に、高い所にタマムシの羽を立てておいたのですが、1週間かけても見つかりませんでした。今年の7月は梅雨明けせず冷夏、これが影響したようです。タマムシには暑い夏がマストのようです。
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